僕らの距離

宇梶 純生

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屋敷

抱擁

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厳粛な表情で
服を脱ぐ清人は
素肌を晒し

壁際へ顔を向け
ベッドに横たわる

腕を胸の前へ倒す
清人の肩が骨張り 
小さな背中に
肩甲骨が浮かぶ

無意識な咳払いを
幾度となく
繰り返す久我は

意識的な
生唾を数回
飲み込み

服を脱ぎ捨て
誘われるまま

清人の横へ
躰を添わせ
ベッドに滑り込んだ


背後から抱き抱える
久我の腕の中で
俯く清人が躰を
回転させ

久我の胸に顔を埋める

肌が触れ合う
互いの体温を
確かめながら

久我は 清人を
抱き寄せた

「無理するな」

清人の意思を
確認すると

清人の頭が
左右に揺れ動き
寂寥な眼差しを
久我へ向ける

繊細な肌は
きめ細かく
久我の理性を
誑かし

清人を押し倒す久我は
清人の躰へ覆いかぶさり
唇を重ねた

瞼を閉じる清人の頬が
愁色に染まり

静寂な部屋の中
擦れるシーツ音と
久我の息遣いだけが
微かに響き

縺れる脚を絡め
上半身を這う
久我の背中へ

清人は 腕を回した

清人の首筋へ
唇を這わせていた久我は
躰を起こし

清人の髪を撫でながら
清人の顔を眺め

長い接吻を交わす

重なる清人の唇をこじ開け
誘い出す舌を絡め合い
清人の口角から
唾液が溢れる頃

清人の息遣いが
聞こえ始めた


清人の左側へ
躰を移動させる久我は
利き手で清人の肌を撫で回し

太腿の内側を
指先で愛撫すると
清人は勃起するペニスを脈打たせ
羞じらい腕で顔を隠す

腕枕をする左手で
清人の腕を掴み降ろし
前屈みに唇を塞ぐ久我は

清人の睾丸に触れ
掌で性器を撫で上げた

清人の頭が 
ゆっくりと仰け反り
撫で続ける愛撫に
痙攣する肩を弾くつかせ

先走る精液を親指で掬い
軽くペニスを握り 
亀頭を攻め立てると

ビクンと躰が跳ねる清人から
微かな喘ぎ声が漏れた

清人のペニスを摩り
清人の躰が震えると止め
また 握っては摩る

強固し膨張するペニスは
血管を浮き出させ
睾丸の方へ倒し
ペニスから手を離すと

弾かれるペニスが
清人の腹を打ち鳴らす

その都度 仰け反る清人は
苦痛な表情で喘ぎ声を発した

緊張し絞まるアヌスは
久我の指先を受け入れず

「力を抜け」

久我の助言にも
反応出来ない清人は
躰の力が上手く抜けず
硬直してゆく


久我は 躰の上へ
清人を抱え乗せ

背後から抱き抱え
清人のペニスを扱き

数分ともたず
清人は久我の躰の上で
全身を痙攣させ
喘ぎ声を放ち
達した

しばらく 痙攣が治まらぬ
清人の躰を抱き締める久我は

清人の荒い息遣いに
耳を傾け

「愛してる」

清人の耳元へ
そっと囁いた
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