必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「周はっけんッ!」
「サクラ、よくやった!」
 湊と由弦の声に周はビクリと肩を跳ねさせるが、頑なに顔を上げようとはしなかった。そんな周の前に二人でしゃがみ込む。功労者たるサクラは由弦にワシャワシャと撫でられてご満悦の様子だった。
「なぁ、周。そんなに落ち込む必要はねぇよ。雪也にはあれくらい言わねぇとわかんねぇんだから」
 あれだけ言ってもわからない、というのが正解なのかもしれないが、それを言葉にしてしまったら、本当に未来永劫なにも変わらないような気がして由弦は口をつぐむ。しかし、そうすると何を言えば良いのかわからなくなって、重い沈黙が流れた。
 元々誰かを慰めるなんてことは苦手なのだ。それに加え、今は由弦も周ほどではないにしろ雪也の行動に怒りを覚えている。気の利いた言葉のひとつも出てこなくて、何度も何かを言おうと口を開いては、何も言えず閉じるを繰り返した。そんな由弦の手から移動したサクラは周に身体をすり寄せ、片手をあげてはペシペシと太ももを叩き〝早く撫でろ〟と言わんばかりに催促している。その自由な姿に由弦は慌てるが、周は顔を上げることこそしなかったものの、無言でサクラの頭を撫で、脇をコチョコチョとくすぐった。
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