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講堂に入るとすぐに講師がやってきて、生徒達はワラワラと出席票を出し、講義が始まった。

今日の講義内容は、俺が好きな内容だ。

将来にも役立てたいし、しっかり聞いておかねば。

そう思い意気込んだものの、いざ講義が始まると……


(……優真、今何してんだろ)


(……あ、今日の夕飯の後、デザートにプリン買ってこうかな。うちのコンビニのスイーツ、結構美味いし)

(……つーか、今日って泊まるのか……!?え、新しいルームウェアとか、買っちゃう!?)


気付けば、脳内は優真の事ばかりで、全然講義の内容が頭に入ってこない。

(やべ……!今のとこ、ノートに取ってないじゃん!後で誰かに聞くか)


……結局。

講義が終わった後、俺は近くにいた学生に声をかけ、ノートを写させて貰うことにした。

・・・

「え、ノート?いいよ、来週までに返してくれれば大丈夫だし」

ノートの貸し出し人は、同じ学年の男子学生で、さらりとしたストレートの髪がよく似合っている。

見た目からして真面目そうだけれど、スッキリとした顔立ちで、なかなかのイケメンだ。

俺はそのイケメンに向かって、パン、と手を合わせた。

「悪い!ボーッとしててノート取るの忘れててさ……なるべく早く返すな。あ、一応連絡先教えて?写し終わったら連絡するから」

「ん、分かった」

俺がスマホを取り出すと、相手もいそいそとカバンからスマホを取り出し、画面を表示させた。

「これ、俺の」

「ありがと」

コードを読み込み、連絡先の交換が完了する。

念の為、お互いにメッセージを送りあって確認を取ると、俺は改めてお礼を言った。

「ありがと。じゃあ、返す時に連絡するから、よろしくな」

「うん、いつでもどうぞ。あ、えっと……ひなと君、でいいの?」

イケメンは、スマホの画面に表示された俺の名前を見つめながら尋ねる。

確かに、この漢字を見て「ひなと」とすぐに読めるかというと、微妙かもしれない。

俺はコクコクと頷いた。

「あ、うん、宮原陽斗です。よろしく」

「ふふ、こちらこそよろしく。俺は成瀬大和(なるせ やまと)。同じ学年だよね?よろしく」

そう言って爽やかに微笑むと、成瀬大和はスっと片手を差し出してきた。


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