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21話 判決
しおりを挟む私を心配して処刑場に集まっていた王国民たちにむかって、ラウレス様は剣をかかげて宣言する。
「聖霊姫クレマンティーヌを冤罪で処刑しようとしたうえに、2年前の王太子だった私… ラウレルの暗殺未遂! そして先王を毒殺し、数度の大罪を犯した偽王とその息子フィリップ! ならびに協力した謀反人たちをたった今、捕縛した!」
ラウレル様から1歩下がり、私は王国の安寧を願い聖霊王ルミエール様に祈りをささげながら、ラウレル様の宣言を聞いた。
王宮前の広場は私の祈りと浄化の光でつつまれる。
祈りとともにはなった聖霊力に引きよせられた、光り輝く無数の妖精たちが…
この時を祝福するように、王国民の頭の上を飛びまわった
「ラウレル殿下は生きていたんだぁぁ───っ!!」
「おおぉぉ───っ!! やっぱりクレマンティーヌ様は無実だったんだな!!」
「ラウレル殿下───っ!! ばんざい!!」
「謀反人フィリップを、今すぐ処刑してください!!」
「クレマンティーヌ様!! ラウレル殿下!!」
怒鳴り声でラウレル様の宣言に反応する民衆に、ラウレル様は大きくうなずいた。
「近いうちに私は、謀反人たちを正しく裁き、罪をつぐなわせることを約束する!!」
数ヶ月後。
ラウレル様は王国民への宣言通りに、偽王とフィリップ殿下、そして謀反に協力した元聖霊姫リュシエンヌの生家グルヴィリエ公爵家など。
正式に裁判が開かれ死刑が決まった。
処刑場で執行官に罪状を読み上げられ、刑の執行を言い渡されると、フィリップは泣きさけびながらさわいだ。
「待ってくれ、僕はやってない!! 謀反なんて全部、父上がやったんだ!!」
「愚か者!! だまれフィリップ! それでも私の子か?!」
フィリップの隣に立つ父親が諫めても、フィリップの命乞いは止まることはなかった。
「父上が悪いんだ! 僕は何も知らなかった!! 罪は犯してない───っ!!」
首を落とされた死刑囚たちの血を吸い、黒ずんだ囚人服を着せられたフィリップが、大さわぎする見苦しい姿に…
処刑を見るため、処刑場に集まった民衆たちはゲラゲラと嘲笑した。
「往生際が悪いぞ! 大罪人を早く殺せ───っ!!」
「元王子のくせに恥ずかしく無いのか?!」
「やっぱり偽物は偽物だな!!!」
「聖霊姫様はもっと立派な態度だったぞ───!」
王太子の地位をとりもどしたラウレル様と、ラウレル様の婚約者となった私は、気は進まなかったけど。
立場上、元王族の偽王とフィリップの処刑に立ち会うために、処刑場に足をはこんだ。
私の姿を見つけたフィリップはさらにさわいだ。
「嫌だ死にたくない!! 僕の婚約者だろ? ク… クレマンティーヌ!」
「なんて不敬なことを口にだすのだ!!」
「クレマンティーヌ、お願いだ! どうか慈悲の心で僕を… 聖霊姫なら僕を救ってくれぇぇ───っ!!」
今さら刑が覆ることはない。
知らないなら知らないなりに、王太子の立場を正しく理解して誠実に仕事に取り組んでいれば… 情状酌量で減刑されたかも知れない。
…だが、フィリップにはその余地すら無かった。
先王が崩御して以来、2年の間に私利私欲を貪ってきた貴族たちは家門ごと、断頭台の露と消えた。
その中には私が領地を大規模浄化した、伯爵家もふくまれていた。
ちなみに元聖霊姫リュシエンヌは、北部の神殿へ送られた。
ラウレル様はリュシエンヌも、グルヴィリエ公爵家とともに死刑にするつもりだったけど…… 私が死刑は止めるよう進言した。
「ラウレル様、弱くても貴重な聖霊力を持っているリュシエンヌを、処刑するのはもったいないです」
「だが、レベッカ…」
「彼女は自分がどれだけ大きな罪を犯したのか、もっと意味を理解するべきです」
神官見習いよりも下の地位に降格され、きびしい監視のもとで聖霊石の制作に従事することを条件に、リュシエンヌの罪は減刑された。
プライドが高く贅沢になれたリュシエンヌには、質素でみじめな生活が死ぬよりも辛い罰になるはずだから。
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