3 / 43
レッツノートは頑丈なパソコン
しおりを挟む
壁際にずらりと並ぶ二十台のパソコンが、夜の居酒屋をどこか異様に光らせていた。
「なあ……これ、全部新品で買ったんじゃないよな?」
白鳥が呆れ顔でつぶやく。
「買うわけないでしょ」西村が冷静に答える。
「二十台全部リースよ。もし一台二十万円なら四百万円かかるけど、リースなら月々数万円で済む。
しかも企業落ちの中古を混ぜれば、さらに安くなる。――つまり“低予算で一気に導入”の整合性は取れるの」
「なるほどな……お前、数字出すと説得力あるよな」
白鳥は苦笑いしながら、ペットボトルを口に含んだ。
「しかもリースなら壊れてもサポート込み。初期費用ゼロで、月々の飲み代から一人百円積み立てれば余裕で回収できる」
今度は涼子が腕を組み、誇らしげに続けた。
「こういうのを“資産を持たずに運営を回す”って言うのよ。ベンチャーやスタートアップでは常識」
「おいおい……飲み屋でベンチャー論やめろよ」
高橋が吹き出す。
「でもまあ、これ見てると“俺たち、ほんとにやり出したんだな”って実感するよな」
山本はノートPCの画面を指でつつきながら、どう使ってやろうかと目を輝かせていた。
もともと建設現場のバリバリ現役だった白鳥の号令で、改装工事は始まった。
現場監督のように腕を振るいながらも、予算はカツカツ。
白鳥と高橋、そして仲間たちは廃材を集めては
「こっちに使える」「いや強度が足りない」と言い合い、埃にまみれて夜遅くまで悪戦苦闘を繰り返した。
高橋が手伝いながらぼやく。
「現場仕事で汗かくのは慣れてるけど……仕事終わってからも働くとはな」
「文句言うな。予算ゼロでやるなら、工夫しかねぇんだ」
白鳥はヘルメットを投げ置き、図面をにらむ。
何度も衝突しながらも、ようやく形になった。
低予算とは思えない仕上がりに、白鳥のこだわりも息を吹き込まれている。
そして完成の日。
仲間たちが暖簾をくぐった瞬間、女性陣が足を止めた。
「……え、ここ、本当にあの地下室なの?」
理沙が目を丸くする。
壁は白とグレーで統一され、廃材をリメイクした木目が温かいアクセントになっている。
観葉植物が点在し、天井には白鳥が現場から持ち込んだ資材で取り付けたペンダントライトが柔らかく灯っていた。
各席には小さなパーテーション、そしてきらりと光るレッツノート。
「前の地下室の面影、完全に消えてるんだけど……」
西村が呆然とつぶやく。
「まるでGoogleのオフィスか何かじゃない?」
理沙がきゃっと声を上げる。
「オシャレすぎる! 写真撮ってインスタに上げたい!」
一方で山本は首をかしげた。
「これ……もうちょっとシンプルでもよかったんじゃないか?
居酒屋っていうより、イケてるベンチャーのオフィスだろ」
涼子は胸を張り、堂々と宣言する。
「いいのよ。これが新しいコンセプト“知的エンタメ空間”!
居酒屋とオフィスとライブハウスのハイブリッド!」
そのとき高橋が、現場で手伝った荒れた指で天井のスポットライトを指差した。
「じゃあ、あそこで俺がアコギライブやってもいいんだな?」
「ええ!」
涼子が力強く頷く。
「あなたの音楽で、この空間に“魂”を吹き込むのよ!」
白鳥は汗にまみれた数週間を思い出しながら、静かに店内を見渡した。
苦労して積み上げたからこそ、この地下空間には確かに仲間たちの熱が刻まれていた。
「なあ……これ、全部新品で買ったんじゃないよな?」
白鳥が呆れ顔でつぶやく。
「買うわけないでしょ」西村が冷静に答える。
「二十台全部リースよ。もし一台二十万円なら四百万円かかるけど、リースなら月々数万円で済む。
しかも企業落ちの中古を混ぜれば、さらに安くなる。――つまり“低予算で一気に導入”の整合性は取れるの」
「なるほどな……お前、数字出すと説得力あるよな」
白鳥は苦笑いしながら、ペットボトルを口に含んだ。
「しかもリースなら壊れてもサポート込み。初期費用ゼロで、月々の飲み代から一人百円積み立てれば余裕で回収できる」
今度は涼子が腕を組み、誇らしげに続けた。
「こういうのを“資産を持たずに運営を回す”って言うのよ。ベンチャーやスタートアップでは常識」
「おいおい……飲み屋でベンチャー論やめろよ」
高橋が吹き出す。
「でもまあ、これ見てると“俺たち、ほんとにやり出したんだな”って実感するよな」
山本はノートPCの画面を指でつつきながら、どう使ってやろうかと目を輝かせていた。
もともと建設現場のバリバリ現役だった白鳥の号令で、改装工事は始まった。
現場監督のように腕を振るいながらも、予算はカツカツ。
白鳥と高橋、そして仲間たちは廃材を集めては
「こっちに使える」「いや強度が足りない」と言い合い、埃にまみれて夜遅くまで悪戦苦闘を繰り返した。
高橋が手伝いながらぼやく。
「現場仕事で汗かくのは慣れてるけど……仕事終わってからも働くとはな」
「文句言うな。予算ゼロでやるなら、工夫しかねぇんだ」
白鳥はヘルメットを投げ置き、図面をにらむ。
何度も衝突しながらも、ようやく形になった。
低予算とは思えない仕上がりに、白鳥のこだわりも息を吹き込まれている。
そして完成の日。
仲間たちが暖簾をくぐった瞬間、女性陣が足を止めた。
「……え、ここ、本当にあの地下室なの?」
理沙が目を丸くする。
壁は白とグレーで統一され、廃材をリメイクした木目が温かいアクセントになっている。
観葉植物が点在し、天井には白鳥が現場から持ち込んだ資材で取り付けたペンダントライトが柔らかく灯っていた。
各席には小さなパーテーション、そしてきらりと光るレッツノート。
「前の地下室の面影、完全に消えてるんだけど……」
西村が呆然とつぶやく。
「まるでGoogleのオフィスか何かじゃない?」
理沙がきゃっと声を上げる。
「オシャレすぎる! 写真撮ってインスタに上げたい!」
一方で山本は首をかしげた。
「これ……もうちょっとシンプルでもよかったんじゃないか?
居酒屋っていうより、イケてるベンチャーのオフィスだろ」
涼子は胸を張り、堂々と宣言する。
「いいのよ。これが新しいコンセプト“知的エンタメ空間”!
居酒屋とオフィスとライブハウスのハイブリッド!」
そのとき高橋が、現場で手伝った荒れた指で天井のスポットライトを指差した。
「じゃあ、あそこで俺がアコギライブやってもいいんだな?」
「ええ!」
涼子が力強く頷く。
「あなたの音楽で、この空間に“魂”を吹き込むのよ!」
白鳥は汗にまみれた数週間を思い出しながら、静かに店内を見渡した。
苦労して積み上げたからこそ、この地下空間には確かに仲間たちの熱が刻まれていた。
2
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】『80年を超越した恋~令和の世で再会した元特攻隊員の自衛官と元女子挺身隊の祖母を持つ女の子のシンクロニシティラブストーリー』
M‐赤井翼
現代文学
赤井です。今回は「恋愛小説」です(笑)。
舞台は令和7年と昭和20年の陸軍航空隊の特攻部隊の宿舎「赤糸旅館」です。
80年の時を経て2つの恋愛を描いていきます。
「特攻隊」という「難しい題材」を扱いますので、かなり真面目に資料集めをして制作しました。
「第20振武隊」という実在する部隊が出てきますが、基本的に事実に基づいた背景を活かした「フィクション」作品と思ってお読みください。
日本を護ってくれた「先人」に尊敬の念をもって書きましたので、ほとんどおふざけは有りません。
過去、一番真面目に書いた作品となりました。
ラストは結構ややこしいので前半からの「フラグ」を拾いながら読んでいただくと楽しんでもらえると思います。
全39チャプターですので最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
それでは「よろひこー」!
(⋈◍>◡<◍)。✧💖
追伸
まあ、堅苦しく読んで下さいとは言いませんがいつもと違って、ちょっと気持ちを引き締めて読んでもらいたいです。合掌。
(。-人-。)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
Zinnia‘s Miracle 〜25年目の奇跡
弘生
現代文学
なんだか優しいお話が書きたくなって、連載始めました。
保護猫「ジン」が、時間と空間を超えて見守り語り続けた「柊家」の人々。
「ジン」が天に昇ってから何度も季節は巡り、やがて25年目に奇跡が起こる。けれど、これは奇跡というよりも、「ジン」へのご褒美かもしれない。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる