single tear drop

彩矢

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彼の元フィアンセ

彼の元フィアンセ

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裕貴さん達は鳥飼さんの消息と湍水組の動向を探るため朝イチの新幹線で東京へと戻っていった。
鷲崎さんたちも吉柳会と連絡を取り合う為に急いで仙台へと戻っていった。
彼もみんなを見送ったのち、すぐに事務所に幹部を集め今後の対応などを話し合った。



「さっさと開けろ!」
「無視してんじゃねぇぞ!」

幼稚園から帰ってきた一太を迎えに事務所に向かうと、数人の男たちがドアをドンドンと乱暴に手で叩いていた。その男たちの後ろには桜色の色留袖に身を包んだすらりと背が高く細身の女性が、腕を前で組みイライラしながら立っていた。

「ここの関係者?」

目が合うなり声を掛けられた。

「遥琉にどうしても会いたいのよ。中にいる頭の固い連中に頼んでくれないかしら?」

女性は彼のことを呼び捨てにしていた。
知り合い………だから、呼び捨てにしてるんだよね。
でもどういう知り合いなのかな?
気になってそぉーと様子を伺うように女性の顔を見上げた。そしたら目を吊り上げて睨まれた。

『決して無視してる訳じゃないんです』

慌ててメモ帳をポケットから取り出しペンを走らせ女性に見せた。

「もしかして喋れないの?あらごめんなさいね。てっきり無視されたのかと思ったから」

女性の表情が少しだけ緩んだ。

カタン、ドアが開いて弓削さんが姿を現した。
フロアーには至るところに監視カメラが設置されていて若い衆が交代で24時間監視している。

「湍水さん、オヤジが会うそうです。但し、護衛は外で待機、それが条件です」

「分かったわ」

女性は別の幹部に案内され事務所の中に入っていった。

『未知、タイミング悪すぎ』
弓削さんに小声で言われた。
【何で?】
首を傾げ上目遣いに見ると、
『状況を察しろ』そう答えが返ってきた。状況ってどういう状況……?意味が分からずポカンとしていたら、

「あっ、ママだ!」
「ママおかえりなしゃい」

早速僕の姿を見付けた一太と遥香がパタパタと走ってきた。
「ん?ママ?」女性が怪訝そうな表情を浮かべ後ろを振り返った。
当然ながら目が合うわけで………
くるっと体の向きを変えると、眉間に皺を寄せながら険しい表情で歩み寄ってきた。
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