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『残念タイミングwww』
「今日は久々にセィ城下街で薬師マックと門番さんを見かけたぞ」
「マジか。辺境辺りに出現しないかと思って張ってたのに」
「なんか揉め事があったらしいな」
「揉め事……薬師マックが活躍した想像しかつかない」
「活躍したのは門番さんだ。セィの雑貨屋の可愛い子に馬鹿なことをしでかそうとしたプレイヤーがいてさ、それを門番さんがかっこよく捕まえてた。で、衛兵に渡してたから、あいつらBANまっしぐらだね」
「何やってんだか。街の人に手を出すなんて、今時やってる奴らいるんだなあ」
「合意ならいいからってんでナンパでもしてるんじゃないかな。この間砂漠都市でも花屋の子に言い寄ってる奴ら見かけたし。すごく迷惑そうな顔してたから、こっそり衛兵呼んでみた」
「よくやった。それは素晴らしい人助けだ」
「もしかしてセィの雑貨屋の子もそういう感じなのかな。どこからか湧いてくるんだなあそういう輩。俺も見かけたら通報するか」
「っていうかセィの雑貨屋の子って、ユキヒラの絶賛片想い中の子じゃね?」
「なんだそれ。ユキヒラ絶賛片想い?」
「詳しくはユキヒラスレを見てくれ。詳しく書いてある。何なら、ナンパの言葉集まであったりするから結構面白いぞ。不器用な王子様って感じだ。今日もその王子様は白馬を飛ばして雑貨屋の子を助けに来たから。ちなみに、すでに門番さんが助けた後だけれども」
「タイミングwwwww」
「いいとこ取られてる」
「まあ、門番さんだし」
「門番さんには負けるよな」
「腕っぷしすら勝てるかわからないくらいだよな」
「門番さん強すぎか」
「とりあえずセィに来ても雑貨屋は開いてないことだけ教えておく。流石にさっきの今で店を開けるのは怖いだろ。悲鳴上げてたし」
「冗談で済ませられないレベルじゃねえか」
「ああ。だからこそ門番さんと薬師マックが動いたんだろ。衛兵とも知り合いみたいだったし。俺は申し訳ないけど見てるだけしかできなかったよ。なんかああいう馬鹿やるやつたまにいるんだよなあ、なんて気楽に考えてた。今も後悔してる」
「なんかさ、薬師マックのすごいところって、ゲームのはずなのにNPCに本気でぶつかっていく所だよな……形だけでも真似して恩恵を受けてる奴って結構多いと思うよ。かくいう俺もその一人」
「ここ覗いてる奴らなんて皆似たようなもんだろ。そして、さっきのやつみたいな馬鹿はしないやつらだって信じてるよ」
「もちろん信頼してくれていいぜ」
「俺も」
「僕も信頼して。絶対馬鹿しないから。砂漠都市の子と相思相愛になったし」
「なんだ……それ」
「薬師マックがあれだけ門番さんとラブラブになったんだもん。僕だってなれるんじゃないかなって思って、思い切って一目惚れした子にアタックしまくったんだ。ほんとその子可愛くてさ。仕事の休憩時間に顔を出すと『来てくれて嬉しい』って笑ってくれるんだよ。これも薬師マックのお陰」
「こんなところに門番ラッキーのおこぼれがあろうとは……俺も声掛けてみようかな。ADOってさ、NPCっていっても個性バリバリな。すげえよ。同じ人が二人といないっていうか。しかも好みとかもほんとばらっばら。よくできてるよ」
「もう別世界と思っちゃっていいんじゃない? だってそうとしか見えないっていうかそう思った方がしっくりくるし、相手に対しても敬意を払える」
「確かに。心の中でそう思っとく」
「それ楽しそうだな。いいな」
「うん。そしてNPCにはちゃんと敬意を払おう」
「お前いいこと言うな」
「ほんとにな」
「流石薬師マックだ」
「流石薬師マック」
「薬師マックパねえ」
「え、そういう流れだった……?」
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