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女児霊といっしょに。~学校の七不思議~
第三章:異なる理 1
しおりを挟む今日から三年生の担当だ。気合いを入れなくては。
勿論いつも気合いは十分なのだが、三年生は特に入れる必要がある。
理由は単純明快。ななが推定三年生だからだ。
今回の初仕事は七不思議の解決、それからななの記憶を取り戻して気分良く未練を晴らして浄霊すること。そのための手掛かりが一番あると思われるのが、三年生のフロア及び七不思議だ。
うまくいけば七不思議を全て片付けるより先に、ななの浄霊が出来るかもしれない。腕が鳴るぞ。
「おーい、なな。そろそろ行くぞー」
登校準備が出来たので、その辺でうろちょろしているはずのななを呼ぶ。が、なかなか来ない。
どうしたんだろうか。腹でも痛いのか……ってそんな訳ないか。霊だし。
「あ~、ごめんね。今日は行けない。駆郎にぃ一人で行って」
にゅっと、壁からななの顔が生えてきた。
「何してんだよ。つーか学校行かねぇのかよ」
「うん。今日はこのはさんとショッピングなんだ!」
「へー……って、ぅおい!お前がいなかったら手掛かりが見つからねーかもしれないだろ!」
「はいはい、文句ばっかり言うんじゃありません」
そこへ母さんが割り込んでくる。
髪はリボンのカチューシャでとめて、服はふりふりレースの薄桃色のスカート。歳不相応極まりないガーリースタイル。それ、小学生のお洒落じゃないだろうか。まぁ、胸が若干ぱつぱつなこと以外は似合っているけど。実年齢を知っている息子としてはキツイ。見ていられない。本当にその格好でお買い物かよ、勇気あるな。
「丸一日休みなんてなかなかないのよ?ママはと~っても忙しいんだから」
「で、その休みにななを連れ回そうってことか」
「そういうこと♪今日はななちゃんのためにいっぱいお洋服を買ってあげるんだから」
「それ絶対無駄遣……衝動買いするパターンだろ。大抵いつもそうだけどさ。そもそもななに服はいらないだろ」
「何よそれ、ななはオシャレしちゃダメなの!?」
むきーっ、となながオレの頭に飛びついてくる。やめろ、セットした髪が乱れる。あと癖っ毛の部分を引っ張るな。
「そういう意味じゃねぇ。霊なら服くらい自由に出来るだろってことだよ」
「だっておうちにななに似合うお洋服がないんだもーん」
「そりゃそうだろ。オレが着ていたらやべーだろうが」
「だからショッピングするんだよ♪」
「買わなくていいってことだよ。ちゃんと覚えておけば霊力で再現できるだろ」
「だって覚えきれないんだもーん」
「そりゃただ単に馬鹿なだけでは――痛てててて!噛むな!頭はやめろ!」
「ほうへひゃひゃはひほふほうひふふふほうはへいへふほー!(どうせななは記憶喪失するような霊ですよー!)」
がりがり噛んでくるよ、この子。絶対歯型付いてるね。無理矢理引っ張ってなんとか抜け出したけど頭が涎まみれだよ。
まったく、困ったヤツだ。
霊は生前着ていた服や物を記憶を頼りに再現することが出来る。また死後見た物であっても再現は可能であるが、その場合生前の物の再現よりも霊力を余計に消費する。
ポピュラーな例なら落ち武者の霊だ。彼らは生前身につけていた鎧に加えて槍や刀を霊力で構成している。だが長期間霊力を行使すると段々と疲れていき、気持ちが完全に萎えると自然浄霊されてしまう。なのでよほど強い怨念でもなければ末永く霊でいられない。死後の物を再現なんてことをいつもしていたら霊力貯金をあっという間に溶かしてしまうのだ。因みに流行りのファッションに乗っかろうとして即破産自然浄霊した貴族の霊がいた、という文献があったりする。アホなのか。
で、ななの場合記憶喪失のためか作りが適当な白いワンピース(全裸じゃなくてよかった)だったが、やっぱりオシャレに敏感なお年頃。服のレパートリーを増やしたい訳だ。それならファッション誌の服と自分のワンピースを組み合わせて、霊力製のトキメクイマドキファッションの完成だ。霊力消費で疲れるが安上がりだぞ。
だというのにわざわざ買ってくる、と。よりにもよって浪費家の母さんと一緒に。絶対大量に買ってきそうだ。それこそ使い切れない、もとい覚えきれないくらいに。
「しょうがないでしょ。ななちゃんは記憶がなくて服の構造が分からないんだから」
「今着てるワンピースで大体分かるだろ」
「は~、ダメねぇ駆郎。女の子の服には色々な種類があるのよ?今の台詞、カノジョとのデートで言ったりしたら即ダストシュート行きよ?」
「余計なお世話だ。デートする相手なんていないし服のことなんか知らんわ」
「と・に・か・く、今日はななちゃんとお出かけしてくるから」
「はいはい。じゃあ一人で行ってきますよ」
母さんのごり押しを前にしては勝ち目がない。諦めよう。実際母さんが平日に丸々休めるなんて珍しいのだから、ななとのコンビは譲ってあげよう。
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