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19話 政敵
しおりを挟む王太子夫妻の仲は、愛情でしっかりと結ばれていたため、ロッティが避妊用の薬湯茶をベアトリスに飲ませても… その邪悪な手をかいくぐり、ベアトリスは2度も子供を妊娠した。
ベアトリスの妊娠は、嫉妬心に火をつけ… 増々、強い恨みをロッティに抱かせることとなった。
ファゼリー伯爵は淡々と話し続ける。
「ロッティの不倫相手は、殿下の兄上、第1王子を支持する一派だということがわかりました…」
第1王子は現王の側妃の子であり、マクシミリアンの政敵である。
「…やはりな! 兄上の尻尾はつかめそうか?」
「良いところまで行けるのではないかと…」
「そうか、頼むぞエドガー! この件を最優先で進めてくれ」
「お任せ下さい、殿下」
これを機にファゼリー伯爵は第1王子派を、出来る限り粛正するつもりである。
ベアトリスのことを心配したマクシミリアンは… 以前のように、毎夜、王太子妃の部屋にかようようになった。
「マクシミリアン様… 今、思えば… 私の寝室であなたと夜を過ごした、次の日の朝… いつもロッティは薬湯茶を出す時、ニヤニヤと不躾に私を笑っていました」
ベッドにならんで寝転がり… 毎晩、眠りにつく前にベアトリスは腕枕をされながら、マクシミリアンとポツポツと話をした。
「うん… 私も見たことがある」
「あれは… 私とマクシミリアン様の仲が良いから、ロッティは喜んでいるのだと思っていました」
だから、どれだけ不躾にロッティが笑っても… 私は彼女を笑って許していた。
母国から付いて来てくれたことに感謝し… そして彼女を友人だと思い、心を許していた……
「私もそう思っていたよ… だから黙っていたんだ」
「でも、ロッティのあの嫌な笑みは… 私をずっと嘲笑っていたのですね…?」
バカな女だと! ロッティは何も知らない私に避妊用の薬湯茶を飲ませながら、ずっと自分の復讐に酔っていたのかもしれない。
負けてはいけないと思っていても… 考えれば考えるほどべアトリスはそんな自分が情けなくなり、落ち込んでしまう。
憂鬱そうに落ち込む妻を、マクシミリアンはギュッ… と長い腕の中に抱き締めて、その夜も眠った。
その後、ファゼリー伯爵の調査で、第1王子派の中心となっていた家門を1つ潰すことに成功し… マクシミリアンの政敵たちの力を、大きく削ぐことができた。
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