貞操観念のぶっ壊れた異世界で、男娼の俺が純愛を目指すのは無謀だろうか

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16.純愛の行方④

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「……あぁっ……んっ」

 何の抵抗もなく入り込み、それどころか物足りなさすら感じてしまった自分が恥ずかしい。それを見透かしたように、ヴァルターの指がすぐに二本、そして三本と増えていく。ヴァルターの唾液のおかげで、呑み込んだ指が動く度にぬるりと中で蠢くのが気持ちいい。ゆっくりと出し入れをされながら、何かを探るようにぐるりと動く。強い快感、けれどもっと激しさを求めて俺ははしたなくも腰をゆらゆらと揺らしてしまう。ぐちゅりと卑猥な音を響かせながらヴァルターの指がまたゆっくりと中を探っていた時だ。指先が何か固いものを掠めた。

「……ッ!?」

 瞬間、チカチカと視界に白い星が散った。電流が走ったように体が跳ねる。快感なんて言葉じゃ表せない、もっと深くて、大きな――。

「ここか」

 呟くヴァルターの声が遠くに聞こえるほど俺は長い余韻に浸っていた。一度ゆっくりと出て行った指が今度は少し勢いをつけて、再び同じ場所を狙って突き入れられた。ぐり、とそこを押されて悲鳴のような嬌声が漏れる。

「っひっ!……あっあっ……なに、そこぉ……?」
「おや、ここも私が初めてとは。……となると、ハルトを抱くのは私が初めてと言っても過言ではないな。良いことだ」

 声を弾ませ、ヴァルターが言った。無邪気に喜ぶようにヴァルターは指を抽送させ、その速さは次第に増して行く。

「やっ、だめっ、あッ……そこ、へんっ……ン、あっあぁっ……」

 指がそこに触れる度に体がびくりと強張り、足の爪先が丸まってしまう。繰り返されるあまりにも強い快感に、痙攣したように小刻みに体は震え、中にあるヴァルターの指もきゅうと締め付けてしまった。何か得体の知れないものが這い上がってくる予感に、不安からシーツを握りしめると、やっと指が抜かれて全身が弛緩する。

「怖がることはないよ。大丈夫」

 シーツを握る俺の手に、ヴァルターの手が重なる。優しく俺を見下ろすヴァルターと目が合いほっとしたのも束の間、先程まで指がいた場所にひたと熱いものが宛てがわれる。再度ヴァルターを見れば、青い瞳の奥には熱く揺らめく情欲が垣間見えた。いつも穏やかで凪いだ瞳が、俺を見て燃えているのだと思うと、ドキドキと胸が高鳴った。

「ハルト、いいね?」

 優しく問われ、俺は頷いた。
 すっかり濡れそぼったそこに、ぬっと先端が入り込む。指三本を軽々と飲み込んでいたそこもヴァルターのものが入るにはきつく、俺は詰めていた息を短く、はっと吐いた。ぐぐぐ、と中を分け入って進め、やっと全てを収めきると、ヴァルターは少し苦しそうな息を吐いて微笑んだ。

「あぁ、やっとハルトをこの手にできた。どれほど夢見たことだろう」
「……うん、俺も。嬉しい」

 ヴァルターが俺の頬に手を添えた。微笑み合ってからキスを交わす。
 こんなに幸せなことがあるだろうか。想い合う人と繋がることが、これほどまでに満たされるなんて知らなかった。ただ快楽の為の行為と思っていたけれど、全然違う。心と体が幸せでいっぱいになる感覚はきっと他の何にも替えられない。誰とでもセックスするここの世界の人はこの多幸感を知らないのだと思うと、俺は、そしてきっとヴァルターも世界で一番幸せな人間だ。
 幸せを噛み締めると、心につられるように体が、繋がった場所が反応する。知らず締め付けると俺の中にあるヴァルターの形や熱がありありと伝わってきて、嬉しくてまた心が昂る。俺の期待に応えるようにヴァルターがゆっくりと動き始めた。
 短く小刻みに揺らされていた抽送が、次第に長く激しくなる。ヌッと引き抜かれ、奥を穿つように打ち付けられる。パンパン、と音を立ててヴァルターに突かれると恥ずかしさを凌駕する悦びで最奥がきゅんと震えた。

「あっあっ、ヴァルター……んっあぁっ、は……」
「可愛いよ、ハルト。っ、中も絡みつくようだ……」
「んっ、あ、……好き、ずっとこうしていたい……好き、ヴァルター、すき、あっ、あっ、」
「ッ……まったく。君には困ったものだな」

 中にあるヴァルターが一際質量を増したと思うと、眉を僅かに寄せ苦し気にそう言った。ヴァルターは俺の両膝下に手を入れて抱え、深くなった抽送に俺は堪らず背を弓のように反らせた時だ。ヴァルターの熱く猛ったペニスが先程の場所を打ち付けた。

「ひぁッ! ……アァッ、そこぉ……あぅっ、あっ」

 ヴァルター自身でそこを何度もコツコツとノックされ、指なんかとは比べられないほどの快楽が押し寄せる。大きな波が津波のように押し寄せて来て、恐怖から来る心許なさに俺は腕を宙で彷徨わせた。

「大丈夫。私に身を任せて」

 ヴァルターがはくはくと浅い呼吸をする俺の唇に軽く口付けて、落ち着かない俺の腕を己の背中に導く。しっとりと汗が浮く厚みのある背中。ぎゅっと抱きつけば騒ついていた俺の心はすぐに鎮まっていく。ヴァルターの切ない息遣いが耳元で聞こえると、体の芯で抵抗していた恐怖がチリ、と灼け切れた。

「あっ、あ、ン、あんっ、ぃぃ……きもちぃっ、アァッ、あぁ……ヴァルたぁ、あっ」
「ハルト……っ」

 肌を打つ音よりも大きな水音が、ばちゅんばちゅんと響いている。それよりも大きな声が絶えず漏れてしまうが止められない。恥ずかしさは心のどこかにあるけれど気持ち良さが勝って、俺は舌を伸ばしてキスをねだった。ヴァルターは応えながらも、しこりを穿つように擦ってくる。吐き出す前に次々とヴァルターに与えられる強烈な快楽が、身体中をぐるぐると暴れまわっているようだった。頭がおかしくなりそうなほど気持ち良い。再び俺の陰茎は立ち上がっていたけれど、触れられずとも絶頂の予感を感じて俺はぶるりと震えた。

「も、俺……アッ、いっちゃう……あぁっ、ゔぁるた、いっちゃぅよぉ……あ、あ、んぅッ」
「あぁ、共に……っ」

 ヴァルターも俺をぎゅっと抱き締めると激しさを増して打ち付けた。俺は足をヴァルターの腰に絡ませる。まるで溶け合ったみたいだ。中にあるヴァルターの先端が張り詰めて、俺のしこりをぐりと引っ掻いた。一際大きな稲妻が走って、俺は視界が真っ白になった。

「アッ……あぁぁ――ッ」
「ハルトっ……」

 俺が中の刺激だけで吐精したと同時に、ヴァルターがどくりと中に放った。
 酩酊したように世界がぐらんぐらんと回る。けれど決して不快ではなく、絶頂の感覚がずっと続いているようだった。感じたことのない快楽と幸福が一気に胸の中に広がって、知らず涙が溢れて来た。
 次から次にぽろぽろと溢れる涙を、ヴァルターが舐め取って

「私の伴侶になってくれるね?」

 と微笑んだ。俺は流れる涙をそのままに、微笑み返して大きく頷いたのだった。
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