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私と最愛の魔法使い~王女様、私の夫に惚れられても困ります!~
誕生日プレゼント
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それから3日ほど少女は滞在し、シェリーに我慢の限界がきていた頃だった。
少女が『迎えがくることになった』と言うので、フィガロの港まで送った。遠くに迎えに来た執事風の壮年の男性が見えた為、その場で少女と別れた。
少女は、別れ際レイの手を掴んで、
「このご恩は忘れないわ。また近いうちに、会うことになるでしょう。」
と目を潤ませながら言うものだから、ポツンと無視されたシェリーは、
(2度と来ないで·····!)
と心の中で願っていた。
「はー····やっと帰ってくれたわ。あの性悪女。」
「おっと。そんなことシェリーが言うの珍しくない?」
レイが茶化すような口調で言った。
「だってあの子!あなたの前じゃ猫被ってたけど、私には意地悪言ったりして、すごく偉そうだったんだから!」
「あぁ~····何となく気づいてたよ。」
「何よ、気づいてたのに、知らないふりしてたの?冷たいのね。」
シェリーがじろりとレイを睨んだ。
「だって、あの子を助けたいって言ったのはシェリーだろ?僕は絶対にやめた方がいいって言ったのに、どうしても助けてって。僕の誕生日の予定は全部パァだし、ちょっとした仕返しだよ。これに懲りて、厄介ごとには首突っ込まないことだね。」
「······そう言われたら、何も言い返せないじゃない!ごめんって~!!」
そうして、レイとシェリーはやっといつも通りの2人きりの生活を送ることができた。延期になっていた、レイの誕生日祝いもできて、シェリーはその日満足だった。
夜2人でベッドに入り、レイが誕生日に一番楽しみにしてたことをシェリーに仕掛けようとした時、シェリーがずっと引っ掛かっていたことを口にした。
「あの子、どうやって迎えを呼んだんだろう。」
「·····さぁ?3日後に迎えに来るって元々言われてたんじゃない?」
「そうなのかしら。それに、レイにまるですぐに会いに来るみたいな言い方じゃなかった?」
「───シェリー!あの子のことはもういいじゃないか!どうだって。僕は君との時間を楽しみたいよ。誕生日プレゼント、まだ貰ってない。」
レイはシェリーの寝巻きのボタンを外しながら、情欲に濡れた目で見つめてきた。
「今日はシェリーを好きにしてもいい?」
レイが自分だけを求めてきてくれるのが嬉しかった。
「いいわよ。私のレイ。私だって、レイに触って貰えなくて寂しかった····」
シェリーが甘えた声を出すと、レイは堪らず、「かわいい····」と言って、シェリーに覆い被さった。2人はいつもより一層燃え上がり、眠りに着いた頃には明け方になっていた。
何だか、家の外から話し声が聞こえる。シェリーは寝ぼけた頭で、ぼんやりと考えていた。
気づけば日が昇り、朝になっていた。
はっとしたシェリーは、カーテンの隙間から窓の外を見た。
家の前に数人の人影がある。
「──レイ!レイ起きて!!」
シェリーが乱暴にレイを揺さぶると、疲れて寝ていたレイも何事かと飛び起きた。
「大変よ····!家の前に人がいる、それも、1人じゃない。」
レイもカーテンの隙間から外を見て、驚いた顔をして呟いた。
「───昨日のあの子だ·····!それに、ジークリートとイースもいる。」
少女が『迎えがくることになった』と言うので、フィガロの港まで送った。遠くに迎えに来た執事風の壮年の男性が見えた為、その場で少女と別れた。
少女は、別れ際レイの手を掴んで、
「このご恩は忘れないわ。また近いうちに、会うことになるでしょう。」
と目を潤ませながら言うものだから、ポツンと無視されたシェリーは、
(2度と来ないで·····!)
と心の中で願っていた。
「はー····やっと帰ってくれたわ。あの性悪女。」
「おっと。そんなことシェリーが言うの珍しくない?」
レイが茶化すような口調で言った。
「だってあの子!あなたの前じゃ猫被ってたけど、私には意地悪言ったりして、すごく偉そうだったんだから!」
「あぁ~····何となく気づいてたよ。」
「何よ、気づいてたのに、知らないふりしてたの?冷たいのね。」
シェリーがじろりとレイを睨んだ。
「だって、あの子を助けたいって言ったのはシェリーだろ?僕は絶対にやめた方がいいって言ったのに、どうしても助けてって。僕の誕生日の予定は全部パァだし、ちょっとした仕返しだよ。これに懲りて、厄介ごとには首突っ込まないことだね。」
「······そう言われたら、何も言い返せないじゃない!ごめんって~!!」
そうして、レイとシェリーはやっといつも通りの2人きりの生活を送ることができた。延期になっていた、レイの誕生日祝いもできて、シェリーはその日満足だった。
夜2人でベッドに入り、レイが誕生日に一番楽しみにしてたことをシェリーに仕掛けようとした時、シェリーがずっと引っ掛かっていたことを口にした。
「あの子、どうやって迎えを呼んだんだろう。」
「·····さぁ?3日後に迎えに来るって元々言われてたんじゃない?」
「そうなのかしら。それに、レイにまるですぐに会いに来るみたいな言い方じゃなかった?」
「───シェリー!あの子のことはもういいじゃないか!どうだって。僕は君との時間を楽しみたいよ。誕生日プレゼント、まだ貰ってない。」
レイはシェリーの寝巻きのボタンを外しながら、情欲に濡れた目で見つめてきた。
「今日はシェリーを好きにしてもいい?」
レイが自分だけを求めてきてくれるのが嬉しかった。
「いいわよ。私のレイ。私だって、レイに触って貰えなくて寂しかった····」
シェリーが甘えた声を出すと、レイは堪らず、「かわいい····」と言って、シェリーに覆い被さった。2人はいつもより一層燃え上がり、眠りに着いた頃には明け方になっていた。
何だか、家の外から話し声が聞こえる。シェリーは寝ぼけた頭で、ぼんやりと考えていた。
気づけば日が昇り、朝になっていた。
はっとしたシェリーは、カーテンの隙間から窓の外を見た。
家の前に数人の人影がある。
「──レイ!レイ起きて!!」
シェリーが乱暴にレイを揺さぶると、疲れて寝ていたレイも何事かと飛び起きた。
「大変よ····!家の前に人がいる、それも、1人じゃない。」
レイもカーテンの隙間から外を見て、驚いた顔をして呟いた。
「───昨日のあの子だ·····!それに、ジークリートとイースもいる。」
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