ギフテッド――嘘つきな先生と両思いになるまで

ぬい

文字の大きさ
18 / 80

【18】大学入試

しおりを挟む
 ただこの期間ずっと、考え続けていたことがある。

 自分を殺すのと、他人を殺すのは、同じである。
 そんな奥田先生の言葉が、頭に残り続けていたのだ。
 その結果、私は犯罪心理学の本を読み漁った。

 そして、日本で特に有名な人の内の、二人の著作に惹かれた。

 その先生方がいる大学は、私大だった。片方は、見学に行くことすら、大反対された。その先生は有名なのだが、偏差値がものすごく低い地方私立だったのだ。もう片方は、私が入学当初に勧められた大学の一つを退職した後、私立大で働いている人だった。そちらは、滑り止めの滑り止めの滑り止めとして受験する人がいる大学で、見学に行くことを許された。私は別に入学するつもりだったわけではなく、その先生に会ってみたかったのだ。会える保証はなかったが、行ってみないと可能性はゼロなので、とりあえず行ってみた。

 そうしたら、会えたのだ!

 その説明会は、AO入試制度が始まった時だったため、AO用の論文(?)の持参が必須だった(ような気がする)のだが、それを読んでくれたのが、私が会いたかった先生だったのだ。会えたことだけで嬉しかった。犯罪心理学経由の志望動機を適当に書いて持っていった私だが、先生は褒めてくれた。しかしそれはあんまり聞いていなかった。途中からずっと、先生の著作の話をしていたのだ。まず、読んでいたことに驚かれた記憶がある。添削してもらう時間は、三十分くらいと決まっていたので、その後先生が、教授室(?)で、話をしてくれることになった。

 大歓喜して、私は待ち合わせ時間にお部屋に行った。そしてたくさん質問したら、丁寧にニコニコしながら教えてくれた。すごく良いおばあちゃんだった。私はもうこの先生に習いたくて仕方がなくなった。この大学に行くと決意した。

 しかし――夏休みが終わったあとの進路希望調査で、第一希望にそこを書いたら呼び出された。先生が、腕を組んでいた。

「第三希望の滑り止めと間違って書いてる。というか、滑り止めとしてもここはやめろ。誰でも入れる」

 もちろん、誰でも入れるわけはない。この学校の基準がおかしいのだと、もう私は知っていた。それに、そういう問題ではなく、私はあのおばあちゃんに習いたいのだ。必死でそう訴えたのだが、「ただ東京で遊びたいだけだろう」と、相手にしてもらえなかった。

 この頃には、病気と怪我をやったので、医学部は勧められなくなっていた。多分、精神科にかかったことがあるのも大きい。医師は精神疾患があると、病理とか、顕微鏡でいろいろ見る仕事に回されるらしく、大学病院などに運良く残れないと継続が厳しいからみたいな話だった。事実かどうかは知らないし、あんまりよく聞いていなかった。

 そして、文系なのに、某国立の理系学部の推薦を勧められた。
 私は小説家になるのだから、それはありえないとこの時も思っていた。
 なので、文系に行く文系に行く文系に行くと泣いた。

 私は滅多に泣かないので、先生は、その部分は同意してくれた。

 じゃあ某国立大の、その心理学科はどうかと言われた。
 そこには私の希望するおばあちゃんはいないのである。
 だがそれを伝えても、そこにも優秀な教授がいると説得された。

 大変幸いなことに、そこにはうちの高校からの推薦は無かった(?)。
 なので一般受験することになった。
 私はそこを受けることに決めた。

 当日風邪で受験をすっぽかす事は、事前に決めた。

 またひとつ、先生が絶対に許さないといったのが、センター試験を受けることである。
 そこに、先生おすすめ大学全ての希望をかけることを決められた。
 私は、こちらも笑顔で頷いた。

 先生は安堵していた。明らかにこちらで、この高校の評価を上げるという大学に行かせようとしていた。だが私は、決めていた。こちらも風邪をひくことを!

 このようにして、早々に、行きたい大学に受かった。
 みんな滑り止めだと思っていたので、これからが本番だと言った。
 しかし私の中ではもう終わっていたので、あとは仮病の練習に専念した。

 こうして見事に希望大学に行けることになったのだが、先生方は、私に、何度も何度も浪人を迫り、来年がある来年があると言った。だがこの時は、私の家族や親戚が、別にいいよと応援してくれたため、先生方が折れた。私は家族達に大感謝し、その大学に進学した。

 なお、受験時は、二人の教授に面接された。
 一人目は、行動分析のすごく有名な先生だった。海外の有名な先生の弟子でもあった。
 その先生は、すごく厳しい面接をしたので、私は半泣きになってしまった。

 落ちたと思った。

 しかし二人目が、説明会の時に話をしてくれた、おばあちゃんだったのだ。
 私は緊張がほぐれて、志望動機を熱弁した。
 結果的に、受かった。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

再婚相手の連れ子は、僕が恋したレンタル彼女。――完璧な義妹は、深夜の自室で「練習」を強いてくる

まさき
恋愛
「初めまして、お兄さん。これからよろしくお願いしますね」 父の再婚によって現れた義理の妹・水瀬 凛(みなせ りん)。 清楚なワンピースを纏い、非の打ち所がない笑顔で挨拶をする彼女を見て、僕は息が止まるかと思った。 なぜなら彼女は、僕が貯金を叩いて一度だけレンタルし、その圧倒的なプロ意識と可憐さに――本気で恋をしてしまった人気No.1レンタル彼女だったから。 学校では誰もが憧れる高嶺の花。 家では親も感心するほど「理想の妹」を演じる彼女。 しかし、二人きりになった深夜のキッチンで、彼女は冷たい瞳で僕を射抜く。 「……私の仕事のこと、親に言ったらタダじゃおかないから」 秘密を共有したことで始まった、一つ屋根の下の奇妙な生活。 彼女は「さらなるスキルアップ」を名目に、僕の部屋を訪れるようになる。 「ねえ、もっと本気で抱きしめて。……そんなんじゃ、次のデートの練習にならないでしょ?」 これは、仕事(レンタル)か、演技(家族)か、それとも――。 完璧すぎる義妹に翻弄され、理性が溶けていく10日間の物語。 『著者より』 もしこの話が合えば、マイページに他の作品も置いてあります。 https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/658724858

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

処理中です...