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「お待たせ。……寝ちゃったかな?」

お粥の良い香りが部屋を満たす頃には、俺は再び寝落ちしてしまっていた。

「ああ、間に合わなかったか。陽斗君、お粥だよ?少し食べた方がいい」

「ん……」

耳元に心地よい声を感じ、俺は僅かに身動ぎする。

更に肩を優しく揺すられると、俺はようやく目を覚ました。

「……っ!?」

ち、近い!!

間近に迫った澄んだ瞳に、思わずドキリとして身を起こす。

すると東条が、すかさず俺の体を支えて、心配そうに顔を覗き込む。

「おっと、いきなり起きないで。ゆっくり、ね」

「う……」

軽い目眩がして、俺は額を押さえた。

食べていないせいか、少し貧血も起こしているようだ。

「……クラクラする」

「それはいけないな。……ほら、お粥を作ったんだ。生姜も入れたから、身体が温まると思うよ」

「……」

いつもとは少し違い、優しい口調の東条をそっと見上げると、ニコリと微笑まれた。

悔しいけど、ちょっとだけカッコイイ。

それに、なんだかお兄ちゃんみたいで安心する。

(って、実際に兄弟いないから、こんな感じなのかは分かんないけど)

と、ブツブツ考えながらも、俺は観念して、東条の作ったお粥を食べることにした。

「……食べる」

「ほ、本当に?良かった……!では、僕が食べさせてあげるとしよう。ほら、陽斗君、口を開けてごらん?」

「あ……は!?」

目の前に元気よくお粥を差し出され、一瞬流されかけた俺は目を丸くした。

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