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アリオンside2
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「なぁ 聞いたか?クロエ令嬢、お前の次は、今度は専門科のイオを脅して言いなりにしてるらしいぞ。」
アリオンが放課後、帰り支度をしていると、ルイがとんでもないことを言ってきた。
「は?」
アリオンは、信憑性のない話を平然と話してくるルイに、心底呆れた。
また、婚約解消という状況になった友人に対して、面白半分でクロエの近況を伝えてくるコイツは、デリカシーというものが欠如してる男だと思った。
「ルイ、くだらない噂話してくるな。それに、僕の次はって何だ?クロエに脅されたことは一度もないが。」
アリオンに相手にされず、ルイは口を尖らせて反論した。
「いや、でもさ、クロエ令嬢とイオが一緒に帰ってたのは本当なんだよ!男子から聞いた話だと、仲良さげに笑いながら帰ってるの見たって。。。」
「・・・・・・」
ルイが男子から聞いてきた内容は、噂話よりさらにアリオンを苛立たせる内容だった。コイツは本当に不愉快な男だ。
(仲良さそうに笑って一緒に帰った、だと?クロエとあのイオとかいう男子生徒が??ありえない。。。)
アリオンは、クロエが最近、専門科の3匹とよく一緒にいることは知っていた。
アリオンをいつも最優先に考え、行動していたクロエが、他の生徒と仲良くするなど、腹立たしいことこの上なかったが、自分の立場で腹を立てるのは筋違いと分かっていた。
しかし、一人の男子と仲良くするのは話は別だ。
クロエに笑いかけられて、落ちない男などいないことは、アリオンの実体験として分かっていた。
アリオンからすると、イオは、特に秀でたところがない、どこにでもいる男子生徒の印象であった。
何をとってみても、クロエの隣に立つのにふさわしい人物だと思えなかった。
大した努力もせず、少し人気者だからクロエにも気に入られると思っているのだろうか?
一方で、純粋で男慣れしていないクロエは、軽い口説き文句ですら真に受けてしまうのではないか、という不安もあり、アリオンは気が気でなくなってしまった。
アリオンとルイが教室で一緒にいると、そこへ図書室から帰ってきたセリーナが合流した。
「お二人さん!なに話してるの?」
アリオンは、ルイに余計なことは言うなと目で合図をした。
ごく自然と、アリオンとルイの方に手を掛け、セリーナが身を乗り出すようにして聞いてきた。このところ、ルイはセリーナを意識しているように見えた。
セリーナは元々ボディタッチが多いが、ルイよりもアリオンに触る機会が圧倒的に多い。そんなとき、ルイは決まって不機嫌になるのだ。
アリオンは優越感というよりは、居心地の悪さを感じ始めていた。
◇
以前、アリオンの屋敷にセリーナが来ていたところを、クロエに見られたことがあった。
そもそも、なぜセリーナがあの日アリオンの屋敷にいたのか。
婚約解消をクロエに伝えたあと、クロエは翌日から学校を休んだ。
アリオンは罪悪感と、自分への無力感で押し潰されそうになり、またクロエの体調が心配であった。
迷惑かとも思ったが、一度クロエを訪ねてみようと思う、とセリーナに話した時だった。
「アリオン様、やめた方がいいですよ。婚約解消されたのに、下手に優しくされたらクロエ様、もっとつらいです。。。」
アリオンは、それは確かにそうかもしれないと思った。どの面を下げてお見舞いに行こうというのか。
「それに、アリオン様、最近寝てないでしょう?顔色も真っ青だし、ぼーとしてる。私、心配だから、今日はアリオン様のお家まで行かせてください。家で、私に悩みを吐き出したらきっと楽になりますよ。」
セリーナが原因で婚約解消したとクロエは思っている。
そんな中で、セリーナを家に呼ぶのはどうかと思った。
一度断ったが、それでも行くと食い下がってくるセリーナを、断固拒否する力がアリオンには残っていなかった。
クロエが屋敷に来たと聞いたとき、内心会いたかったが、セリーナとは絶対に鉢合わせしない方がいいと判断し、面会を断った。
予想外にも、クロエが中へ入ってきてしまったため、最悪の修羅場となってしまったのだった。
さらに最悪だったのは、クロエがセリーナに対して激しく怒っていた為、怒りの矛先を変えようと、自分がとっさに放ったことばだった。
『セリーナに惹かれてしまった』
自分はこのように言った。そう言われたあとのクロエのひどく傷付いた顔を見て、
(ああ、僕は言ってはいけないことを言ってしまった。)
とひどく後悔した。
クロエよりもセリーナに惹かれたから、婚約解消した、というのは全く真実ではなかった。
セリーナには、親近感や居心地の良さを感じていたし、良い相談相手であったが、結局は激しい感情を突き動かされることはなかった。
その後訂正しようにも、すぐに婚約解消の書簡が届き、両親にも伝えられた。
今さら訂正したところで、何になる?
アリオンが、婚約解消を申し出たのは事実だ。
本心は、『婚約の為に、無理を重ねて自分自身が分からなくなる状態』が限界だったし、普段は優しいクロエが、アリオンが原因でセリーナを目の敵にするほど変わってしまったことも悲しかった。
アリオンは、クロエが隣にいることが、長年日常に溶け込みすぎていたため、婚約解消によって
『彼女が隣からいなくなること』
を想像できていなかったのだった。
アリオンが放課後、帰り支度をしていると、ルイがとんでもないことを言ってきた。
「は?」
アリオンは、信憑性のない話を平然と話してくるルイに、心底呆れた。
また、婚約解消という状況になった友人に対して、面白半分でクロエの近況を伝えてくるコイツは、デリカシーというものが欠如してる男だと思った。
「ルイ、くだらない噂話してくるな。それに、僕の次はって何だ?クロエに脅されたことは一度もないが。」
アリオンに相手にされず、ルイは口を尖らせて反論した。
「いや、でもさ、クロエ令嬢とイオが一緒に帰ってたのは本当なんだよ!男子から聞いた話だと、仲良さげに笑いながら帰ってるの見たって。。。」
「・・・・・・」
ルイが男子から聞いてきた内容は、噂話よりさらにアリオンを苛立たせる内容だった。コイツは本当に不愉快な男だ。
(仲良さそうに笑って一緒に帰った、だと?クロエとあのイオとかいう男子生徒が??ありえない。。。)
アリオンは、クロエが最近、専門科の3匹とよく一緒にいることは知っていた。
アリオンをいつも最優先に考え、行動していたクロエが、他の生徒と仲良くするなど、腹立たしいことこの上なかったが、自分の立場で腹を立てるのは筋違いと分かっていた。
しかし、一人の男子と仲良くするのは話は別だ。
クロエに笑いかけられて、落ちない男などいないことは、アリオンの実体験として分かっていた。
アリオンからすると、イオは、特に秀でたところがない、どこにでもいる男子生徒の印象であった。
何をとってみても、クロエの隣に立つのにふさわしい人物だと思えなかった。
大した努力もせず、少し人気者だからクロエにも気に入られると思っているのだろうか?
一方で、純粋で男慣れしていないクロエは、軽い口説き文句ですら真に受けてしまうのではないか、という不安もあり、アリオンは気が気でなくなってしまった。
アリオンとルイが教室で一緒にいると、そこへ図書室から帰ってきたセリーナが合流した。
「お二人さん!なに話してるの?」
アリオンは、ルイに余計なことは言うなと目で合図をした。
ごく自然と、アリオンとルイの方に手を掛け、セリーナが身を乗り出すようにして聞いてきた。このところ、ルイはセリーナを意識しているように見えた。
セリーナは元々ボディタッチが多いが、ルイよりもアリオンに触る機会が圧倒的に多い。そんなとき、ルイは決まって不機嫌になるのだ。
アリオンは優越感というよりは、居心地の悪さを感じ始めていた。
◇
以前、アリオンの屋敷にセリーナが来ていたところを、クロエに見られたことがあった。
そもそも、なぜセリーナがあの日アリオンの屋敷にいたのか。
婚約解消をクロエに伝えたあと、クロエは翌日から学校を休んだ。
アリオンは罪悪感と、自分への無力感で押し潰されそうになり、またクロエの体調が心配であった。
迷惑かとも思ったが、一度クロエを訪ねてみようと思う、とセリーナに話した時だった。
「アリオン様、やめた方がいいですよ。婚約解消されたのに、下手に優しくされたらクロエ様、もっとつらいです。。。」
アリオンは、それは確かにそうかもしれないと思った。どの面を下げてお見舞いに行こうというのか。
「それに、アリオン様、最近寝てないでしょう?顔色も真っ青だし、ぼーとしてる。私、心配だから、今日はアリオン様のお家まで行かせてください。家で、私に悩みを吐き出したらきっと楽になりますよ。」
セリーナが原因で婚約解消したとクロエは思っている。
そんな中で、セリーナを家に呼ぶのはどうかと思った。
一度断ったが、それでも行くと食い下がってくるセリーナを、断固拒否する力がアリオンには残っていなかった。
クロエが屋敷に来たと聞いたとき、内心会いたかったが、セリーナとは絶対に鉢合わせしない方がいいと判断し、面会を断った。
予想外にも、クロエが中へ入ってきてしまったため、最悪の修羅場となってしまったのだった。
さらに最悪だったのは、クロエがセリーナに対して激しく怒っていた為、怒りの矛先を変えようと、自分がとっさに放ったことばだった。
『セリーナに惹かれてしまった』
自分はこのように言った。そう言われたあとのクロエのひどく傷付いた顔を見て、
(ああ、僕は言ってはいけないことを言ってしまった。)
とひどく後悔した。
クロエよりもセリーナに惹かれたから、婚約解消した、というのは全く真実ではなかった。
セリーナには、親近感や居心地の良さを感じていたし、良い相談相手であったが、結局は激しい感情を突き動かされることはなかった。
その後訂正しようにも、すぐに婚約解消の書簡が届き、両親にも伝えられた。
今さら訂正したところで、何になる?
アリオンが、婚約解消を申し出たのは事実だ。
本心は、『婚約の為に、無理を重ねて自分自身が分からなくなる状態』が限界だったし、普段は優しいクロエが、アリオンが原因でセリーナを目の敵にするほど変わってしまったことも悲しかった。
アリオンは、クロエが隣にいることが、長年日常に溶け込みすぎていたため、婚約解消によって
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を想像できていなかったのだった。
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