『こすぷれ』とは一体、何なのだ? 異世界から現代日本に転移した騎士、鎧姿のためコスプレ屋の看板男になる

和美 一

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第19話:祭りの喧騒

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 『すたーだすと・りりぃ』とやらのコスプレをしている少女ははにかんだ笑みを浮かべた。
 露出度の高い格好ではあるが、よく出来ているというのは俺もルリと同意見だった。
 ナギサがそこにやって来る。

「あら、光。久しぶり」
「渚さん、お久しぶりです」

 どうやらナギサとこの少女――ヒカルというのか――は知り合いのようであった。
 お互いに相手のこすぷれを褒め立てている。

「渚さんがお連れしたんですね、この人たちは」
「ええ。よく出来ているコスプレでしょう? 特にアドニスの鎧はね」
「本物の鎧みたいです」

 まさか本物の鎧だとは言えない。俺は適当に笑って誤魔化しておいた。

「それにしても光。貴方、まだ女装コスプレをやってるのね」
「え!?」

 唐突にナギサが爆弾発言をし、サナが声を上げる。
 女装? ……ということはこの見目麗しい少女は男、ということか? そんな馬鹿な。こんな可愛い男の子がいる訳が……困惑する俺たちを見てヒカルは恥ずかしそうな顔をした。

「ええ、ボクにはこっちのコスプレの方が似合うみたいですから」
「光は男にしておくのは勿体ない美貌の持ち主だからね。その格好もよく似合っているわよ」

 ナギサは気にした風もなく言うが、俺、サナ、ルリ、フェイフーは困惑していた。
 フェイフーが「女装コスプレもあるとは聞いたけど……」と思い出したように口にする。
 そうなのかこすぷれというものは奥が深すぎるだろう。

「若宮光(わかみやひかる)です。よろしくお願いします」

 そんな俺の思いとは裏腹に女装こすぷれ少年は名乗る。サナとルリはまだ驚いた表情のままだ。

「貴方、男って本当?」
「え、ええ……」
「女の子にしか見えません……」

 サナとルリが困惑を表す。その気持ちは俺にも分かった。目の前の可憐な人物が女ではなく男だとは。

「リアル男の娘ってヤツね。まさかお目にかかれるとは思ってもいなかったわ」

 フェイフーがそう言い、ヒカルは恥ずかしそうにする。

「アドニスさん、でしたっけ? ボクもできればアドニスさんみたいな男らしいコスプレをしたいんですど……」
「人には向き不向きがあるわ。光は女装コスプレがよく似合っているんだから。その方向で間違いはないわ」

 堂々と女装を肯定するナギサ。
 ヒカルとしては今の自分の格好に少し不服であるようだが。当たり前か。男が女の格好をしているのだから。

「あの……一緒に記念撮影していいですか?」

 そんなヒカルにおずおずとルリが申し出る。
 ヒカルのこすぷれは女装であるということを加味してもよく出来ていて、一緒に写真を撮りたいというルリの思いも当然だろう。

「は、はいっ、ボクでよければ……」
「良かった。アドニスさんも一緒に写りましょうよ」
「ん? 俺か? まぁ、否定はしないが」

 そうして俺たち全員でキネンサツエイをする。
 慣れないことだが、悪い気分はしなかった。それからも一同はこすぷれ展を見て回る。

「あ! あの人、機動騎士バンダムオーツーの主人公・セツオの制服のコスプレよ!」
「そっくりですね」
「どんな素材を使って作ったのかしら……」

 サナもルナもフェイフーもはしゃいでいる。
 俺たちを招待したナギサも、会場で出会ったヒカルも加わり楽しい時間が流れる。
 俺の鎧はやはり抜きん出て出来がいいらしく、シャシンサツエイを何度も求められた。
 その度に快諾していたのだが。剣を振っている所を撮りたいとリクエストがあったので模造刀を抜き振り回す。
 そこをシャシンサツエイされた。これなら本来の鋼の剣でも持ってきた方がサマになったのだが、あれはジュウトウホウに違反するから仕方がない。
 招待客がジュトウホウイハンでケイカンに連れていかれればナギサの立場もないだろう。
 俺たちはこすぷれ展を見て回ったり、シャシンサツエイをしたりしながら時間を過ごす。
 こすぷれ扱いには未だ慣れぬ身であるが、なかなかに楽しい時間だ。
 しかし、楽しいことは早く過ぎるもの。このこすぷれ展も閉会の時間が迫って来ていた。

「最後にみんなで記念撮影をしましょう」

 ルリがそう提案し、俺、サナ、ルリ、フェイフー、ナギサ、ヒカルでシャシンを撮る。これで今日のお祭りの締めくくりと言った所か。みんな満足そうな顔をしていて、楽しげであった。

「やっぱりコスプレ展は最高ね! また開くからその時にはみんなも来るのよ?」

 上機嫌にナギサがそう言い、俺たちは頷く。
 まぁ、悪いもんでもない。次に開かれるのなら次も参加するのもやぶさかではない。
 そうして祭りは終わり、俺たちはナギサのりむじんで帰路に着いた。

「楽しかったわね」
「はい。楽しめました!」
「なかなか実のある時間だったわ」
「みんなが楽しんでくれたのなら何より」

 サナ、ルリ、フェイフーの言葉にナギサは笑みを浮かべる。

「今度は渚も私のコスプレショップに遊びに来てよね?」
「ええ、いいわ。色んなコスプレショップを回っている身だしね」

 サナの提案を快諾するナギサ。またこすぷれいやー仲間が増えたということか。
 和気藹々とした雰囲気の中、りむじんはアキハバラを目指して走るのであった。
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