449 / 984
448
しおりを挟む
「…………皆、外へ。春風さんと少し、話しをさせてください」
静宮には叶えられなかった、茂秋の最期を知る弥生と話しを。その願いにお付きの者達は少し躊躇った後、ゆっくりと頭を垂れて部屋の外に控えた。パタリと、襖が閉められる。
「……春風さん、お帰りになるまでずっと信じずにいましたが、どうやら私は、寄る辺を亡くしてしもうたようです」
この冷たく広い、広い城で、幼子を抱え、独りに……。
「姫宮様を、決して独りになどいたしません。私では役不足でございましょうが、それでも、弥生はずっと、姫宮様の味方でございます」
淀みなく言う弥生に、クシャリと静宮は泣き笑う。
「そう言うてくださるのは嬉しいことですが、前に上さんから聞いております。もしも上さんが亡くなられ、将軍位が芳次殿の手に渡るようやったら、その時は春風さんを衛府から遠ざけるよう命じると。鶴頼はまだ産まれたばかりで、当然将軍の重責は負えませぬ。ならば、やはり私は独りになりましょうや」
まして尊皇が叫ばれる今、帝の妹たる静宮に衛府で息をつける場所はない。絶対的な庇護者である茂秋を失い、弥生までもが衛府を去る。確かに、静宮は産まれたばかりの鶴頼を抱え、独りぼっちになってしまうだろう。それでも――。
静宮には叶えられなかった、茂秋の最期を知る弥生と話しを。その願いにお付きの者達は少し躊躇った後、ゆっくりと頭を垂れて部屋の外に控えた。パタリと、襖が閉められる。
「……春風さん、お帰りになるまでずっと信じずにいましたが、どうやら私は、寄る辺を亡くしてしもうたようです」
この冷たく広い、広い城で、幼子を抱え、独りに……。
「姫宮様を、決して独りになどいたしません。私では役不足でございましょうが、それでも、弥生はずっと、姫宮様の味方でございます」
淀みなく言う弥生に、クシャリと静宮は泣き笑う。
「そう言うてくださるのは嬉しいことですが、前に上さんから聞いております。もしも上さんが亡くなられ、将軍位が芳次殿の手に渡るようやったら、その時は春風さんを衛府から遠ざけるよう命じると。鶴頼はまだ産まれたばかりで、当然将軍の重責は負えませぬ。ならば、やはり私は独りになりましょうや」
まして尊皇が叫ばれる今、帝の妹たる静宮に衛府で息をつける場所はない。絶対的な庇護者である茂秋を失い、弥生までもが衛府を去る。確かに、静宮は産まれたばかりの鶴頼を抱え、独りぼっちになってしまうだろう。それでも――。
2
あなたにおすすめの小説
僕の幸せは
春夏
BL
【完結しました】
【エールいただきました。ありがとうございます】
【たくさんの“いいね”ありがとうございます】
【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】
恋人に捨てられた悠の心情。
話は別れから始まります。全編が悠の視点です。
兄の親友と恋人ごっこしています
さくら乃
BL
兄の親友を好きなことを隠して恋人ごっこをする話。
兄優雅の親友陸郎は兄が好き。そして、僕、温は陸郎が好き。
そのことを隠して「兄の代わりにしていいよ」と持ちかける。
恋人ごっこをしながらどうにか自分のことを本当に好きになって貰えないかと画策する。
表紙は自前の写真を加工して作りました。
目標、それは
mahiro
BL
画面には、大好きな彼が今日も輝いている。それだけで幸せな気分になれるものだ。
今日も今日とて彼が歌っている曲を聴きながら大学に向かえば、友人から彼のライブがあるから一緒に行かないかと誘われ……?
嘘の日の言葉を信じてはいけない
斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
嘘の日--それは一年に一度だけユイさんに会える日。ユイさんは毎年僕を選んでくれるけど、毎回首筋を噛んでもらえずに施設に返される。それでも去り際に彼が「来年も選ぶから」と言ってくれるからその言葉を信じてまた一年待ち続ける。待ったところで選ばれる保証はどこにもない。オメガは相手を選べない。アルファに選んでもらうしかない。今年もモニター越しにユイさんの姿を見つけ、選んで欲しい気持ちでアピールをするけれど……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる