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33話 キス2 エドガーside
しおりを挟むジュリーの気持ちを少しでも解そうと… エドガーは求婚の言葉をつげる前に、花束で両手が使えないジュリーの口に砂糖菓子をコロコロと入れてやる。
エドガーがジュリーの口に砂糖菓子を入れた瞬間… ジュリーはキラキラと瞳を輝かせ嬉しそうに笑った。
「王都で貴婦人たちに人気がある店の菓子らしい… どうだジュリー… 少しは幸せになったか?」
「うんっ!」
ジュリーは満面の笑みをそえてエドガーに返事をした。
「……っ?!」
ああ… なんて可愛いんだジュリー! これは癖になりそうだな。
小さな砂糖菓子でこんなにも喜ぶなんて! まさか… これほどの効果があるとは思わなかった。
正直、『女の子は甘いものが大好きだから』と言った弟の言葉など、ほとんど信じていなかった。
だが、これからはジュリーのために私の上着に必ず砂糖菓子を入れておくことにしよう!
今日は朝からずっとエドガーは不運続きだった。
ジョナサンの助言を聞き入れ、ファゼリー伯爵家の温室へ行き、エドガーが庭師にピンクのバラを頼むと『ジョナサン様が、毎日持って行かれたので、ほとんど残っていません』と言われたのだ。
それで小ぶりなうえに地味な青バラと白バラの花束になってしまい… 口には出さなかったがエドガーはかなりへこんでいた。
そのうえ…
『さぁ、ジュリーに会いに行くぞ! 途中で街に寄り甘い菓子を買う』 とエドガーが屋敷を出ようとしたその時… 突然王都から招かれざる客があらわれた。
エドガーは急遽、その客の相手をしなければならなくなり… 結局、男爵邸にたどり着けたのは夕方だった。
だが不幸中の幸いで、王都から来たその客が砂糖菓子を土産として持ってきていたのだ。
エドガーはありがたく招かれざる客から土産を受け取り、中身だけを上着のポケットに入れ… 現在は可愛く笑うジュリーの口の中に消え、餌づけに成功している。
上機嫌になったジュリーの口に4つ目の砂糖菓子を入れながら… 『よしっ! 今だ!!』と、エドガーは……
「…ジュリー、結婚してくれ!」
「…?!!!」
ジュリーは言葉を失い困惑の表情を浮かべた。
「ジュリー、口を開けて…」
いけない。 今のは少し強引すぎたか? とにかくジュリーの口にボンボンを入れて、もっと甘い気持ちにさせないと!
エドガーは5つ目のボンボンをジュリーの口へ入れる。
「……」
「ジュリー… うん、と言ってくれ!」
「うん………?」
「よし!!」
言った! 今ジュリーは、確かに『うん』と言ったぞ…?!!
「…っ?!!」
少し興奮気味のジュリーはパチパチと何度も空色の瞳をまばたきする。
セイフォード男爵邸の玄関ホールで、エドガーは大胆にも使用人たちの前でジュリーにキスをした。
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