私は、あいつから逃げられるの？

２章

１６

山崎祐也さん…に呼ばれたので悠と成木は渋っていたがさすがに断る気にはなれずに悠と成木に待っていてもらうように説得をした。やっとの思いでしぶしぶ了承してくれたので少しだけ山崎祐也さんと話すことになった。


「ふぅ、悠と成木はうるさいからね。今はいない方がよかったし」

「そうですか…。どうしてですの？」
そういってる間にも顔をじっと見てくる。

「君さ、さくらだよね？」

「えっ？誰のことですか？」
思わず驚いてしまった。

「惚けても無駄だよ？さくら。さくらでしょ？前世と癖が同じだし。あっ、俺のこと覚えてない？忘れられてたらやだな。俺はさくらの兄の香月かづきだよ。忘れちゃった？」

やっぱり、そうだった。誰かに似てるとは思ってたがまさかかづにぃだとは思っていなかった。というよりは、前世の私をどんどん忘れていってた気がする。ゲームの話はものすごく覚えているけど。
「かづにぃなの…？」

「あっ、やっぱりさくらか。久しぶりだな。さくら。まさか悪役令嬢に転生してるとは思わなかったけどね。」

「あはは」

そのあとにはものすごく話が盛り上がり気づいたら太陽がだんだんと下がっていく頃だった。

そして、帰ろうとしてる頃にはものすごい顔で悠お兄様が祐也かづにぃに詰め寄っていた。

ちなみに二人の時だけ前世の頃の名前で呼び会うことにした。

──前世の家族のこと前世の私のことを忘れない為に──