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第3章
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そのオグルはゴブリンに比べると、まだナランスに近い姿に見えた。
体形はナランスと変わらず、頭髪もある。
しかし、身長はおそらく2メートルを超えるほどあるのに、体形が変わらないという所がむしろ異質さを感じさせる。
俺のいた世界ではそれだけの高身長の人の場合、標準的な体型からはずれて、写真で見た場合など、特に身長に関する情報がなくても、体型だけで高身長とわかるの事が多いが、オグルは違った。
その身長がこの種の標準なのだと思える自然さがあった。
容貌はナランスともゴブリンとも異なる。口は横に長く裂け、短い四つの牙がのぞき、大きなつり上がった眼、丸みのある平べったく広い鼻、上下にくっきりと溝の見える頬。
まるで鬼の面やヘイケガニの甲を連想させる。
筋骨たくましく、皮膚はゴワゴワとして丈夫そうだ。手足の爪は長く、とがっている。
そして手にはおそろしく長い太刀を持っていた。
頭のオグルはしばらくその場に立っていたが、やがてゆっくりと道を東へ進み始めた。
進路にいた村人たちは威圧され、林に逃げ込む。
ガイさんが林の中を並んで歩きながら語りかける。
「頭殿、投降していただけませんか。すでに配下は逃げ散った後ですよ」
だが、頭は無視して歩き続ける。
「見たところ、もともと付き従っていた配下二人も去った様子。勝敗はついたと判断したのではありませんかな」
頭は歩みを止めず、わずかにガイさんの方へ顔を向けて言った。
「うぬがこの戦を取り仕切りおったのか」
「私は後からやってきて、助太刀をしただけの者ですよ」
「それが真であったとしても、企みや計らいをせなんだというわけでもあるまい」
「もしもこんな山の中の小さな村が思いがけない難敵だった事に腹を立てているというなら、それは村の人々やセリアン教団のみなが考え、働いた結果。一人の人間に原因を求めるのは間違いでしょう」
そこまで話したところで、頭は林を出た。周囲を見ながらつぶやく。
「それにしても惜しいのう」
「塩が未練ですか」
ガイさんも林から出て、頭と一定の距離を開けながら、会話を続ける。
「塩は当面の資金に過ぎん。我はこの一帯を支配し、主となるつもりであった」
「それでどうなるというのです」
「うぬならば知っておろう、この村の領主も含め、北の盆地全体に不和が広がっておる。抑えとなる有力な勢力はなく、いずれどこかの領主が一角をつけば、千々に乱れた戦乱の土地となろう」
「なるほど、深い山の中に潜みながら、機を見て打って出るおつもりでしたか」
「そう遠い先ではない。盗賊として生きる者はこの山に隠れている者だけではない。この一帯のゴブリンも集めればそれなりの役に立とう。領主どもは討伐する余裕などあるまい」
「へたにこの山まで攻め込めば、その隙に他の領主に土地を奪われかねないというわけですね。そのような状況ではここが攻め滅ぼされる恐れはなく、どれかの領主が弱れば山を下りて襲いかかろうと」
頭のオグルは不意に笑い始めた。
「詮無き事を話した。今は破れた夢よ」
「ならば諦めて投降なされよ」
「今更できるか」
そしてオグルはガイさんに向き直った。
「最後に一騎打ちを所望する」
「戦って死にたいと。まあ相手をするなら私がするべきでしょう。しかし、こちらは武者ではありませんよ。戦う意味がない。私に勝ってもそちらの名誉にはならない」
「うぬにやる気がないのならやむを得ん。ゴブリン相手にこちらが死ぬまで何人殺せるかの勝負よ」
「仕方のない人ですなあ」
ガイさんは苦笑すると、歩み寄ってオグルの正面に立った。
体形はナランスと変わらず、頭髪もある。
しかし、身長はおそらく2メートルを超えるほどあるのに、体形が変わらないという所がむしろ異質さを感じさせる。
俺のいた世界ではそれだけの高身長の人の場合、標準的な体型からはずれて、写真で見た場合など、特に身長に関する情報がなくても、体型だけで高身長とわかるの事が多いが、オグルは違った。
その身長がこの種の標準なのだと思える自然さがあった。
容貌はナランスともゴブリンとも異なる。口は横に長く裂け、短い四つの牙がのぞき、大きなつり上がった眼、丸みのある平べったく広い鼻、上下にくっきりと溝の見える頬。
まるで鬼の面やヘイケガニの甲を連想させる。
筋骨たくましく、皮膚はゴワゴワとして丈夫そうだ。手足の爪は長く、とがっている。
そして手にはおそろしく長い太刀を持っていた。
頭のオグルはしばらくその場に立っていたが、やがてゆっくりと道を東へ進み始めた。
進路にいた村人たちは威圧され、林に逃げ込む。
ガイさんが林の中を並んで歩きながら語りかける。
「頭殿、投降していただけませんか。すでに配下は逃げ散った後ですよ」
だが、頭は無視して歩き続ける。
「見たところ、もともと付き従っていた配下二人も去った様子。勝敗はついたと判断したのではありませんかな」
頭は歩みを止めず、わずかにガイさんの方へ顔を向けて言った。
「うぬがこの戦を取り仕切りおったのか」
「私は後からやってきて、助太刀をしただけの者ですよ」
「それが真であったとしても、企みや計らいをせなんだというわけでもあるまい」
「もしもこんな山の中の小さな村が思いがけない難敵だった事に腹を立てているというなら、それは村の人々やセリアン教団のみなが考え、働いた結果。一人の人間に原因を求めるのは間違いでしょう」
そこまで話したところで、頭は林を出た。周囲を見ながらつぶやく。
「それにしても惜しいのう」
「塩が未練ですか」
ガイさんも林から出て、頭と一定の距離を開けながら、会話を続ける。
「塩は当面の資金に過ぎん。我はこの一帯を支配し、主となるつもりであった」
「それでどうなるというのです」
「うぬならば知っておろう、この村の領主も含め、北の盆地全体に不和が広がっておる。抑えとなる有力な勢力はなく、いずれどこかの領主が一角をつけば、千々に乱れた戦乱の土地となろう」
「なるほど、深い山の中に潜みながら、機を見て打って出るおつもりでしたか」
「そう遠い先ではない。盗賊として生きる者はこの山に隠れている者だけではない。この一帯のゴブリンも集めればそれなりの役に立とう。領主どもは討伐する余裕などあるまい」
「へたにこの山まで攻め込めば、その隙に他の領主に土地を奪われかねないというわけですね。そのような状況ではここが攻め滅ぼされる恐れはなく、どれかの領主が弱れば山を下りて襲いかかろうと」
頭のオグルは不意に笑い始めた。
「詮無き事を話した。今は破れた夢よ」
「ならば諦めて投降なされよ」
「今更できるか」
そしてオグルはガイさんに向き直った。
「最後に一騎打ちを所望する」
「戦って死にたいと。まあ相手をするなら私がするべきでしょう。しかし、こちらは武者ではありませんよ。戦う意味がない。私に勝ってもそちらの名誉にはならない」
「うぬにやる気がないのならやむを得ん。ゴブリン相手にこちらが死ぬまで何人殺せるかの勝負よ」
「仕方のない人ですなあ」
ガイさんは苦笑すると、歩み寄ってオグルの正面に立った。
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