24 / 43
彩の日常2
しおりを挟む
キッチンで山城と茜が仕込みをやっている
「山城さんって、家でもお酒飲むんですか?」
「まあね。仕事終わってから、ちょっと一杯。」
「やっぱり、つまみとかも凝ってるんですか?」
「うーん、つまみっていうか……七味とか、クミンとか、コリアンダーとか、味の素とか。」
「……それ、ただの調味料とスパイスですよね?」
「ちゃんと塩と砂糖とかもまぶすから、料理だよ。」
「それ“まぶしてるだけ”って言うんですよ!」
「料理人なんて、みんなそんなもんだよ。」
「……料理人の道は厳しいです。」
⸻
「山城さん、桃とかリンゴとか、この前はキウイも皮ごと食べちゃうんですね? ポリシーなんですか?」
「ん? ああ。メロンとかパインとか栗の皮は食わないぞ。」
そう言って、山城は桃とナイフを茜に差し出した。
「……ほら。剥いたのもちゃんと食べられるところ、見せてやる。」
「ただのめんどくさがりだったんですね。」
⸻
カウンターの上、仕込みの合間。
茜は山城が調味料を手づかみで振り入れるのを見て、思わず眉をひそめた。
「山城さん、調味料まで手づかみなんですか?
……よっぽどのめんどくさがりなんですね。」
山城はフライパンを揺らしながら、ちらりと茜を見やる。
「茜よ、軽量スプーンで毎回同じ量が測れると思ってないか?」
茜は思わず背筋を伸ばした。
「はっ……! つまり素手で正確な量を測り取ってるんですね!」
「いや、だいたいだよ。」
夜のカウンター。
グラスを傾ける武田の前に、白鳥がメモ帳を広げていた。
「なあ武田さん。レジスタンスとサポートって、トレードの世界じゃ要は“心理の壁”なんだよな?」
「まあ、そうだな。」
武田は氷をカランと鳴らしながら言う。
「人が“もうこれ以上は上がらない”“ここで止まる”と思う場所が、線になる。
その思い込みの集積が、抵抗や支えになる。」
白鳥はメモ帳に線を引き、ベクトルを描いた。
「つまり、ベクトルで言えば“上向きの力”と“下向きの抵抗”がぶつかってるわけだ。
でもな、人間の行動にも同じのがあると思うんだ。」
「ほう?」
「例えば、努力のベクトルを上に向けようとすると、
“これ以上やっても無駄かも”って心理が下から押し返してくる。
それが自分の中のレジスタンス。」
武田は少し笑いながらグラスを置いた。
「面白いな。
じゃあサポートは何だ? 他人の応援か?」
「いや、必ずしも他人じゃない。
“あの日の成功体験”とか、“昔の自分との約束”とか。
それが下から支えてる。過去のベクトルの残響だ。」
武田は目を細めた。
「……じゃあトレンド転換は?」
白鳥はニヤリと笑い、ペン先をくるりと回した。
「新しいベクトルが、古い抵抗を飲み込んだときだよ。
心理的レジスタンスが割れる瞬間、行動は一気に変わる。」
武田は静かにグラスを上げた。
「いい例えだ。
俺たちの人生も、チャートみたいなもんだな。」
白鳥がうなずいた。「そう。どんな上昇も、サポートがなければ続かない。」
「山城さんって、家でもお酒飲むんですか?」
「まあね。仕事終わってから、ちょっと一杯。」
「やっぱり、つまみとかも凝ってるんですか?」
「うーん、つまみっていうか……七味とか、クミンとか、コリアンダーとか、味の素とか。」
「……それ、ただの調味料とスパイスですよね?」
「ちゃんと塩と砂糖とかもまぶすから、料理だよ。」
「それ“まぶしてるだけ”って言うんですよ!」
「料理人なんて、みんなそんなもんだよ。」
「……料理人の道は厳しいです。」
⸻
「山城さん、桃とかリンゴとか、この前はキウイも皮ごと食べちゃうんですね? ポリシーなんですか?」
「ん? ああ。メロンとかパインとか栗の皮は食わないぞ。」
そう言って、山城は桃とナイフを茜に差し出した。
「……ほら。剥いたのもちゃんと食べられるところ、見せてやる。」
「ただのめんどくさがりだったんですね。」
⸻
カウンターの上、仕込みの合間。
茜は山城が調味料を手づかみで振り入れるのを見て、思わず眉をひそめた。
「山城さん、調味料まで手づかみなんですか?
……よっぽどのめんどくさがりなんですね。」
山城はフライパンを揺らしながら、ちらりと茜を見やる。
「茜よ、軽量スプーンで毎回同じ量が測れると思ってないか?」
茜は思わず背筋を伸ばした。
「はっ……! つまり素手で正確な量を測り取ってるんですね!」
「いや、だいたいだよ。」
夜のカウンター。
グラスを傾ける武田の前に、白鳥がメモ帳を広げていた。
「なあ武田さん。レジスタンスとサポートって、トレードの世界じゃ要は“心理の壁”なんだよな?」
「まあ、そうだな。」
武田は氷をカランと鳴らしながら言う。
「人が“もうこれ以上は上がらない”“ここで止まる”と思う場所が、線になる。
その思い込みの集積が、抵抗や支えになる。」
白鳥はメモ帳に線を引き、ベクトルを描いた。
「つまり、ベクトルで言えば“上向きの力”と“下向きの抵抗”がぶつかってるわけだ。
でもな、人間の行動にも同じのがあると思うんだ。」
「ほう?」
「例えば、努力のベクトルを上に向けようとすると、
“これ以上やっても無駄かも”って心理が下から押し返してくる。
それが自分の中のレジスタンス。」
武田は少し笑いながらグラスを置いた。
「面白いな。
じゃあサポートは何だ? 他人の応援か?」
「いや、必ずしも他人じゃない。
“あの日の成功体験”とか、“昔の自分との約束”とか。
それが下から支えてる。過去のベクトルの残響だ。」
武田は目を細めた。
「……じゃあトレンド転換は?」
白鳥はニヤリと笑い、ペン先をくるりと回した。
「新しいベクトルが、古い抵抗を飲み込んだときだよ。
心理的レジスタンスが割れる瞬間、行動は一気に変わる。」
武田は静かにグラスを上げた。
「いい例えだ。
俺たちの人生も、チャートみたいなもんだな。」
白鳥がうなずいた。「そう。どんな上昇も、サポートがなければ続かない。」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】『80年を超越した恋~令和の世で再会した元特攻隊員の自衛官と元女子挺身隊の祖母を持つ女の子のシンクロニシティラブストーリー』
M‐赤井翼
現代文学
赤井です。今回は「恋愛小説」です(笑)。
舞台は令和7年と昭和20年の陸軍航空隊の特攻部隊の宿舎「赤糸旅館」です。
80年の時を経て2つの恋愛を描いていきます。
「特攻隊」という「難しい題材」を扱いますので、かなり真面目に資料集めをして制作しました。
「第20振武隊」という実在する部隊が出てきますが、基本的に事実に基づいた背景を活かした「フィクション」作品と思ってお読みください。
日本を護ってくれた「先人」に尊敬の念をもって書きましたので、ほとんどおふざけは有りません。
過去、一番真面目に書いた作品となりました。
ラストは結構ややこしいので前半からの「フラグ」を拾いながら読んでいただくと楽しんでもらえると思います。
全39チャプターですので最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
それでは「よろひこー」!
(⋈◍>◡<◍)。✧💖
追伸
まあ、堅苦しく読んで下さいとは言いませんがいつもと違って、ちょっと気持ちを引き締めて読んでもらいたいです。合掌。
(。-人-。)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
Zinnia‘s Miracle 〜25年目の奇跡
弘生
現代文学
なんだか優しいお話が書きたくなって、連載始めました。
保護猫「ジン」が、時間と空間を超えて見守り語り続けた「柊家」の人々。
「ジン」が天に昇ってから何度も季節は巡り、やがて25年目に奇跡が起こる。けれど、これは奇跡というよりも、「ジン」へのご褒美かもしれない。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる