170 / 224
166
「あなたからの歓迎を、俺は心から嬉しく思う。凪殿の言葉を胸に置けば、あと二日、俺はきっとこの国のすべてを楽しく思えるだろう」
ありがとう。
そう言って微笑んだ彼に、凪はパッと顔を明るくさせた。彼に凪の真意が伝わり、そして大好きな自国を楽しんでくれるという。嬉しくて、嬉しくて、凪は先程とは別の意味で頬が赤らむのを感じた。
「あの! 春興通りはごぞんじですか? さくらなみきの先にあるのですが、おいしいお店や、でんとうあるものを売るお店がたくさんならんでいるのです!」
あの店はこんなものが売っている。ここの店は見た目にも美しい甘味が沢山ある。それからこの店には可愛らしい看板猫が。
「それと〝ちいさなまんげつや〟っていうおまんじゅう屋さんがあるんです。ボクはそこの〝まんげつ〟っていうおまんじゅうがだいすきなんです! とってもおいしいんですよ」
あれも、これも、凪が一番大好きなものも、全部ヒバリに教えてあげたかった。そうすればもっともっと、ヒバリはこの国を楽しんでくれるような気がしたのだ。
先程ヒバリは〝あと二日〟と言っていた。ずっと自由な時間ではないだろうから全部を見て回ることはできないかもしれないが、凪としては〝満月〟だけでも絶対に食べてほしい。可能ならば凪が買って、どうにかプレゼントすることはできないだろうか?
あれこれと店を紹介しながら、幼いなりにうんうんと凪が頭を悩ませていると、カサリと小さく葉を揺らす音が聞こえた。驚いて振り返ると、そこには異国の男が立っていた。
晩餐会の時に見た、あの長身の男ではない。だが、彼はどう見ても兎都の者ではなかった。
ありがとう。
そう言って微笑んだ彼に、凪はパッと顔を明るくさせた。彼に凪の真意が伝わり、そして大好きな自国を楽しんでくれるという。嬉しくて、嬉しくて、凪は先程とは別の意味で頬が赤らむのを感じた。
「あの! 春興通りはごぞんじですか? さくらなみきの先にあるのですが、おいしいお店や、でんとうあるものを売るお店がたくさんならんでいるのです!」
あの店はこんなものが売っている。ここの店は見た目にも美しい甘味が沢山ある。それからこの店には可愛らしい看板猫が。
「それと〝ちいさなまんげつや〟っていうおまんじゅう屋さんがあるんです。ボクはそこの〝まんげつ〟っていうおまんじゅうがだいすきなんです! とってもおいしいんですよ」
あれも、これも、凪が一番大好きなものも、全部ヒバリに教えてあげたかった。そうすればもっともっと、ヒバリはこの国を楽しんでくれるような気がしたのだ。
先程ヒバリは〝あと二日〟と言っていた。ずっと自由な時間ではないだろうから全部を見て回ることはできないかもしれないが、凪としては〝満月〟だけでも絶対に食べてほしい。可能ならば凪が買って、どうにかプレゼントすることはできないだろうか?
あれこれと店を紹介しながら、幼いなりにうんうんと凪が頭を悩ませていると、カサリと小さく葉を揺らす音が聞こえた。驚いて振り返ると、そこには異国の男が立っていた。
晩餐会の時に見た、あの長身の男ではない。だが、彼はどう見ても兎都の者ではなかった。
あなたにおすすめの小説
本の虫な転生赤ちゃんは血塗りの宰相の義愛娘~本の世界に入れる『ひみちゅのちから』でピンチの帝国を救ったら、冷酷パパに溺愛されてます
青空あかな
ファンタジー
ブラック企業に勤める本の虫でアラサーOLの星花は、突然水に突き落とされた衝撃を感じる。
藻掻くうちに、自分はなぜか赤ちゃんになっていることを理解する。
溺死寸前の彼女を助けたのは、冷徹な手腕により周囲から「血塗りの宰相」と恐れられるアイザック・リヴィエール公爵だった。
その後、熱に浮かされながら見た夢で前世を思い出し、星花は異世界の赤ちゃんに転生したことを自覚する。
目覚めた彼女は周囲の会話から、赤ちゃんの自分を川に落としたのは実の両親だと知って、強いショックを受けた。
前世の両親もいわゆる毒親であり、今世では「親」に愛されたかったと……。
リヴィエール公爵家の屋敷に連れて行かれると、星花にはとても貴重な聖属性の魔力があるとわかった。
アイザックに星花は「ステラ」と名付けられ彼の屋敷で暮らすようになる。
当のアイザックとはほとんど会わない塩対応だが、屋敷の善良な人たちに温かく育てられる。
そんなある日、精霊と冒険する絵本を読んだステラはその世界に入り込み、実際に精霊と冒険した。
ステラには「本の世界に入り込み、その本の知識や内容を実際に体験したように習得できる特別な力」があったのだ。
彼女はその力を使って、隣国との条約締結に関する通訳不在問題や皇帝陛下の病気を治す薬草探索など、様々な問題を解決する。
やがて、アイザックは最初は煩わしかったはずのステラの活躍と愛らしさを目の当たりにし、彼女を「娘として」大切に思うようになる。
これは赤ちゃんに転生した本好きアラサーの社畜OLが、前世の知識と本好きの力を活かして活躍した結果、冷徹な義父から溺愛される話である。
春野くんち―僕の日常は、過保護な兄弟たちに囲まれている―
猫に恋するワサビ菜
BL
春野家の朝は、いつも賑やかで少しだけ過保護。
穏やかで包容力のある長男・千隼。
明るくチャラめだが独占欲を隠さない次男・蓮。
家事万能でツンデレ気味な三男・凪。
素直になれないクールな末っ子・琉生。
そして、四人の兄弟から猫のように可愛がられている四男の乃空。
自由奔放な乃空の振る舞いに、兄たちは呆れながらも、とろけるような笑顔で彼を甘やかす。
また恋人に振られたので酒に飲まれていたらゴツい騎士に求婚していた件
月衣
BL
また恋人に振られた魔導省のエリート官吏アルヴィス。失恋のショックで酒に溺れた彼は勢いのまま酒場に現れた屈強な王宮騎士ガラティスに求婚してしまう。
翌朝すべての記憶を保持したまま絶望するアルヴィスだったが当のガラティスはなぜか本気だった。
「安心しろ。俺は誠実な男だ。一度決めたことは覆さない」
逃げようとするエリート魔導師と絶対に逃がさない最強騎士
貢ぎ体質な男が捕まる強制恋愛コメディのつもりです!!
あなたの愛したご令嬢は俺なんです
久野字
BL
「愛しい令息と結ばれたい。お前の家を金銭援助するからなんとかしろ」
没落寸前の家を救うため、強制的な契約を結ばれたアディル。一年限りで自分の体が令嬢に変わる秘薬を飲まされた彼は、無事に令息と思いを通じ合わせることに成功するが……
家族に忘れられていた第五王子は愛され生活を送る
りーさん
ファンタジー
アズール王国の王宮には、多くの王子や王女が住んでいる蒼星宮という宮がある。
その宮にはとある噂が広まっていた。併設されている図書館に子どもの幽霊が現れると。
そんなある日、図書館に出入りしていた第一王子は子どものような人影を見かける。
その時、父である国王にすら忘れられ、存在を知られていなかった第五王子の才覚が露になっていく。
人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます
七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。
歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。
世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。
気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。
「仲睦まじい夫婦」であるはずのわたしの夫は、わたしの葬儀で本性をあらわした
ぽんた
恋愛
サヤ・ラドフォード侯爵夫人が死んだ。その葬儀で、マッケイン王国でも「仲睦まじい夫婦」であるはずの彼女の夫が、妻を冒涜した。その聞くに堪えない本音。そんな夫の横には、夫が従妹だというレディが寄り添っている。サヤ・ラドフォードの棺の前で、夫とその従妹はサヤを断罪する。サヤは、ほんとうに彼らがいうような悪女だったのか?
※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。