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shoichi

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最後の恋

一杯のビール

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「そっか。」

競馬場へ来たのに、寝転がっては、側に置いてあるビールへ手を伸ばす二人。

「でもな、その言葉は間違ってるぞ?」

笑いながら、空を見上げる旅人は、何を思い出していたのかな。

言葉を続けながら、

「運命なら、何で傷付いてるの?本当の運命なら、傷付いてることも運命だったんじゃないかな?」

ちらっ。と僕を見ては、おっ。と言いながら、ファンファーレの音に反応して、体を起き上がらせる旅人。

僕も真似をするように体を起き上がらせ、

「そしたら、戻ることもうん」
「違う。もう気付いてるはずなんじゃない?」

首を振りながら、僕が何を言うのか分かっていたように言葉を遮られた。

「運命の人なら、ゆうちゃんをそんなに苦しめないよ。」

その言葉に、今までの強がりとか、頑張りとか、この人は感じてくれてるんだ。と思いが溢れ、泣き出しそうになって、何も言い返せなかった。

「一人が運命じゃ、駄目なんだよ。二人が運命を、感じなきゃ。」

僕は、温くなったビールを一気に飲み干しながら聞いていた。

「おっ、きたきた…。」

ゴール手前の直線から、物凄い勢いで近づいて来る馬達が、カッコ良く見えた瞬間、

「行け!!ばかやろ!!」

熱くなっている旅人が目に入り、この人は、沢山のことを見てきて、沢山の経験を積んできたから、こんなにも楽しそうにするんだ。と、思っていた。

「か~。外れたよ。」

そう言いながら、また、寝転びビールを飲み出す。

「か~。」

とコップの中身を空にして、

「ビール、買いに行くか?」

と、バカなのか。大きいからなのか。と、考えながらも、僕は笑いながら返事をしていた。

「折角、この世に生まれたんだから、いっぱい恋して、いっぱい笑わなきゃな。」

また、売店で並びながら、あの子可愛いな。と、先程と同じように、一杯のビールを楽しみに待つ。

旅人は、結婚していたけど、昔別れた。と話しながら、

「何で?」

と、生意気に聞いても、笑いながら理由を、一生懸命説明していた。

「夫婦でも他人なんだから、彼氏と彼女じゃ、当たり前のように、何を考えてるか分からないだろ?」

それでも経験不足の僕は、否定的な言葉を、ずっと言っていた。

「ナイアガラの滝は、いいぞ。」

一度、世界遺産を見て、旅人になった。と、話す旅人は、きっと、僕を笑わせたかったからなのかもしれないな。と、暗い時間に部屋に帰ってきてから、ベッドで一人、考えていた。 
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