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16話 王都にて…3 エドガーside
しおりを挟む自分が結婚を避けて来た理由をエドガーが考え直していると… 不意に王太子マクシミリアンが声をかけた。
「それでエドガー、お前の幼馴染の令嬢を私に紹介してくれるのだろう?」
「殿下… そうやって私の幼馴染を口実にして、側妃選抜の時間稼ぎに使う気なのでしょう?」
殿下は優し気な印象を相手にあたえる人だが… 実際は王族らしく腹の中は真っ黒で、つねに策略を巡らせているような人だ。 だまされないぞ!
「やっぱり、わかるか?」
「わかりますよ、殿下。 やめて下さい。 そんなことに私の大切な幼馴染を巻き込むのは」
こんな策略家にまっすぐな質のジュリーを会わせるなんて論外だ。 危険すぎる。
「なぜだ? 私の側妃候補に名前があがるだけでも社交界で嫌でも目立ち、花婿候補が列を作って集まるのではないかな?」
王族の影響力はそれほど大きいのだ。
「それでも絶対に彼女はダメです。 お断りします、殿下」
ブリュノの言う通り、私が望むジュリーの花婿候補は、私が1番理想的だ。 私がジュリーと結婚する。
今までずっと結婚を避けて来たが、今の私なら妻や子供を守れるだけの能力と経験がある。
「エドガー… そう固いことを言わずにだな…」
「お断りします、殿下!」
自分の気持ちを素直に認めよう。 私はジュリーが欲しい! 欲しくてたまらない!
王都に戻ってから彼女のことが頭を離れず、仕事も進まない。
ジュリーを手に入れなければ。 絶対に誰にも渡したくない。 私なら彼女を幸せに出来る!
幼い頃から長男長女同士エドガーとジュリーは子供ながら、お互いの義務や責任についてよく知り理解し合って来た。
何年も離れて暮らし大人になって再会した2人だが、エドガーがジュリーをすぐに理解したように、ジュリーもエドガーをすぐに理解した。
2人には時間の隔たりが作用する障害などほとんどなかったのだ。
フゥ―――ッ… と大きく息を吐き、少し興奮気味だと自覚があるエドガーは自分を落ちつけようと瞳を閉じた。
ギュッ… と拳をにぎり自分に気合いを入れる。
「殿下! 急用を思い出したので、私はここで失礼します」
溜まった仕事が山のように積まれた執務机を離れ、王太子マクシミリアンの前を大股で横切りエドガーは執務室の扉に向かう。
「ええっ?! おい、エドガー! ちょっと待てっ…!!」
仕事を放り出し帰宅しようとするエドガーを、あわてて同僚のブリュノが引き止めようとするが…
「申し訳ないが一刻も早く求愛の準備をしたいから」
まずは弁護士と会う。
それからセイフォード男爵が一目見て、ジュリーと私の結婚を即決で受け入れそうな完璧な婚前契約書を作らないと。
興味津々でエドガーをながめる王太子マクシミリアンに、扉の前から一礼し… あわてるブリュノの肩をトンッ… トンッ… とたたくとエドガーは自分の執務室を出た。
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