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運命の相手

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「同じ高校に迅がいて、クラスは違うけど同じ学年。迅は生徒会長。モデルをしているくらいだから、女子の人気は絶大だし、親も先生方もみんな迅の味方。迅や迅の取り巻きにいじめられていてもみんな見てみぬふり。僕はいつもひとりぼっちだった。家にも高校にも僕の居場所はどこにもなかった。あのとき白鬼丸が助けてくれなかったら………」
「りんが両性だからって、よってたかって。最低最悪なバカ連中、相手にする必要はない」
犬の姿の白鬼丸がぷいと横を向いた。

「ねぇ、ねぇ、りんちゃん」
子どもたちがわぁーと一斉に集まってきた。
「どうしたのみんな?」
「しろまる、なんでいぬなの?」
「どうして?」
「だからしろまるじゃなくて、白鬼丸だって。何度言ったら分かるんだ」
白鬼丸に睨まれ、いちくんたちが目をうるうるさせた。
「白鬼丸、子どもたちが怯えているから。怖い顔をしないの」
「しろまる、だめだよ。りんちゃんのいうこときかなきゃ」
「は?誰のせいだよ。てか、いつまでいるんだよ。父ちゃんと母ちゃんが心配するからさっさと家に帰れ」
白鬼丸の機嫌が悪いのは、青丹さまと黒檀さまが家に帰らずずっと居座っているからだった。
「いいかお前たち。一回しか言わないからよく聞け。アイツが目を覚めたとき、目の前に鬼がいたらびっくりするだろう?怪我がまだ治っていないんだ。びっくりして尻餅をついて手を捻ったりしたらどうなる?ずっとここにいるということだろ?狭いところに男ばっか5人。暑苦しいしむさ苦しいし、身動きが取れないし大の字で寝れない」
子どもたちは目を点にして、口をあんぐりと開けて白鬼丸の話しを聞いていた。


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