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女児霊といっしょに。~学校の七不思議~
第一章:夕暮れの忘れ物 18
しおりを挟む橙色と藍色が混じり合う逢魔が時の空、その下をオレ達一行は目的地に向けて歩いていた。小学生がいるので、ゆっくりと。おかげで到着する頃には日が暮れていそうだ。
目的地は九ヶ宮神社。
晩出市の名所の一つで、千二百年以上の歴史を持つ由緒正しい神社だ。県の文化財にも指定されているためか、参拝客も多い。敷地が広く自然豊かなため子供の遊び場にもなっており、オレもよく遊んだものだ。そして怪我もいっぱいした。坂を駆け下りて転んだり木から滑り落ちたり、当時は今以上に馬鹿丸出しだったな。
なので、紅花さんが行きたいと言った時にはてっきり思い出の場所巡りのためかと思ったが、目的はそれではないようだ。では何なのかと紅花さんに聞き返しても「それはヒミツです♪」なんて悪戯っぽく答えるばかり。仕草どころか頭まで子供に若返っているようだ。
昨日の紅花さんは大人の女性の鑑……と言い切って良いかは微妙だが、無理して完璧を装っているように思えた。でも今の紅花さんは心の底から楽しそうで、童心に返ったという言葉がぴったりだ。その点で言えば、頭が若返るというのは良いことだ――って、高校生が偉そうに言うことじゃないな。
友子ちゃんを浄霊で救うために始まったことだけれども、これで紅花さん自身もきっと救われるだろう。
それもこれも、ななのおかげだ。ななが友達にならなかったら友子ちゃんも紅花さんも救われず、やむなく強制浄霊で幕を閉じるはめになっていたかもしれないのだから。
オレをおちょくったり血涙を撒き散らしたりすることにも、多少は目を瞑ってやろう。
ななといえば、一つ引っ掛かることがあった。
友子ちゃんの行動についてだ。
フレンドリーで明朗キラキラのななが相手なら分かるが、何故怖い美羽ちゃんに自分から接触しようとしたのか。しかも幾度も。いくら紅花さんとそっくりだからといって二十五年の歳月が過ぎていることは本人も自覚していたし、結婚で名字が変わっているのだから明確な手掛かりだった訳でもない。
それ程までに紅花さんとの繋がりを見つけたかったのか?でもそれなら夕方だけではなくもっと他の時間にも出ているはず。それに二十五年前からいるのにこの一年で急に現れる頻度が増えたのは何故なのか。
どうも腑に落ちなかった。
「着いたみたいだよ、駆郎にぃ」
「お、おう。そうだな」
考え事をしている間に目的地に着いていた。
大きく堅牢な鳥居が目印の、九ヶ宮神社だ。
前方では「懐かしいね」「久しぶりだよ」なんて思い出に浸る友子ちゃんと紅花さん。旧友同士水入らずで過ごしているところ申し訳ないが、オレは最後の疑念を晴らすために踏み込んだ。
「友子ちゃん、ちょっといいかな?」
「はい、何か?」
「その、浄霊前に一つ聞きたいんだ。どうして急に美羽ちゃんや……他の子の前に姿を現すようになったのか」
「どうしてって……お姉さんに言われたから、かな」
「お姉さん?」
「あ、お姉さんって言ってもなな姉さんくらいの人です。私と同じ、おばけさんでした。そのお姉さんがもっと勇気を出して人前に出ろって」
待て待て待て。ななと同い年くらいの霊だと?
どういうことだ?七不思議とは別件で、ななと同様に野良霊がまだいるというのか?しかも他の霊に助言をするなんて……面倒見が良い子なのか?
「でも私やっぱり怖くて、それでも美羽ちゃんにだけは頑張って会おうとしたんだ。紅花ちゃんにそっくりだったから……。そしたら本当に紅花ちゃんに会えたし、キーホルダーも見つかったし、本当に……嬉しい……っ!」
涙目で微笑むと同時に、友子ちゃんの姿が薄れていき光の粒子に変わっていく。
浄霊が再スタートしたのだ。
「あーっ、友子ちゃん消えてる消えてるっ!もうちょっと満足するの待って!まだやることがあるから!」
「ちょっとー、ママを困らせないでよお兄さん!」
「ごめんごめん。はーい、友子ちゃん深呼吸深呼吸」
取り繕うように泣きかけの友子ちゃんの背中をさする。これじゃあまるで意地悪なことをして女子を泣かしてしまった奴みたいじゃないか。そんな立場になったことは今までないのに。
「駆郎にぃ、サイテー」
直球で貶さないで。泣きそう。
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