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子の成長
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アイテール校長先生に呼ばれたマルスが校長室を訪ねると、そこに待っていたのは、マルスの育ての親であるヘラとゼウスの姿だった。
ヘラとゼウスから、旅に出ることと、旅の目的を聞いたマルス。
「それにしても、それはミスリル製の装備か?」
ゼウスがマルスの装備を目にして、そう口にする。
「そうだよ。カニングトン鉱山で採って来たんだ。ミスリルゴーレムを倒したから、ミスリル鉱石がいっぱい手に入ったんだよ。」
マルスは、カニングトン鉱山での出来事を思い出す。
(ミスリルゴーレムがいなかったら、ミスリル鉱石を集めるのが大変だったな。)
「何っ!? マルスは、もうミスリルゴーレムを倒せたのか!?」
ミスリルゴーレムは、高いHPに加えて、攻撃力と防御力も高い。
ゼウスは、いくら自分達が育てて来たマルスと言えど、そんな簡単に勝てるとは思えなかった。
「うん。あっ!? 俺一人じゃなくて、イリス達も一緒だったよ。」
「それでも、入学間も無い学生が倒すモンスターじゃねぇよ。」
ゼウスは、マルスが自分達の下を離れてあまり時間が経っていないのに、マルスが急成長したように感じた。
「そうなの? ミスリルゴーレムも強かったけど、ハイペリオンとかギガントゾンビも強かったよ。かなりレベルも上がったし。」
「……マルス。あまり無茶はしちゃダメよ。普通は、もっと弱いモンスターを倒してレベルを上げるんだからね。」
ヘラは、マルスが危険なレベル上げをしていると思い、マルスを注意する。
「分かってるよ。」
「分かればよろしい。命は大事にするのよ。」
(ヘラさんに、心配かける訳にはいかないな。良し。ヘラさんが心配しないで済むくらい、強くなるぞ!)
「……なぁ、マルスのその剣もミスリル製だと思うんだが、その魔石はどうしたんだ? 俺の気の所為じゃなければ魔王石な気がするんだが。」
「な、なんですって!?」
(流石、ゼウスさんだ。この魔石が魔王石だってことに気付いたんだ。でも、俺が魔王と戦ったって知ったら、更に怒られそうな気が。)
「そうじゃな。それは紛れもなく魔王石じゃよ。先日マルスが討伐した、魔王デスワームの魔石じゃろう?」
(な、何余計なことを言ってくれてるんですか!?)
マルスは、爆弾を投下したアイテール校長を睨み付ける。
(あれ、二人の反応が無いな?)
「「……。」」
ヘラとゼウスは、俯いたまま無言で立ち上がっていた。
「お前は何をやってるんだ!」
「魔王と戦うなんて、早すぎるわ!」
ゼウスとヘラは、マルスに詰め寄り怒鳴り声を上げる。
「ご、ごめん、なさい。」
マルスは、二人に怒鳴られたのが懐かしいと感じた。
「全く、生きてるから良かったものの。下手したら死んでたかも知れないんだぞ!」
「ゼウスの言う通りです。まだ、魔王と戦うなんて早すぎるわ。」
「まぁまぁ、そう怒るな二人共。マルスは、その魔王に勝ったんだからな。」
アイテール校長が、マルスの弁護に回る。
「しかし、アイテール先生。」
「今は、校長じゃ。」
「いつまで経っても、アイテール先生は、俺らの先生ですよ。」
(アイテール校長は、ヘラさんとゼウスさんの学生時代は、先生だったのか。)
「それにしても、まさか魔王まで倒しているとは。」
「みんなと協力して何とか倒したんだよ。」
「当たり前だろ!? 一人で魔王と戦う奴なんているかよ。」
「まさか、魔王を倒していたなんて驚きだわ。」
「魔王の中でも、そんなに強い方じゃ無かったのかな?」
「まぁ、魔王って言っても、強さにばらつきがあるからな。それでも魔王を倒したんだ。大したもんだよ。」
ゼウスとヘラは、マルスなら本当に魔王ベヒモスを倒せる日が来るのでは無いかと感じていた。
「そう言えば、マルスは悪魔化した者とも戦ったのじゃったな。」
(校長先生!? 少し黙っててくれます!)
何とか魔王の件が纏まり掛けていたのに、再びアイテール校長は、別の話題を口にする。
「悪魔化だって!?」
校長先生が余計なことを言ったため、マルスは元クラスメイトのアザゼルが、悪魔化した件について説明した。
「そんなことがあったのか。」
「そのアザゼルって子と接触した人物が気になるわね。」
アザゼルの件は、現在も継続捜査中だが、進展は全くない。
「テュールがいてくれて良かったな。」
「うん。テュールさんの神級魔法凄かったよ。」
(流石、軍のトップの人なだけあるよな。あれ? そう言えば、ゼウスさんが神級魔法を使ったのを見たことないな。黒王って呼ばれるくらい凄いんだったら、神級魔法が使えてもいいような。)
「ねぇ、ゼウスさん。俺と戦ってる時に、全力出してた? テュールさんが神級魔法を使えたなら、ゼウスさんも使えるんじゃないの? 俺、今迄に一度もゼウスさんが神級魔法を使ってるの見たことないんだけど?」
「ん? まぁ、マルスに合わせて戦ってたからな。勿論神級魔法は使えるぞ。」
(やっぱり、使えたんだ!)
「てことは、ヘラさんも全力じゃなかったんだよね?」
「ええ。でも、この調子だと直ぐにマルスに抜かされちゃいそうね。」
マルスは、二人に勝てたと喜んでた自分が恥ずかしいと感じてしまっていた。
「どれ、学校に来てどれくらい腕を上げたか見てやるよ。」
「そうね。アイテール先生。訓練場を借りますね。」
「ああ。……訓練場を壊さんでくれよ。」
こうして、マルスは剣姫ヘラと黒王ゼウスと戦うことになったのだった。
ヘラとゼウスから、旅に出ることと、旅の目的を聞いたマルス。
「それにしても、それはミスリル製の装備か?」
ゼウスがマルスの装備を目にして、そう口にする。
「そうだよ。カニングトン鉱山で採って来たんだ。ミスリルゴーレムを倒したから、ミスリル鉱石がいっぱい手に入ったんだよ。」
マルスは、カニングトン鉱山での出来事を思い出す。
(ミスリルゴーレムがいなかったら、ミスリル鉱石を集めるのが大変だったな。)
「何っ!? マルスは、もうミスリルゴーレムを倒せたのか!?」
ミスリルゴーレムは、高いHPに加えて、攻撃力と防御力も高い。
ゼウスは、いくら自分達が育てて来たマルスと言えど、そんな簡単に勝てるとは思えなかった。
「うん。あっ!? 俺一人じゃなくて、イリス達も一緒だったよ。」
「それでも、入学間も無い学生が倒すモンスターじゃねぇよ。」
ゼウスは、マルスが自分達の下を離れてあまり時間が経っていないのに、マルスが急成長したように感じた。
「そうなの? ミスリルゴーレムも強かったけど、ハイペリオンとかギガントゾンビも強かったよ。かなりレベルも上がったし。」
「……マルス。あまり無茶はしちゃダメよ。普通は、もっと弱いモンスターを倒してレベルを上げるんだからね。」
ヘラは、マルスが危険なレベル上げをしていると思い、マルスを注意する。
「分かってるよ。」
「分かればよろしい。命は大事にするのよ。」
(ヘラさんに、心配かける訳にはいかないな。良し。ヘラさんが心配しないで済むくらい、強くなるぞ!)
「……なぁ、マルスのその剣もミスリル製だと思うんだが、その魔石はどうしたんだ? 俺の気の所為じゃなければ魔王石な気がするんだが。」
「な、なんですって!?」
(流石、ゼウスさんだ。この魔石が魔王石だってことに気付いたんだ。でも、俺が魔王と戦ったって知ったら、更に怒られそうな気が。)
「そうじゃな。それは紛れもなく魔王石じゃよ。先日マルスが討伐した、魔王デスワームの魔石じゃろう?」
(な、何余計なことを言ってくれてるんですか!?)
マルスは、爆弾を投下したアイテール校長を睨み付ける。
(あれ、二人の反応が無いな?)
「「……。」」
ヘラとゼウスは、俯いたまま無言で立ち上がっていた。
「お前は何をやってるんだ!」
「魔王と戦うなんて、早すぎるわ!」
ゼウスとヘラは、マルスに詰め寄り怒鳴り声を上げる。
「ご、ごめん、なさい。」
マルスは、二人に怒鳴られたのが懐かしいと感じた。
「全く、生きてるから良かったものの。下手したら死んでたかも知れないんだぞ!」
「ゼウスの言う通りです。まだ、魔王と戦うなんて早すぎるわ。」
「まぁまぁ、そう怒るな二人共。マルスは、その魔王に勝ったんだからな。」
アイテール校長が、マルスの弁護に回る。
「しかし、アイテール先生。」
「今は、校長じゃ。」
「いつまで経っても、アイテール先生は、俺らの先生ですよ。」
(アイテール校長は、ヘラさんとゼウスさんの学生時代は、先生だったのか。)
「それにしても、まさか魔王まで倒しているとは。」
「みんなと協力して何とか倒したんだよ。」
「当たり前だろ!? 一人で魔王と戦う奴なんているかよ。」
「まさか、魔王を倒していたなんて驚きだわ。」
「魔王の中でも、そんなに強い方じゃ無かったのかな?」
「まぁ、魔王って言っても、強さにばらつきがあるからな。それでも魔王を倒したんだ。大したもんだよ。」
ゼウスとヘラは、マルスなら本当に魔王ベヒモスを倒せる日が来るのでは無いかと感じていた。
「そう言えば、マルスは悪魔化した者とも戦ったのじゃったな。」
(校長先生!? 少し黙っててくれます!)
何とか魔王の件が纏まり掛けていたのに、再びアイテール校長は、別の話題を口にする。
「悪魔化だって!?」
校長先生が余計なことを言ったため、マルスは元クラスメイトのアザゼルが、悪魔化した件について説明した。
「そんなことがあったのか。」
「そのアザゼルって子と接触した人物が気になるわね。」
アザゼルの件は、現在も継続捜査中だが、進展は全くない。
「テュールがいてくれて良かったな。」
「うん。テュールさんの神級魔法凄かったよ。」
(流石、軍のトップの人なだけあるよな。あれ? そう言えば、ゼウスさんが神級魔法を使ったのを見たことないな。黒王って呼ばれるくらい凄いんだったら、神級魔法が使えてもいいような。)
「ねぇ、ゼウスさん。俺と戦ってる時に、全力出してた? テュールさんが神級魔法を使えたなら、ゼウスさんも使えるんじゃないの? 俺、今迄に一度もゼウスさんが神級魔法を使ってるの見たことないんだけど?」
「ん? まぁ、マルスに合わせて戦ってたからな。勿論神級魔法は使えるぞ。」
(やっぱり、使えたんだ!)
「てことは、ヘラさんも全力じゃなかったんだよね?」
「ええ。でも、この調子だと直ぐにマルスに抜かされちゃいそうね。」
マルスは、二人に勝てたと喜んでた自分が恥ずかしいと感じてしまっていた。
「どれ、学校に来てどれくらい腕を上げたか見てやるよ。」
「そうね。アイテール先生。訓練場を借りますね。」
「ああ。……訓練場を壊さんでくれよ。」
こうして、マルスは剣姫ヘラと黒王ゼウスと戦うことになったのだった。
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