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第2章
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その男たちはみんなナランスで手に長い柄の太刀を持ち、ほとんどの者は鎧を着けていない。
第五階梯のアリシアさんが村人と盗賊たちの間に割って入る。
ゴブリンを追いかけていた盗賊たちは、いきなり見た事のない獣が二本足で自分たちの前に立ちふさがっているのを見て、ぎょっとして立ち止まった。
「あれは何だ」
「見た事もないぞ」
「熊だろか」
「熊があんな細い口のわけがない」
初めてオオアリクイを見て驚き、あれこれと話し合っている盗賊たちを見て、俺は少しうらやましくなった。未知の動物との出会いはいつだって素晴らしい。そして貴重な体験をしている彼らのために説明したくもなった。もちろん、そんな場合でないのはわかっている。今はできるだけ長く混乱してもらおう。。
そうこうするうちに、アポさんが戻って来て上空で円を描いている。
そして後続が後から現れた。ほとんどが弓を持っているが一人だけ何も持たない男がいる。
その男が叫んだ。
「何をとまどうか。塩を探すぞ!」
「いや小頭、あれを見てくれ、一体あれはなんぞ」
「知るか! 詮索など殺してからすればよいわ。射よ!」
弓を持った盗賊たちがアリシアさんに矢を放つ。
だが、突然つむじ風が巻き起こり、矢をすべて巻き込み人のいない場所まで移動し、矢を地面に突き刺して、消えた。
動揺する盗賊たちを小頭は叱咤し、太刀を持った男たちを前に進ませる。
だが、やる気の乏しい盗賊たちは、アリシアさんの舌で武器をからめ取られて、後退する。
一人だけ勇敢にそばまで寄って、太刀を振りかざした者がいたが、アリシアさんが爪で受け止め、腕を一振りして地面に打倒した。
盗賊たちは、逃げはじめる。
小頭はなおもその場に立って声をあげ、逃げる者を踏みとどまらせようとするが、突然地中から現れたモグラの手がその足をつかむと、姿勢をくずして、ものの見事に転んだ。
アドラドさんが素早く移動して、小頭を縛り上げる。
他にとどまった者はいない。アリシアさんに倒された男は気を失っている。アドラドさんはその盗賊も縛り上げて言った。
「どうやら、続きは来ないようだね」
アポさんが降りてきた。
「盗賊は全て退散にかかっています」
「助勢ありがとう」
アリシアさんがアポさんに礼を言う。
「まだ、借りの方が多いぐらいですよ」
どうやらさっきの矢を巻き上げたつむじ風はアポさんの神術のようだ。
「奇襲係としての働き、いかがであった?」
「上出来上出来」
アドラドさんが機嫌よく、ねそこさんに答えた。
入り口のあたりから聞こえていた争いの声は、次第に静かになっていく。
とらえた賊の見張りはチカさんにまかせて、俺たちは村の入り口に向かった。
林を抜けた先は少し広くなっていて、向こうに垣が見える。
村人たちは垣の内側で武器を構える者もいれば、円になって話し合っている者もいる。
「怪我人はおられませんか?」
アリシアさんが声をかける。
「わざわざお出向き恐縮です。二人みてもらいたい者がおります」
村長が礼を述べる。
その二人は前に運ばれてきた怪我人よりも重傷そうで、一人は腹の傷を手で押さえてうなり、もう一人は身動きもしない。
第三階梯のまま、きららさんが進み出て円の中にいる怪我人へと近づく。村人たちの驚きの声をよそに、怪我人それぞれに手を当てる。そして動かない人からは放し、もう片方が腹に当てている手をそっと持ち上げ、代わりに自分の手を乗せる。先ほどよりも時間がかかったがやがて手を放す。怪我人は安らかそうな表情で眼を閉じた。
「傷はふさがったけど、まだ治っていない。ここから動かしてはいけない。しばらく様子を見て手当てする」
村長は深々と頭を下げて言った。
「ありがとうございます。して、もうひとりは?」
きららさんは首を振った。
「すでに」
「そうですか」
村人たちも覚悟はしていたのだろう。深い悲しみはあっても、動揺はなかった。
そして次第に怒りがつのってきているように思えた。
「余六が死んでしまうとはな。田近が帰ってきた時なんと言えばよいのか」
「盗人どもの首切って墓に備えてやるぞ」
「村長、これからどうするよ」
「段取りは変わらん。見張りは次の番に替われ、淵木の身内は何人かついていてやれ、余六を家まで運ぶぞ」
村人は村長の言葉に従い、のろのろと動き始める。
アリシアさんが口を開いた。
「私たちも戻りましょう。一度話し合ってから、村長と相談する必要があります」
アポさんが手の上に分け身を出した。
飛び立つコキンメフクロウを見送り
「哨戒は分け身に任せて私も同行します」
と言った。
「ねそこさんは誰かと替わる?」
「いや、まだ弁当を食べておらぬのでな。ここで見張りながら食べる事にする」
「じゃ、任せたよ」
ねそこさんとアドラドさんのやり取りの後、道を引き返すアリシアさんたち三人に続いて、俺も犬たちを連れて歩き出す。
第五階梯のアリシアさんが村人と盗賊たちの間に割って入る。
ゴブリンを追いかけていた盗賊たちは、いきなり見た事のない獣が二本足で自分たちの前に立ちふさがっているのを見て、ぎょっとして立ち止まった。
「あれは何だ」
「見た事もないぞ」
「熊だろか」
「熊があんな細い口のわけがない」
初めてオオアリクイを見て驚き、あれこれと話し合っている盗賊たちを見て、俺は少しうらやましくなった。未知の動物との出会いはいつだって素晴らしい。そして貴重な体験をしている彼らのために説明したくもなった。もちろん、そんな場合でないのはわかっている。今はできるだけ長く混乱してもらおう。。
そうこうするうちに、アポさんが戻って来て上空で円を描いている。
そして後続が後から現れた。ほとんどが弓を持っているが一人だけ何も持たない男がいる。
その男が叫んだ。
「何をとまどうか。塩を探すぞ!」
「いや小頭、あれを見てくれ、一体あれはなんぞ」
「知るか! 詮索など殺してからすればよいわ。射よ!」
弓を持った盗賊たちがアリシアさんに矢を放つ。
だが、突然つむじ風が巻き起こり、矢をすべて巻き込み人のいない場所まで移動し、矢を地面に突き刺して、消えた。
動揺する盗賊たちを小頭は叱咤し、太刀を持った男たちを前に進ませる。
だが、やる気の乏しい盗賊たちは、アリシアさんの舌で武器をからめ取られて、後退する。
一人だけ勇敢にそばまで寄って、太刀を振りかざした者がいたが、アリシアさんが爪で受け止め、腕を一振りして地面に打倒した。
盗賊たちは、逃げはじめる。
小頭はなおもその場に立って声をあげ、逃げる者を踏みとどまらせようとするが、突然地中から現れたモグラの手がその足をつかむと、姿勢をくずして、ものの見事に転んだ。
アドラドさんが素早く移動して、小頭を縛り上げる。
他にとどまった者はいない。アリシアさんに倒された男は気を失っている。アドラドさんはその盗賊も縛り上げて言った。
「どうやら、続きは来ないようだね」
アポさんが降りてきた。
「盗賊は全て退散にかかっています」
「助勢ありがとう」
アリシアさんがアポさんに礼を言う。
「まだ、借りの方が多いぐらいですよ」
どうやらさっきの矢を巻き上げたつむじ風はアポさんの神術のようだ。
「奇襲係としての働き、いかがであった?」
「上出来上出来」
アドラドさんが機嫌よく、ねそこさんに答えた。
入り口のあたりから聞こえていた争いの声は、次第に静かになっていく。
とらえた賊の見張りはチカさんにまかせて、俺たちは村の入り口に向かった。
林を抜けた先は少し広くなっていて、向こうに垣が見える。
村人たちは垣の内側で武器を構える者もいれば、円になって話し合っている者もいる。
「怪我人はおられませんか?」
アリシアさんが声をかける。
「わざわざお出向き恐縮です。二人みてもらいたい者がおります」
村長が礼を述べる。
その二人は前に運ばれてきた怪我人よりも重傷そうで、一人は腹の傷を手で押さえてうなり、もう一人は身動きもしない。
第三階梯のまま、きららさんが進み出て円の中にいる怪我人へと近づく。村人たちの驚きの声をよそに、怪我人それぞれに手を当てる。そして動かない人からは放し、もう片方が腹に当てている手をそっと持ち上げ、代わりに自分の手を乗せる。先ほどよりも時間がかかったがやがて手を放す。怪我人は安らかそうな表情で眼を閉じた。
「傷はふさがったけど、まだ治っていない。ここから動かしてはいけない。しばらく様子を見て手当てする」
村長は深々と頭を下げて言った。
「ありがとうございます。して、もうひとりは?」
きららさんは首を振った。
「すでに」
「そうですか」
村人たちも覚悟はしていたのだろう。深い悲しみはあっても、動揺はなかった。
そして次第に怒りがつのってきているように思えた。
「余六が死んでしまうとはな。田近が帰ってきた時なんと言えばよいのか」
「盗人どもの首切って墓に備えてやるぞ」
「村長、これからどうするよ」
「段取りは変わらん。見張りは次の番に替われ、淵木の身内は何人かついていてやれ、余六を家まで運ぶぞ」
村人は村長の言葉に従い、のろのろと動き始める。
アリシアさんが口を開いた。
「私たちも戻りましょう。一度話し合ってから、村長と相談する必要があります」
アポさんが手の上に分け身を出した。
飛び立つコキンメフクロウを見送り
「哨戒は分け身に任せて私も同行します」
と言った。
「ねそこさんは誰かと替わる?」
「いや、まだ弁当を食べておらぬのでな。ここで見張りながら食べる事にする」
「じゃ、任せたよ」
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