あなたの思い出

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チャイムがなる頃

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朝、静寂とまではいかない教室。少し慣れたからだろうか、教室では多くはないが会話が増えた気がする。しかしバリバリに陰のオーラを放つ僕には関係のないことだ、と。ボーッと時計を見ながら思っていた。
「いいですか?」「!」いきなり話しかけられた、というのもあるが僕は話しかけられたこと自体にも驚きを隠せず、ビクッっという反応をしてしまった。
顔を上げると、清楚という言葉以外に似合いそうな言葉がない美少女がいた。
名前を思い出せないが、彼女は先日、たちまち男の中で噂になっていた。
そんなやつに絡まれるのは面倒臭そうだと思いつつ、要件を聞くことにした。
「なんだ?」「お昼、時間空いてますか?」
なんだナンパか?、とありもしない想像をしつつ、「空いているが...」と答える。
すると彼女は若干間を空け「ならおh...リーンドーンカーンコーン」彼女の話に横槍を入れるように、チャイムが鳴ってしまった。すると「またお昼」と笑顔で返された。
その笑顔が、あまりに素敵で、「惚れそ....」とそんなことを思いつつ、彼女が言いかけていた内容が気になってしまう。そんな休み時間なった。



僕は、この入学して1週間経たないくらいの、この時期が好きだ。何故か?それは至って単純。高校生活が、始まるからだ。学校やクラスメイト、先生にも慣れ始め、授業が始まる。このドキドキ感が、堪らないのである。堪らないのだが、僕の場合はそんなドキドキ感を体験するわけではない。というかできない。
こんな陰キャには、そんなチャンスすら与えられないのである。マジで神を恨むぜ。神なんてもの、存在しないのである。そんなことはわかってる。しかし親は自分を産んでくれたのだ。ここで親を恨んでも仕方がない。そう。僕からすると神なんて怒りや悲しみ、悔しさの捌け口でしかないのである。
と、天を喘いでいた僕だったが、ふと気がつくと4つ前の席のやつが自己紹介をしていた。
僕はこれもまた好きなのである。好き、というよりかは『助かる』の方が正しいだろうか。せめてクラスメイトの名前くらいは覚えていたい。
こうやって教科担任ごとに自己紹介をする(聞く)ことで何度も耳に入って覚えやすいのだ。
いよいよ自分の番だ。
「ア、エト、山香桃梨です。ソノ、よろしくお願いします」
そんな、陰キャ代表のような挨拶をして、僕の午前中の授業は幕を閉じたのであった。
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