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ラッキーボーイ
色褪せた景色
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「もしもし。メール見たよ。」
お酒が入っていたせいか、僕はあいに電話をして、強い口調になっていた。
「頑張る。って、何なのかな。」
鼻で笑いながら、好きになってもらう。と、もう、嫌われてもいい。と、思っていた事実。
「もう、困らせたくないから、笑っててくれな?ありがとね。」
「…違う。」
「違う。って何?」
怒ってるんじゃない。必至なんだ。って、伝わるわけもなく、また、あいを悲しませてしまう。
もう、君の隣にいるのが僕じゃなくてもいいから、笑っててほしい。と素直に考えていたから。
「俺は、笑ってる、あいが好きだから。」
頑張る。という路線を、僕はもう外れたかった。
頑張る。って、自分じゃなく、人が決める。と誰もが言うけれど、認めてもらったり、見てくれる人がいないと、無意味なことだ。と僕は思っていたから。
「ごめん。仕事終わったけど、一応、接客中だから。」
これ以上、汚い言葉を吐きたくなくて、優しい言葉をかけられたくなくて、僕は逃げるように、電話を終わらせようとしていた。
「じゃ、幸せになれよ。」
「違う。」
通話終了ボタンを押した。
「…………。」
こんなはずじゃなかったのに。と、膝を落として、地面に座った。
と同時に、僕の目から、ゆっくり涙が、次々と零れた。
『ごめん。今のゆうくんとは、戻れない。』
もう一度見直したメールに、心が真っ白になる。
ポケットから取り出した煙草を口に咥え、フーッ。と、深呼吸してから、涙目を拭いた。
眩しい携帯電話の電源を落とし、お店へ戻った。
「どうした?」
暗い室内で良かった。と思いながら、何でもありません。と答える自分。
「さぁ、誰から唄おうか?」
ステージに、接客していたお兄さん達が集まり、散らばったお客達に声を掛ける。
「こいつが、唄う。」
と、学校の先生に、はーい。と手を上げるように、伸ばされた目の前の人。
その手が、僕に向けられる。
「よし、おいで。」
いやいや、今は無理です。と駄々を捏ねても、ベース担当の人に、引きずられながら、立たされた小さなステージ。
お客の拍手と、目の前のマイクと、ホストのお兄さんの声と。
「何、唄おうか?」
スポットライトに照らされ、準備を始めるバックバンドの人達。
ジャーン…♪
鳴り出すエレキギターの音、それに合わせ、ベースが重なり、続くドラムのリズム。
鳴りだした音楽に、唄い始めた僕の声。
歌詞を目で追いながら、途中まで唄っていたのが、
「ご…ごめんなさい。」
僕は、気持ちを抑えることができず、人前で声を出して、泣いてしまった。
すぐに気付く、ざわめく店内。
大丈夫、大丈夫。と声をくれた、お店のメンバー。
重たい足を、席に運ばせ、
「歌手になりたいのだから、人前にも慣れなきゃな。」
と検討違いの言葉に、すみませんでした。としか言えない、僕がいた。
唄っている最中に、頭の中が思い出でいっぱいに。
座って、また、違う演奏が始まり、それを見ながら、置いてあった焼酎を飲み干す。
もう、戻ることができない。と言うような歌詞に、心が同調(シンクロ)してしまった。
君に届かなかった言葉に、届かせたかった儚い思い。
そんな気持ちを、二杯目の焼酎と一緒に、一気に飲み干した。
お酒が入っていたせいか、僕はあいに電話をして、強い口調になっていた。
「頑張る。って、何なのかな。」
鼻で笑いながら、好きになってもらう。と、もう、嫌われてもいい。と、思っていた事実。
「もう、困らせたくないから、笑っててくれな?ありがとね。」
「…違う。」
「違う。って何?」
怒ってるんじゃない。必至なんだ。って、伝わるわけもなく、また、あいを悲しませてしまう。
もう、君の隣にいるのが僕じゃなくてもいいから、笑っててほしい。と素直に考えていたから。
「俺は、笑ってる、あいが好きだから。」
頑張る。という路線を、僕はもう外れたかった。
頑張る。って、自分じゃなく、人が決める。と誰もが言うけれど、認めてもらったり、見てくれる人がいないと、無意味なことだ。と僕は思っていたから。
「ごめん。仕事終わったけど、一応、接客中だから。」
これ以上、汚い言葉を吐きたくなくて、優しい言葉をかけられたくなくて、僕は逃げるように、電話を終わらせようとしていた。
「じゃ、幸せになれよ。」
「違う。」
通話終了ボタンを押した。
「…………。」
こんなはずじゃなかったのに。と、膝を落として、地面に座った。
と同時に、僕の目から、ゆっくり涙が、次々と零れた。
『ごめん。今のゆうくんとは、戻れない。』
もう一度見直したメールに、心が真っ白になる。
ポケットから取り出した煙草を口に咥え、フーッ。と、深呼吸してから、涙目を拭いた。
眩しい携帯電話の電源を落とし、お店へ戻った。
「どうした?」
暗い室内で良かった。と思いながら、何でもありません。と答える自分。
「さぁ、誰から唄おうか?」
ステージに、接客していたお兄さん達が集まり、散らばったお客達に声を掛ける。
「こいつが、唄う。」
と、学校の先生に、はーい。と手を上げるように、伸ばされた目の前の人。
その手が、僕に向けられる。
「よし、おいで。」
いやいや、今は無理です。と駄々を捏ねても、ベース担当の人に、引きずられながら、立たされた小さなステージ。
お客の拍手と、目の前のマイクと、ホストのお兄さんの声と。
「何、唄おうか?」
スポットライトに照らされ、準備を始めるバックバンドの人達。
ジャーン…♪
鳴り出すエレキギターの音、それに合わせ、ベースが重なり、続くドラムのリズム。
鳴りだした音楽に、唄い始めた僕の声。
歌詞を目で追いながら、途中まで唄っていたのが、
「ご…ごめんなさい。」
僕は、気持ちを抑えることができず、人前で声を出して、泣いてしまった。
すぐに気付く、ざわめく店内。
大丈夫、大丈夫。と声をくれた、お店のメンバー。
重たい足を、席に運ばせ、
「歌手になりたいのだから、人前にも慣れなきゃな。」
と検討違いの言葉に、すみませんでした。としか言えない、僕がいた。
唄っている最中に、頭の中が思い出でいっぱいに。
座って、また、違う演奏が始まり、それを見ながら、置いてあった焼酎を飲み干す。
もう、戻ることができない。と言うような歌詞に、心が同調(シンクロ)してしまった。
君に届かなかった言葉に、届かせたかった儚い思い。
そんな気持ちを、二杯目の焼酎と一緒に、一気に飲み干した。
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