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第5話 「ERROR」
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目を開ければ、何処までも真っ白い世界が広がっていた。
体は、動くある。けど体の感覚は無いし、匂いもしない。それと対になるように、心臓のドクドクの感覚だけが僕を支配する。
「……ぽかぽかする」
『ウフフ、そうでしょそうでしょ温かいでしょう??』
「きゃッ、だれ……」
人が話しかけてきたのかと思いもしたが、振り返れば小っちゃい小動物が座っていた。
耳が長い……可愛らしい見た目。
だけどこんな見た目の魔物は見たことが無い。
『そう魔物魔物っ! 思い出してごらん』
その瞬間、僕のお父さんの手を噛み砕いた魔物が現れ、僕を襲った……ように感じたが、体には何も異変が起きなかった。
ふと気づくと、僕の手にはお父さんの手が握られていて……。
「きゃぁ!!」
それを落とそうとして、慌てて拾おうとすると、目の前には焚火が現れる。
その焚火のすぐそばに僕とアメリ、そしてお父さんがいて……。
『お父さんはどうなったかなぁなぁなぁー?』
「……」
そして思い出した瞬間、心臓の鼓動が急激に高まっていく。
まるで獣族がものすごい走さで走った時のように。
真っ白なこの場所は、次第に赤くなり、地震が起き始める。
「いやあ……イヤぁぁッ――!」
『えーちょっと、シェラー危ないよ』
気付ければ、僕の手にはお父さんが持っていた短剣が現れ、その小動物を刺し殺そうとしていた。
何が何だか分からない、でもこのおかしくなったように早くなった心臓の鼓動を止めて欲しかった。
『いいの? シェラ。もう一人大事な人がいるんじゃないの?』
その言葉で脳裏に浮かんだ人……それはアメリだった。
僕がハッとしたその瞬間には、心臓の鼓動は止まり、地震は収まり、辺りは暖かくなっていた。
「アメリは、嫌い……」
『嫌い嫌い嫌い嫌いハハハハハ!』
「……え?」
『あのねあのね、シェラは今嘘ついてるよ』
「ついてない、アメリなんて大っ嫌い!!」
『じゃあ教えてあげるね! アメリは首を斬られて死んだよ』
鎌を構える獣族がアメリの首を斬る風景が、目の前に浮かぶ。
鮮明に、そして僕の目の前には顔がポトンと落ちる。
まるであの時、お父さんの手が落ちたように、いとも簡単に。
「え……イヤああぁぁッ――!」
その落ちた頭、気持ちが悪いなんて思わなかった。
お父さんの手が落ちた時のように、僕は必至にその頭を抱きかかえる。
「アメリ、アメリィィィ!!」
辺りが再び熱くなり、まるでマグマのように辺りが真っ赤になって、それで……鼓動が先程よりも上がる。
『ハハハ! 嘘だよ、そんな事起こったないさー』
その瞬間、パッとアメリの顔は消える。
でもその顔を僕は必至に探そうとしてしまう。
『嫌いなんじゃなかったの~?』
「嫌い、嫌いだよアメリぃ……」
泣き叫ぶ、でも小動物はまるで楽しんでるように見える。
奇妙で、不可思議……そんな存在がぴょこぴょと僕の目の前へやってくる。
『よしよし~、いい子いい子~。思い出して、シェラにとって、アメリはどんな存在なのかな?』
その瞬間、僕はいじめっ子達に取り囲まれ、押し倒されて蹴られ始めた。そんな中、まだ幼かったアメリが走ってきた、そして僕に綺麗な花を「はい!」っとくれて笑顔で微笑んだのだ。
幸福感が沸き上がって来る。
僕にとっての唯一の友達。
可愛くて、僕の為に一生懸命な……人間以外の友達。
「なんで、なんでいつの間にか嫌いになっていたの」
幼かった僕がもう一人現れ、アメリに手を引かれて遊び始めた。
――今の僕の、目の前で。
その時の僕は、とても笑顔で、楽しそうで……。
先程の涙とは違う涙が出る、罪悪感が湧く。
『ねぇーねぇー、シェラはアメリが好きなんでしょー教えてよー』
「好き……好きだよアメリ……」
アメリに嫌われたくないって、ずっと思ってた。
嫌われたら、僕の存在価値は無くなってしまう。そう思い込んでいた。
だからこそ気づけば、僕はアメリが嫌いになっていった。
嫌いになれば、アメリに嫌われたとき、僕は傷つかない。
でも本当は大好きで、どうしようもなくて――だから、アメリが僕に遊びに誘う度に結局はついていった。
結局成木の外までついていって……それで。
「そっけない態度を何度もアメリにとった、でもアメリはずっと僕の味方でいてくれた」
『そんな世界一愛する、世界一愛してくれるアメリが、こんな事になっていたら? 君はどうする? ふふふ……』
♦ ♢ ♦
体の感覚が戻る、獣臭い匂いが辺りに広がる。
そして目の前に広がっていた光景は……いや、そこには死体があった。
いくつもの死体、僕を囲むように、子供だろうと女だろうと、関係なく、全員が死んでいた。
「マスターイレブン第二位、魔王復権派、愛の魔王、アメリ・グランデ……か、娘が強くなって、お父さんは嬉し――」
その言葉を聞きたくないのか、次の瞬間首を斬った。
「アメリ……」
そして、目と目が合った。
「殺す、シェラを痛めつける奴は、私が全員……」
そう呟き、血だらけで、真っ黒になった服を着ているアメリが、僕の方向へ歩いてくる。
目の前まで来て、僕に手を差し出した。
「私が守る、絶対。だから、旅に出よう?」
「うん……」
その震えた手を、僕は取った。
―――――――――――――――――――――――――
【現在公開可能な情報】
――アメリ・グランデ。
マス+△〇ブン♢二位。
彼(ERROR)女?は魔王復〇派であり、彼女×身が魔王である。
▼ま×△位から三?位が統一派であった為、
魔王復権派×の座を奪わ?れ、▼に世界が大混(Reroad...)。
アネ〇タ王+で、今会議が始(ERROR)?った。
――――――――――――――――――――――――――
体は、動くある。けど体の感覚は無いし、匂いもしない。それと対になるように、心臓のドクドクの感覚だけが僕を支配する。
「……ぽかぽかする」
『ウフフ、そうでしょそうでしょ温かいでしょう??』
「きゃッ、だれ……」
人が話しかけてきたのかと思いもしたが、振り返れば小っちゃい小動物が座っていた。
耳が長い……可愛らしい見た目。
だけどこんな見た目の魔物は見たことが無い。
『そう魔物魔物っ! 思い出してごらん』
その瞬間、僕のお父さんの手を噛み砕いた魔物が現れ、僕を襲った……ように感じたが、体には何も異変が起きなかった。
ふと気づくと、僕の手にはお父さんの手が握られていて……。
「きゃぁ!!」
それを落とそうとして、慌てて拾おうとすると、目の前には焚火が現れる。
その焚火のすぐそばに僕とアメリ、そしてお父さんがいて……。
『お父さんはどうなったかなぁなぁなぁー?』
「……」
そして思い出した瞬間、心臓の鼓動が急激に高まっていく。
まるで獣族がものすごい走さで走った時のように。
真っ白なこの場所は、次第に赤くなり、地震が起き始める。
「いやあ……イヤぁぁッ――!」
『えーちょっと、シェラー危ないよ』
気付ければ、僕の手にはお父さんが持っていた短剣が現れ、その小動物を刺し殺そうとしていた。
何が何だか分からない、でもこのおかしくなったように早くなった心臓の鼓動を止めて欲しかった。
『いいの? シェラ。もう一人大事な人がいるんじゃないの?』
その言葉で脳裏に浮かんだ人……それはアメリだった。
僕がハッとしたその瞬間には、心臓の鼓動は止まり、地震は収まり、辺りは暖かくなっていた。
「アメリは、嫌い……」
『嫌い嫌い嫌い嫌いハハハハハ!』
「……え?」
『あのねあのね、シェラは今嘘ついてるよ』
「ついてない、アメリなんて大っ嫌い!!」
『じゃあ教えてあげるね! アメリは首を斬られて死んだよ』
鎌を構える獣族がアメリの首を斬る風景が、目の前に浮かぶ。
鮮明に、そして僕の目の前には顔がポトンと落ちる。
まるであの時、お父さんの手が落ちたように、いとも簡単に。
「え……イヤああぁぁッ――!」
その落ちた頭、気持ちが悪いなんて思わなかった。
お父さんの手が落ちた時のように、僕は必至にその頭を抱きかかえる。
「アメリ、アメリィィィ!!」
辺りが再び熱くなり、まるでマグマのように辺りが真っ赤になって、それで……鼓動が先程よりも上がる。
『ハハハ! 嘘だよ、そんな事起こったないさー』
その瞬間、パッとアメリの顔は消える。
でもその顔を僕は必至に探そうとしてしまう。
『嫌いなんじゃなかったの~?』
「嫌い、嫌いだよアメリぃ……」
泣き叫ぶ、でも小動物はまるで楽しんでるように見える。
奇妙で、不可思議……そんな存在がぴょこぴょと僕の目の前へやってくる。
『よしよし~、いい子いい子~。思い出して、シェラにとって、アメリはどんな存在なのかな?』
その瞬間、僕はいじめっ子達に取り囲まれ、押し倒されて蹴られ始めた。そんな中、まだ幼かったアメリが走ってきた、そして僕に綺麗な花を「はい!」っとくれて笑顔で微笑んだのだ。
幸福感が沸き上がって来る。
僕にとっての唯一の友達。
可愛くて、僕の為に一生懸命な……人間以外の友達。
「なんで、なんでいつの間にか嫌いになっていたの」
幼かった僕がもう一人現れ、アメリに手を引かれて遊び始めた。
――今の僕の、目の前で。
その時の僕は、とても笑顔で、楽しそうで……。
先程の涙とは違う涙が出る、罪悪感が湧く。
『ねぇーねぇー、シェラはアメリが好きなんでしょー教えてよー』
「好き……好きだよアメリ……」
アメリに嫌われたくないって、ずっと思ってた。
嫌われたら、僕の存在価値は無くなってしまう。そう思い込んでいた。
だからこそ気づけば、僕はアメリが嫌いになっていった。
嫌いになれば、アメリに嫌われたとき、僕は傷つかない。
でも本当は大好きで、どうしようもなくて――だから、アメリが僕に遊びに誘う度に結局はついていった。
結局成木の外までついていって……それで。
「そっけない態度を何度もアメリにとった、でもアメリはずっと僕の味方でいてくれた」
『そんな世界一愛する、世界一愛してくれるアメリが、こんな事になっていたら? 君はどうする? ふふふ……』
♦ ♢ ♦
体の感覚が戻る、獣臭い匂いが辺りに広がる。
そして目の前に広がっていた光景は……いや、そこには死体があった。
いくつもの死体、僕を囲むように、子供だろうと女だろうと、関係なく、全員が死んでいた。
「マスターイレブン第二位、魔王復権派、愛の魔王、アメリ・グランデ……か、娘が強くなって、お父さんは嬉し――」
その言葉を聞きたくないのか、次の瞬間首を斬った。
「アメリ……」
そして、目と目が合った。
「殺す、シェラを痛めつける奴は、私が全員……」
そう呟き、血だらけで、真っ黒になった服を着ているアメリが、僕の方向へ歩いてくる。
目の前まで来て、僕に手を差し出した。
「私が守る、絶対。だから、旅に出よう?」
「うん……」
その震えた手を、僕は取った。
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【現在公開可能な情報】
――アメリ・グランデ。
マス+△〇ブン♢二位。
彼(ERROR)女?は魔王復〇派であり、彼女×身が魔王である。
▼ま×△位から三?位が統一派であった為、
魔王復権派×の座を奪わ?れ、▼に世界が大混(Reroad...)。
アネ〇タ王+で、今会議が始(ERROR)?った。
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