万能のアイテム屋さん あらゆる魔物・状況に対するチート級武器防具アイテムが揃う店

和美 一

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第25話:ヒュドラ毒の解毒剤

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 危険な依頼であることは分かっていた。
 コーラル王国のサリバスト山脈でヒュドラが出没したという。
 同山脈を冒険した冒険者によってもたらされた情報であり、今はヒュドラは山脈の洞窟の中でおとなしくしているものの、いつ人里に出て来るか分かったものではない。
 迅速な討伐が必要な場面だった。コーラル王国王都にある冒険者ギルドにヒュドラ退治の依頼が出され、報酬は破格の値段であった。
 ヒュドラという魔物の危険性を考えるとそれは当然であるのだが。
 これを受けることができるのは個人の冒険者ではなく、パーティーを組んでいる冒険者たち、その中でも実績を残したパーティーだけに限られた。
 ヒュドラという危険極まりない魔物を相手にするのだ。それは当然のことであった。
 この依頼を受けることにしたパーティーがあった。
 熱血漢にして正義感である剣士ケイをリーダーにしたパーティーだ。
 このパーティーは腕利き揃いで知られており、今回のヒュドラ退治にも自ら名乗りを上げて、依頼を受けることにした次第だ。
 冒険者ギルドもこのパーティーならヒュドラ相手にも遅れは取らないだろうと思い、依頼する。
 ケイをリーダーにした面々は早速、サリバスト山脈に向かった。
 山脈まで辿り着き、魔物を蹴散らしながら、ヒュドラがいるという洞窟を目指す。
 そこにヒュドラはいた。巨大な蛇である。見かけだけでは大きいだけの蛇にしか見えないがその吐く息や口を開くと剥き出しに見える牙には猛毒がある。
 ケイをリーダーにしたパーティーは警戒しつつ、ヒュドラに挑んだ。
 まず魔法使いたちが遠距離攻撃をし、弓使いもそれに続く。
 それらがヒュドラの体に当たったのを機にケイたち前衛が前に飛び出し、ヒュドラに攻撃を浴びせる。
 順調にヒュドラにダメージを与えていっていた。
 ヒュドラも反撃の毒息や牙を繰り出そうとするも前衛のメンバーは素早く退避し、後衛が魔法や矢を放ち攻撃する。
 ヒュドラ相手に理想的な戦い方でケイのパーティーは戦っていた。しかし、

「ぐわっ!」

 前衛の一人、戦士クレストが猛毒の息吹を浴びてしまう。
 クレストの全身に毒が回り、クレストは地面に倒れ伏して猛毒の痛みにもがき苦しんだ。

「クレスト!」

 ケイが名を呼ぶがクレストから声が返って来ることはない。
 なんとか治療しなければならない。そう思いつつも今は目の前のヒュドラを退治しなければ第二のクレストを生むだけだ。
 ケイは剣を振るい、ヒュドラの頭部に突き立て、ヒュドラの息の根を止めた。

「大丈夫か!? クレスト!」

 メンバーはヒュドラの毒息に犯されたクレストの元に駆け寄るが、大丈夫そうには見えなかった。
 とりあえず肩を貸し、なんとか下山。王都のクレストの家まで運びベッドで寝かせたもののクレストは苦しみ続けるだけで猛毒が彼の体を蝕んでいるのは確かであった。
 ヒュドラ毒の解毒剤など存在しない。パーティーの治癒師(ヒーラー)が毒を解除する魔法をかけるも、それらでもヒュドラ毒は解除できないようだった。
 このままではクレストは死んでしまう。それを恐れたパーティーメンバーたちはどうしたものかと解決策がないかを訊いて回った。
 そこで噂の店の話を聞いた。赤髪の店主の店。
 そこにはあらゆるものがあるという。信じられた話ではないが、今は他に手もない。
 リーダーのケイが一人でその店に行くことにした。

「いらっしゃい」

 赤髪を肩まで垂らした店主がケイを出迎えてくれる。ケイは単刀直入に要件を話した。

「ヒュドラ毒の解毒剤が欲しい。この店にあるか?」
「ヒュドラ毒とはこれまた厄介なものだね」
「ないのか?」
「そうは言っていないだろう。少し待ってくれ」

 店主は店の奥に引っ込んでいく。帰って来た時には小瓶を持っていた。

「この中にあらゆる毒に対する特効薬が入っている。ヒュドラ毒も解毒できるはずだ」
「確かなのだな?」

 怪しげな店に怪しげな店主。そして、解毒不可能と言われるヒュドラ毒という要素が重なり、ケイを疑わせる。
 だが、店主は頷いた。

「確かだよ」
「分かった。これを貰おう」
「金貨2枚でいいよ」

 大事なパーティーメンバーの命がかかっているのだ。金に糸目は付けていられない。
 ケイは金貨2枚を店主に渡すと小瓶を受け取る。

「毎度あり」

 そうして、店を出てクレストの家に戻る。そこにはパーティーメンバーが一堂に会していた。

「リーダー! 解毒剤は?」
「買ってきた。あの店主に嘘がなければこれでヒュドラ毒も解毒できるはずだ」

 ケイはクレストに小瓶を与え、中の液体を飲ませた。
 すると、息も荒く、見るからに苦しそうだったクレストの表情が安らいでいく。
 ヒュドラ毒が浄化されつつある。それは確かなことであった。

「クレスト!」

 ケイは仲間の名を呼ぶ。クレストは目を開けて、体の上半身を起き上がらせた。

「リ、リーダー……オレの毒は、治ったのか……?」
「どうやらそのようだな。あの赤髪の店主、胡散臭いと思っていたが……」

 噂は本当だったということであろう。回復した仲間にパーティー一同が喜びの表情を浮かべる。
 あの噂の店。眉唾ものだと思っていたが……。ケイは思う。今後も世話になるかもしれないな、と。
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