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第1章

属性無し

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 俺が生まれて数日後、俺の前には両親と高齢の男性が立っていた。

     この頃には、少し目が見えるようになって来ていた。
     ……俺の両親って凄い美男美女だな。

 今日はなんでも、俺の属性を見るんだとか?
 どうやって見るんだろう?  何が見えるんだろう?などと考えていたところ、高齢男性が話し始めた。

「それでは、ワシの属性眼でサクラ王子の魔法の適性属性を確認するぞい。」
 高齢男性が、俺に近づいて来た。

「よろしく頼むぞウツギ。」
 王様が高齢男性にそう答えた。

 属性眼ってので、俺の属性が分かるのか。
 王子だし、いろんな属性を持ってるはずだ。

「では、始めますじゃ。」
 ウツギさんの両目が黄色に光って見える。

「……これは!  ………なんと申してよいか。」
 ウツギさんの表情が曇っているように見える。

 思ってたより良くなかったのかな?

「どうしたと言うのだウツギ。サクラの属性はどうなんだ?」
 王様が結果を聞き出そうとしている。

「サクラ王子の属性ですか……何の属性もありませんのじゃ」
 弱々しく言葉を発した。

「そんな!」
 王妃が驚きの声を上げた。

「ウツギよ。見間違いではないのか?  そんな……俺とキクの子が属性無しなんて……。」
 国王様がウツギさんに確認している。

 俺には属性が無いようだ。

 凄い属性とかがあるのかと期待していたが残念だ。    
 まぁ属性なんてなくても何とか生きていけるだろう!行ける……よね?

「この世界には数多の属性があるが……一つも持っていないなんて……。」
 国王様が呟いた。

 マジですか?  この世界にはいっぱい属性があって、複数持ってる人もいるのか?  もしかして、人生負け組からスタートなの?  ……でも、俺には神様からもらった前の世界の知識があるからやって行けるだろう!  落ち込んでいられないな!

「属性眼でも分からない可能性は……。」
 王妃がウツギさんに質問した。

「わしの属性眼で、今までに属性が判明しなかったことはありませんのじゃ。ただ、わしの属性眼で見れないこともあるかも知れませんのじゃ。」
 ウツギさんは王妃に答えた。

 ウツギさんのこの言い方だと、まだ可能性はあるかも知れないのか?  とりあえず、俺はこの世界で生きて行く為にこの身体を鍛えようと気持ちを新たにした。

 ……そして俺は気付いた……生まれて数日では話すことも、歩くことも出来ないから体も鍛えられないということに!
 歩けるまではこのままなのか!

 いや、赤ちゃん時代の鍛え方と言えば《ハイハイ》だ!

 めちゃくちゃハイハイして鍛えてやるぜ!
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