それでは今から可愛い悪魔の話をします

モウキンルイ

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短めな話

鮮やかな赤い赤

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 吸血鬼の青年は、生き血を飲むのを厭いました。吸血鬼になったばかりの頃は、血と同じ赤色ですら嫌で嫌で仕方がありませんでした。
 そんなとき__悪魔の青年が、現れました。赤い赤い髪が__目に飛び込んできました。

 吸血鬼のシルフは__




「もう、しょうがないなあ。飲ませてあげるから、こっちにおいで」

 シアンが八重歯をきらめかせてニィっと笑い、手招きされるままに近づく。

「体調は悪くないか?」

「うん万全。だからたんとおあがりよ」

 確かに頬も唇も健康そうだ。あまり飲み過ぎてはいけないと意識しつつ、口を付ける。

 ハリのある肩口の皮膚が一瞬牙を受け止め、次いでプツ、と小さな切り込みが開く。ジュッ...と血液があふれ始めるのはすぐだ。ぺろりと舐めると不思議と甘い。ずっと味わっていたいような。
 見てはいないが想像できる、鮮やかな赤。今目に映っているシアンの髪と同じ赤。

 __俺はこれがずっと嫌いだった。赤が人からあふれ出したら、連想するのはその人の死で......吸血はだから、命を奪う行為だ。それをしなければいけないこの怪物が、大嫌いだった。
 だけど......シアンが現れて、俺にむりやり自分の血を飲ませた。同時に赤い赤い髪を靡かせて。

 __そのときから、徐々に嫌いじゃなくなってきたんだろうな。

「......ありがとう、シアン」

 俺は口を離して最後に傷口をぺろりと舐めると、シアンの目を見つめて言った。

「どうしたの、そんな改ってお礼なんて」

 シアンはきょとんとしている。まぁそうか、今更だもんな。自分の耳に熱が集まるのを感じる。

「......言いたかっただけ」

「そぉ?」

 お前が思うより、俺はお前に助けられてるんだよ、なんてうまく伝えられないな。
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