側妃が欲しいのですか? 言い訳は聞きたくありません

みみぢあん

文字の大きさ
20 / 23

19話 政敵 

しおりを挟む

 王太子夫妻の仲は、愛情でしっかりと結ばれていたため、ロッティが避妊用の薬湯茶やくとうちゃをベアトリスに飲ませても… その邪悪な手をかいくぐり、ベアトリスは2度も子供を妊娠した。

 ベアトリスの妊娠は、嫉妬心に火をつけ… 増々、強いうらみをロッティに抱かせることとなった。

 ファゼリー伯爵は淡々と話し続ける。

「ロッティの不倫相手は、殿下の兄上、第1王子を支持する一派だということがわかりました…」
 第1王子は現王の側妃の子であり、マクシミリアンの政敵である。

「…やはりな! 兄上の尻尾しっぽはつかめそうか?」
「良いところまで行けるのではないかと…」
「そうか、頼むぞエドガー! この件を最優先で進めてくれ」

「おまかせ下さい、殿下」
 これを機にファゼリー伯爵は第1王子派を、出来る限り粛正しゅくせいするつもりである。





 ベアトリスのことを心配したマクシミリアンは… 以前のように、毎夜、王太子妃の部屋にかようようになった。


「マクシミリアン様… 今、思えば… 私の寝室であなたと夜を過ごした、次の日の朝… いつもロッティは薬湯茶やくとうちゃを出す時、ニヤニヤと不躾ぶしつけに私を笑っていました」

 ベッドにならんで寝転がり… 毎晩、眠りにつく前にベアトリスは腕枕うでまくらをされながら、マクシミリアンとポツポツと話をした。

「うん… 私も見たことがある」

「あれは… 私とマクシミリアン様の仲が良いから、ロッティは喜んでいるのだと思っていました」
 だから、どれだけ不躾ぶしつけにロッティが笑っても… 私は彼女を笑って許していた。
 母国から付いて来てくれたことに感謝し… そして彼女を友人だと思い、心を許していた……

「私もそう思っていたよ… だから黙っていたんだ」

「でも、ロッティのあの嫌な笑みは… 私をずっと嘲笑あざわらっていたのですね…?」
 バカな女だと! ロッティは何も知らない私に避妊用の薬湯茶を飲ませながら、ずっと自分の復讐に酔っていたのかもしれない。

 負けてはいけないと思っていても… 考えれば考えるほどべアトリスはそんな自分がなさけなくなり、落ち込んでしまう。

 憂鬱ゆううつそうに落ち込む妻を、マクシミリアンはギュッ… と長い腕の中に抱き締めて、その夜も眠った。



 その後、ファゼリー伯爵の調査で、第1王子派の中心となっていた家門を1つつぶすことに成功し… マクシミリアンの政敵たちの力を、大きくぐことができた。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

【本編完結】笑顔で離縁してください 〜貴方に恋をしてました〜

桜夜
恋愛
「旦那様、私と離縁してください!」 私は今までに見せたことがないような笑顔で旦那様に離縁を申し出た……。 私はアルメニア王国の第三王女でした。私には二人のお姉様がいます。一番目のエリーお姉様は頭脳明晰でお優しく、何をするにも完璧なお姉様でした。二番目のウルルお姉様はとても美しく皆の憧れの的で、ご結婚をされた今では社交界の女性達をまとめております。では三番目の私は……。 王族では国が豊かになると噂される瞳の色を持った平凡な女でした… そんな私の旦那様は騎士団長をしており女性からも人気のある公爵家の三男の方でした……。 平凡な私が彼の方の隣にいてもいいのでしょうか? なので離縁させていただけませんか? 旦那様も離縁した方が嬉しいですよね?だって……。 *小説家になろう、カクヨムにも投稿しています

ハイパー王太子殿下の隣はツライよ! ~突然の婚約解消~

緑谷めい
恋愛
 私は公爵令嬢ナタリー・ランシス。17歳。  4歳年上の婚約者アルベルト王太子殿下は、超優秀で超絶イケメン!  一応美人の私だけれど、ハイパー王太子殿下の隣はツライものがある。  あれれ、おかしいぞ? ついに自分がゴミに思えてきましたわ!?  王太子殿下の弟、第2王子のロベルト殿下と私は、仲の良い幼馴染。  そのロベルト様の婚約者である隣国のエリーゼ王女と、私の婚約者のアルベルト王太子殿下が、結婚することになった!? よって、私と王太子殿下は、婚約解消してお別れ!? えっ!? 決定ですか? はっ? 一体どういうこと!?  * ハッピーエンドです。

あの素晴らしい愛をもう一度

仏白目
恋愛
伯爵夫人セレス・クリスティアーノは 33歳、愛する夫ジャレッド・クリスティアーノ伯爵との間には、可愛い子供が2人いる。 家同士のつながりで婚約した2人だが 婚約期間にはお互いに惹かれあい 好きだ!  私も大好き〜! 僕はもっと大好きだ! 私だって〜! と人前でいちゃつく姿は有名であった そんな情熱をもち結婚した2人は子宝にもめぐまれ爵位も継承し順風満帆であった はず・・・ このお話は、作者の自分勝手な世界観でのフィクションです。 あしからず!

白い結婚のはずが、旦那様の溺愛が止まりません!――冷徹領主と政略令嬢の甘すぎる夫婦生活

しおしお
恋愛
政略結婚の末、侯爵家から「価値がない」と切り捨てられた令嬢リオラ。 新しい夫となったのは、噂で“冷徹”と囁かれる辺境領主ラディス。 二人は互いの自由のため――**干渉しない“白い結婚”**を結ぶことに。 ところが。 ◆市場に行けばついてくる ◆荷物は全部持ちたがる ◆雨の日は仕事を早退して帰ってくる ◆ちょっと笑うだけで顔が真っ赤になる ……どう見ても、干渉しまくり。 「旦那様、これは白い結婚のはずでは……?」 「……君のことを、放っておけない」 距離はゆっくり縮まり、 優しすぎる態度にリオラの心も揺れ始める。 そんな時、彼女を利用しようと実家が再び手を伸ばす。 “冷徹”と呼ばれた旦那様の怒りが静かに燃え―― 「二度と妻を侮辱するな」 守られ、支え合い、やがて惹かれ合う二人の想いは、 いつしか“形だけの夫婦”を超えていく。

幼馴染以上、婚約者未満の王子と侯爵令嬢の関係

紫月 由良
恋愛
第二王子エインの婚約者は、貴族には珍しい赤茶色の髪を持つ侯爵令嬢のディアドラ。だが彼女の冷たい瞳と無口な性格が気に入らず、エインは婚約者の義兄フィオンとともに彼女を疎んじていた。そんな中、ディアドラが学院内で留学してきた男子学生たちと親しくしているという噂が広まる。注意しに行ったエインは彼女の見知らぬ一面に心を乱された。しかし婚約者の異母兄妹たちの思惑が問題を引き起こして……。 顔と頭が良く性格が悪い男の失恋ストーリー。 ※流血シーンがあります。(各話の前書きに注意書き+次話前書きにあらすじがあるので、飛ばし読み可能です)

完結 女性に興味が無い侯爵様 私は自由に生きます。

ヴァンドール
恋愛
私は絵を描いて暮らせるならそれだけで幸せ! そんな私に好都合な相手が。 女性に興味が無く仕事一筋で冷徹と噂の侯爵様との縁談が。 ただ面倒くさい従妹という令嬢がもれなく付いてきました。

【完結】捨てた女が高嶺の花になっていた〜『ジュエリーな君と甘い恋』の真実〜

ジュレヌク
恋愛
スファレライトは、婚約者を捨てた。 自分と結婚させる為に産み落とされた彼女は、全てにおいて彼より優秀だったからだ。 しかし、その後、彼女が、隣国の王太子妃になったと聞き、正に『高嶺の花』となってしまったのだと知る。 しかし、この物語の真相は、もっと別のところにあった。 それを彼が知ることは、一生ないだろう。

処理中です...