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第65話:状態異常無効のペンダント その1
しおりを挟む魔物が増えれば状態異常を付与してくる魔物も増えるものである。
えてしてそういう魔物は厄介な魔物だと認識されがちであった。
毒、麻痺。そういった異常を受けては魔物の討伐が困難になる。
冒険者イズキはそんなことに悩まされている身であった。そんな中、万能のアイテム屋の噂を聞いた。あの店にいけば魔物がもたらす状態異常を無効化する装備があるかもしれない。
そう期待して、イズキはコーラル王国王都の少し外れ、森に踏み入った所にある噂の店を訪れた。
「いらっしゃい」
赤髪を肩まで垂らした店主が出迎えてくれる。イズキは要件を話した。
「魔物がもたらす状態異常を無効にするアイテムはないか? 私はそれを探しているのだ」
「なるほどね。魔物の状態異常は厄介なもんだからね。少し待ってくれ」
店主は店の奥に引っ込むとしばらくして、一つのペンダントを持って現れた。
「こいつは状態異常を無効にするペンダントだ。これを付けていれば毒とも麻痺とも無縁だよ」
「そうか! しかし、そんな都合の良い物が本当にあるのか……?」
店主の胡散臭さも相まってイズキは少し悩んでしまうものだった。
「効果がなければ返品返金を受け入れるよ。とりあえず装備してみるといい」
「うむ。そうか。ではいただこう。いくらだ?」
「金貨2枚に銀貨20枚といった所だな」
代金を払い、イズキはペンダントを首にかける。
これで本当に毒や麻痺が防げるのだろうか。
イズキは疑問だったが、とりあえず信じてみるしかない、と思い。店を後にする。
「毎度あり」
店主の言葉を聞きながら店を出て王都の冒険者ギルドに戻る。
丁度、毒を持つミニマムヒュドラの討伐の依頼が張り出されていた。
このペンダントを試すにはもってこいだ。イズキはその依頼を受け、ミニマムヒュドラの大勢生息する所まで行き、剣を抜いた。
「はっ!」
剣でミニマムヒュドラを斬り裂く。
本家本元のヒュドラに比べれば遥かに劣るものの、油断できる魔物ではない。
ミニマムヒュドラも毒の吐息を吐くのだ。
ミニマムヒュドラたちを斬り捨てていると内一匹が毒の吐息をイズキに放つ。
しまった、とイズキは思ったが、そこで噂の店で買ったペンダントが光り、毒の吐息を無効化した。
このペンダント、本当に効果がある。
そう思いつつミニマムヒュドラを斬り捨てる。
これならミニマムヒュドラといえど恐れるに足らん。剣を振るい次々と斬り捨てていく。
毒の吐息はペンダントが無効化してくれる。存分に剣を振るえるというものであった。
ミニマムヒュドラたちを蹴散らし、イズキは改めて噂の店で買ったペンダントをありがたいと思う。
胡散臭い店主であったが、信用できるということか。
そう思いつつ、剣を振るう。ミニマムヒュドラは次々に斬り裂かれ、絶命していく。
毒が通用しないのならこんな蛇の軍団、楽勝であった。
そうして、ミニマムヒュドラを全滅させて、イズキは意気揚々と王都の冒険者ギルドに戻り、報酬を受け取る。楽な仕事だったな。そう思いつつ。
「やあ、イズキさんじゃないか」
そうしていると見知った顔と出会った。弓使いの冒険者、クルーベルだ。イズキは笑みを浮かべて挨拶を返す。
「クルーベルか」
「依頼を達成してきたところみたいだね」
「ああ。毒を吐くミニマムヒュドラの討伐だが、噂の店で買ったアイテムのおかげで楽に勝てた」
そう言うとクルーベルは少し驚いた顔になる。
「イズキさんもあの店に行ったのかい? 実は俺もなんだ」
「ほう、クルーベルも」
この弓使いもあの店で商品を買ったのか。少し驚きつつもやはり信頼に値する店だな、との思いを強くする。
「俺が買ったのはファイアー・ボウだけど、イズキさんは何を?」
「状態異常を無効にするペンダントだ。効果があるのか疑問だったが、少なくともミニマムヒュドラの毒ははじいてくれた」
「そうかー。あの店の商品ならそれくらいは当たり前だな」
クルーベルもあの店に信頼を置いているようであった。
「せっかくだし、一緒に依頼を受けるか?」
「そうだな。私は状態異常を無効化するペンダントを持っている。クルーベルは弓での攻撃なら魔物から状態異常を喰らうことも少ないだろう。強力な状態異常をもたらす魔物の討伐依頼を受けよう」
「そうだな。それなら報酬も大きい」
イズキはペンダントで状態異常を無効化し、クルーベルも弓での攻撃は遠距離攻撃になる状態異常を受けることは少ないだろう。
そうして、二人は麻痺の吐息を吐く、スパーク・サラマンダー討伐の依頼を受けた。これも完璧にこなせると自信あってのことだ。
現場に赴く二人であった。
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