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第31話:ドラゴンキラー その2
しおりを挟む赤髪の店主の店から対ドラゴン用必殺兵器ドラゴンキラーを買った冒険者・ケイはパーティーメンバーの元に戻った。
コーラル王国王都の一角にある酒場でケイたちパーティーが根城としている所だ。
帰って来たケイを見て、メンバーたちは立ち上がり、ケイを出迎える。
「リーダー」
「おかえりなさいリーダー」
「いい武器は買えたの?」
「リーダー、お待ちしていました」
「ああ。今、帰ったぞ」
パーティーメンバーの歓迎にケイは手を上げて応え、鞘に収めたままのドラゴンキラーを抜き放つ。
それを見たパーティーメンバーの目の色が変わった。
「こ、これは……」
「相当の名剣みたいですね……!」
メンバーはケイが持つ剣に視線を釘付けにされている。
ドラゴンキラー。その名に恥じぬ煌めく刀身を持つ一本の剣。
その姿を見れば自然と視線も意識も惹きつけられていくものだろう。
「ドラゴンキラー、だ。ドラゴンの鱗をも斬り裂けるらしい」
「この剣ならその言葉も誇大広告じゃないわね」
「そういことだ」
あの赤髪の店主が出した商品だし、ドラゴンに効果はあると思う。
それを抜きにしてもいい剣だ。単純な剣として使っても十全に力を発揮してくれるだろう。
その上にドラゴン特攻まである。これで金貨4枚は安い。
武器も手に入ったことだし、早速、ケイはパーティーメンバーと共に依頼、ドラゴン討伐に向かおうとする。
メンバーたちも頷いてくれた。
場所はサリバスト山脈。以前、ヒュドラの討伐に向かった場所と同じだ。
大魔女に退治されたらしいが、ワームも出たとの情報もある。
何かと物騒な地である。それでもひるんではいられない。
ケイはパーティーメンバー全員の顔を見て、その心がドラゴン相手に怖気づいているのではなく、ドラゴンを討ち倒すと熱意に燃えているのを確認し、満足し、出立する。
ケイに続き、パーティーメンバーたちも酒場を出て、サリバスト山脈に向かう。
山脈に到着し、早速、レッサー・ドラゴンやワイバーンといった下級のドラゴンが襲い掛かって来るが、用があるのはこのような下級のドラゴンではない。ケイたちは一蹴する。
とはいえ、ドラゴンキラーの試し斬りには丁度良かった。
ドラゴンキラーはレッサー・ドラゴンの体を綺麗にすっぱりと斬り裂き、その力を示す。
これにはケイもパーティーメンバーも満足であった。
「その剣、見かけ倒しじゃないみたいね」
「そのようだな」
それからも襲い来る下級ドラゴンたちにドラゴンキラーを振るう。
ドラゴンキラーは絶大な力を発揮し、下級ドラゴンたちを次々に斬り捨てて行く。
山脈を上り、洞窟に入った所で大きな咆哮が聞こえた。
いる。ドラゴンが。これまで倒してきたドラゴンたちとは比較にならないレベルのドラゴンが。
パーティーメンバーの緊張感は否が応でも高まり、警戒して、進んでいく。
そこにドラゴンはいた。巨大な体。肌をビッシリ纏った鱗。大きな羽根。太い腕と足に鋭い爪。
生物の最上位種・ドラゴンがケイたちパーティーの前に立ちふさがった。
「出てきたか……!」
言いつつケイはドラゴンキラーを構える。
後衛の二人は既に魔法と弓矢で攻撃を開始している。
それらを受けてもドラゴンは大したダメージを喰らっているようには見えなかった。
逆に逆鱗に触れたのかこちらを向き、大きな口を開き火炎を吐いて来る。
ケイたちは散らばって炎を避ける。戦士のクレストが剣をドラゴンに叩き付けるが、それは硬い龍鱗に弾かれ、ダメージを与えられない。
今こそ、このドラゴンキラーが真価を発揮する時。
そう確信したケイは地を蹴り、ドラゴンのふところに入り、ドラゴンキラーで斬り付ける。
ドラゴンキラーはドラゴンの鱗を軽々斬り裂き、その下の肉を断つ。
鮮血が舞い、ドラゴンの悲鳴が響き渡る。
真にドラゴンの逆鱗に触れたのはこの時であった。ドラゴンは両腕の爪を振り回し、滅茶苦茶に口から炎を吐き、ケイたちの命を奪わんとする。
これをなんとか回避し切ることができたのは流石は腕利きパーティーと言った所か。
ケイはもう一度、接近し、ドラゴンキラーで斬り付ける。
鱗を斬り裂き、その下の肌身を斬り裂く。そこにクレストも斬り付け、後衛の二人からは魔法と弓矢の援護が来る。
それらを受けてケイは高く飛び、ドラゴンの首を狙ってドラゴンキラーを振るう。
渾身の一撃がドラゴンの首を斬り裂き、ドラゴンは力なく悲鳴を上げると倒れ込んだ。
ドラゴンを倒した。その実感が遅れてやって来る。
「やった! やったわ! 流石はあたしたち!」
「やりましたね」
「怪我している人はいませんか? 治癒します」
「オレたちの勝ちッスよ、リーダー」
パーティーメンバーは全員大喜びであった。それも当然か。ドラゴンを倒したのだ。
「みんな、やったな」
ケイはそう言いつつドラゴンキラーを見る。
この剣がなければここまで楽に勝てはしなかったであろう。
ドラゴンキラー。その名に恥じぬ名剣だ。
それからメンバーはドラゴンの死体をバラす作業に専念した。ドラゴンの体の各部パーツは価値があり、高値で売れるし、武器や防具の材料にもなるのだ。
ケイもそれに加わりつつ、とりあえずのドラゴン退治の依頼達成を喜ぶのだった。
今日は酒場でみんなで打ち上げだな、と思いつつ。
ケイたちのパーティーはそれから竜殺しのパーティーと呼ばれるようになるのだった。
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