オカンな幼馴染と内気な僕

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第一章 恋人始めました

第25話 お泊りデート(その3)

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※この話で、お泊りデート編は終わりです。

 意識が覚醒すると、窓際から朝日が昇っているのが見える。
「朝か……」

 横を見ると、すやすやと寝息を立てて寝ている真澄。
 行為の後、そのまま寝てしまったので、裸だ。

 行為の最中は無我夢中なところはあるけど、こうして冷静になって、彼女の裸体と自分の身体を見ると、妙に気恥ずかしくなる。

 それにしても、昨夜は予想外だった。真澄があそこまで積極的になってくるなんて。いや、僕がヘタレなだけかもしれないけど。

 次は僕の方からバシっと決めたい。そう思いながら、服を着る。

「んー。おはよー」

 寝ぼけ眼で、伸びをしながら、ぼーっとして朝の挨拶をしてくる真澄。

「うん。おはよう。それと……服を着た方がいいと思う」

 そう指摘する。

「……コウのエッチ」

 途端に布団をかぶってしまう。

「いや、エッチって。昨日は真澄の方が積極的だったでしょ」

 少し呆れてそう指摘する。

「そういうのはやな、流れっていうか……」

 そう弁解する真澄。昨日主導権を握られていたからか、こういう風に照れて弱みを見せてくると、とても可愛く見える。

「でも、ちょっと安心したよ。今も余裕そうだったら、僕の立つ瀬がないし」
「それは、コウが煮え切らんのが悪いんや!」

 ポンと枕を投げてくる。そんな可愛い攻撃が少し微笑ましい。

 そんなじゃれ合いをした後、二人で朝食へ。ホテルの1階でビュッフェ形式の朝食だ。普段、こういう風に、好きなものを詰め込めることはないので、楽しい。

「真澄のはバランスがいいね」

 伊達に料理部じゃない。いや、盛り付けには関係ないかもしれないけど。

「コウのはバランスが悪いと思うんよ」

 そう指摘される。確かに、肉と魚に偏っている。

「まあ、今日くらい、いいじゃない」

 そう言って食べ始める。うん。美味い。

「海を見ながらって、なんかいいね」
「大海原って感じやな。一度泳いでみたいなー」

 真澄の語彙はイマイチ乙女ぽく感じないことが多い。

「泳げるのかな……」

 もしかしたら、泳げるのかもしれないけど、どちらにしても、今の季節だとまだ早いか。

 10時のチェックアウトぎりぎりまでゆっくりしてから、ホテルを出る。あ、そうだ。お土産に……

「鎌倉半月」
「危うく忘れるところやったわ」

 昨日、話題にしたのに、すっかり忘れていた。調べてみると、鎌倉駅近くでも買えるらしい。

「鎌倉駅近くで買えるみたいだ」
「じゃ、そこで買おか」

 もうちょっと鎌倉を見て回ってもいい気がしたけど、昨日の疲れもあるし、ということで、今日はお土産を買って帰るだけだ。

 鎌倉駅に着くと、早速、二人で鎌倉半月を売っているお店へ。せっかくなので、駅近くの本店に行って買うことにした。

「はー、これが鎌倉半月なんやねー。ちょっと感動やわ」
「おおげさだよ」

 他の人たちにとっては、ただのお土産ものの一つだけど、僕たちにとっては少し違う。だから、真澄の感想もわかるんだけど。

「せっかくやし、帰りに食べる用も買っていこ?」
「いいね。そうしようか」

 結局、それぞれの学校の友達用、家族用、僕たち用で合わせて8箱も買ってしまった。おかげで、他のお土産を買う余裕がない。

 帰りの電車にて。

「んー。あんまり、半月と似てないんやね」

 鎌倉半月を掲げながら、そんなことを言う真澄。

「まあ、半円ってだけだしね」

 そんな身も蓋もないことをつぶやく。

「コウのイケず。ウチらの大事な想い出やんか」

 不服そうな目で僕を見つめる真澄。
 
「いや、あの夜の想い出は大切だけど、鎌倉半月が大事って、それは何かずれてない?」

 そうツッコむ。

「そういえばそうなんやけど」

 しかし、改めてみると、単に半円形のお菓子というだけだ。
 名前は半月が元なんだろうけど。
 昔の僕は、どうしてこれと半月をこじつけたんだろう。

 そんなことを考えながら、のんびりと二人で帰ったのだった。
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