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第28話 我慢の限界
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「ジャンヌ!」
「アーサー!」
表彰台に立ってチャンピオンベルトを腰に巻きつけるゴブゾウの傍らで、アーサーは踊り子のような、下着姿同然のジャンヌと抱き合っていた。
『それでは優勝賞金の一億ギルと、景品のジャンヌ・ダルクがウゥルカーヌスさんに授与されます!』
司会進行役のアマンダから賞金を受け取る。ついでに頬に口づけもされる。
会場中の男が悔しがっている。
「実にいい気分だ」
俺は優越感に浸りながら、受け取った現金をコートの内側に押し込んだ。四次元腹巻きならぬ四次元コートだ。
『続きまして、副賞奴隷ジャンヌ・ダルク、その所有権移行を執り行わさせて頂きます!』
アマンダの呼び込みで奴隷商がやって来る。ジャンヌの所有権を俺に移し替えるためだ。
「では、失礼――」
ジャンヌの背中に刻まれた奴隷紋が燐光を発すると、俺の左甲が光りはじめる。コブゾウを奴隷にするため施した紋章が、ジャンヌの奴隷紋とリンクするように輝いていた。
ジャンヌ・ダルク所有権移行契約は恙無く終了。用が済んだ奴隷商はそそくさと帰っていく。
「神様!」
アーサーとジャンヌが二人揃って、不安そうな表情を俺に向ける。
神をそんな顔で見るんじゃないよ、まったく。
「心配するな、後で解除してやる」
俺の言葉を聞いた二人はホッとしたのか、改めて抱き合っている。
大勢の観客に見られていることも忘れ、口づけを交わす二人に、会場中からは冷やかしの声が飛び交った。
「この野郎見せつけてくれてんじゃねぇよ!」
「男ならそこで一発やってみろ!」
破廉恥な会場の罵声にプルプルと怒り心頭のジャンヌ。
「王に向かって何たる無礼! 貴様らそこになおれ!」
首を刎ねてくれると腰に手を伸ばした直後、自分が丸腰だったことに気づく。
「ウ、ウゥルカーヌスッ!?」
ジタバタと騎士にあるまじき泣き顔のジャンヌに、盛大にため息をついてしまう。
「ほら、クレアに言ってこれだけは返して貰っていたからな」
俺はコートから聖剣フルンティングを取り出し、ジャンヌに差し出した。
「おお!」
嬉々とした顔で受け取った彼女は、下着姿のまま剣帯を装着。妙にエロい立ち姿に、ゴブトリオは無意識に腰を振るを発動させていた。
こんなところで発情すなっ!
会場中がゴブトリオの下品な動きに大爆笑。
「や、やめてよ、こんなところで!」
下ネタに耐性のないアーサーは、顔を真っ赤にしてその場にしゃがみ込んでしまった。
「こ、このエロゴブリンがッ―――!」
「「「いぎゃああああああッ!!」」」
ゴブリンにエロい目で見られたことが赦せなかったのだろう。赤面したジャンヌが白刃を掲げてゴブリンを追いかけ回している。
「オ、オラはジャンヌのために必死に戦ったんだべ!」
「それとこれとは話が別だッ!」
「そんなぁあああああ!?」
クレアやアマンダと会えなくなるのは少し寂しい気もするが、これでようやくミカエルの待つ村に帰れると安堵する。
「さて、では一旦ここを出るか」
闘技場をあとにしようと踵を返したのだが――
「神様!?」
「ウゥルカーヌス!?」
「「「神様!?」」」
「ウゥル!?」
「ちょっと、なんであちしまでッ!?」
武装したダークエルフがなだれ込むように会場に現れ、あっという間に俺たちを取り囲む。
「……これは一体なんの真似だ?」
「貴様にはクレア様を誘惑し、国家転覆を図った容疑がかけられている!」
「はぁー……」
もはやため息しかこぼれ落ちない。
そこまで俺が気にくわないのかと、俺は特別席に戻っていた夜の妖精王に視線を向けた。
「容疑、にしては随分な扱いだな」
槍や剣を突きつけてくるダークエルフたちに、俺は怒りをあらわにする。
会場のあちこちに、矢をつがえた伏兵の姿も確認済みだ。
これでは、はじめから俺を殺す気満々だと言っているようなものではないか。
「俺に用があるなら、この者たちは関係ないだろ」
「共謀罪が適応される!」
「……ッ、だとしても彼女は! アマンダは関係ないだろうがッ!」
恐怖で顔を蒼くしたアマンダが、俺の腕をギュッと掴んでくる。
「……ウゥル」
判断に困り果てたダークエルフたちは、特別席にそっと視線を移した。
判断を夜の妖精王に仰ごうとしているのだ――だが、肝心の彼女は微動だにしない。無言の圧にダークエルフたちは喉を鳴らした。
「ど、同罪だ……」
「同罪って……。彼女はお前たちが雇った司会者だろ! 同罪とはどういう意味だ!」
「か、彼女には、その……」
口ごもる男に、別の男が助け船を出す形で耳打ちする。
「娼館『オナホル』にて貴様との密会が確認済みだ!」
「そんなもん、娼館に遊びに行ったんだから当然だろ」
「その際、彼女には重要な国家機密を貴様に漏洩した容疑がかけられている!」
「どこの世界に娼婦が重要な国家機密を握っていると言うのだ!」
「う、うるさいっ! とにかくそういう理由にすれば問題ないだろ!」
開き直りやがったな、この野郎ッ!
そっちがその気なら、こっちだってもう我慢しないからな。
「ロキ、悪いけど巻き込むぞ」
「ふざけんじゃないわよッ!」
血走った眼で掴みかかってくるロキだが、俺もここまで言われて引き下がるつもりはない。
「あんたねっ!」
「仕方ないだろ! それとも何か? お前はまた牢獄に戻りたいのか? 言っておくが、次は助けはこんぞ!」
「……ッ、貸しよ。いい! これは貸しだってこと忘れんじゃないわよ!」
「知らん」
「あんたねぇッ!」
「邪魔だァ―――!!」
不気味なロキの顔を手で押しのけ、俺は仲間たちに指示を飛ばす。
「ジャンヌはアーサーを、ゴブゾウはアマンダを守れッ! この雑魚共には俺自ら、神の裁きを与えてくれる!!」
「アーサー!」
表彰台に立ってチャンピオンベルトを腰に巻きつけるゴブゾウの傍らで、アーサーは踊り子のような、下着姿同然のジャンヌと抱き合っていた。
『それでは優勝賞金の一億ギルと、景品のジャンヌ・ダルクがウゥルカーヌスさんに授与されます!』
司会進行役のアマンダから賞金を受け取る。ついでに頬に口づけもされる。
会場中の男が悔しがっている。
「実にいい気分だ」
俺は優越感に浸りながら、受け取った現金をコートの内側に押し込んだ。四次元腹巻きならぬ四次元コートだ。
『続きまして、副賞奴隷ジャンヌ・ダルク、その所有権移行を執り行わさせて頂きます!』
アマンダの呼び込みで奴隷商がやって来る。ジャンヌの所有権を俺に移し替えるためだ。
「では、失礼――」
ジャンヌの背中に刻まれた奴隷紋が燐光を発すると、俺の左甲が光りはじめる。コブゾウを奴隷にするため施した紋章が、ジャンヌの奴隷紋とリンクするように輝いていた。
ジャンヌ・ダルク所有権移行契約は恙無く終了。用が済んだ奴隷商はそそくさと帰っていく。
「神様!」
アーサーとジャンヌが二人揃って、不安そうな表情を俺に向ける。
神をそんな顔で見るんじゃないよ、まったく。
「心配するな、後で解除してやる」
俺の言葉を聞いた二人はホッとしたのか、改めて抱き合っている。
大勢の観客に見られていることも忘れ、口づけを交わす二人に、会場中からは冷やかしの声が飛び交った。
「この野郎見せつけてくれてんじゃねぇよ!」
「男ならそこで一発やってみろ!」
破廉恥な会場の罵声にプルプルと怒り心頭のジャンヌ。
「王に向かって何たる無礼! 貴様らそこになおれ!」
首を刎ねてくれると腰に手を伸ばした直後、自分が丸腰だったことに気づく。
「ウ、ウゥルカーヌスッ!?」
ジタバタと騎士にあるまじき泣き顔のジャンヌに、盛大にため息をついてしまう。
「ほら、クレアに言ってこれだけは返して貰っていたからな」
俺はコートから聖剣フルンティングを取り出し、ジャンヌに差し出した。
「おお!」
嬉々とした顔で受け取った彼女は、下着姿のまま剣帯を装着。妙にエロい立ち姿に、ゴブトリオは無意識に腰を振るを発動させていた。
こんなところで発情すなっ!
会場中がゴブトリオの下品な動きに大爆笑。
「や、やめてよ、こんなところで!」
下ネタに耐性のないアーサーは、顔を真っ赤にしてその場にしゃがみ込んでしまった。
「こ、このエロゴブリンがッ―――!」
「「「いぎゃああああああッ!!」」」
ゴブリンにエロい目で見られたことが赦せなかったのだろう。赤面したジャンヌが白刃を掲げてゴブリンを追いかけ回している。
「オ、オラはジャンヌのために必死に戦ったんだべ!」
「それとこれとは話が別だッ!」
「そんなぁあああああ!?」
クレアやアマンダと会えなくなるのは少し寂しい気もするが、これでようやくミカエルの待つ村に帰れると安堵する。
「さて、では一旦ここを出るか」
闘技場をあとにしようと踵を返したのだが――
「神様!?」
「ウゥルカーヌス!?」
「「「神様!?」」」
「ウゥル!?」
「ちょっと、なんであちしまでッ!?」
武装したダークエルフがなだれ込むように会場に現れ、あっという間に俺たちを取り囲む。
「……これは一体なんの真似だ?」
「貴様にはクレア様を誘惑し、国家転覆を図った容疑がかけられている!」
「はぁー……」
もはやため息しかこぼれ落ちない。
そこまで俺が気にくわないのかと、俺は特別席に戻っていた夜の妖精王に視線を向けた。
「容疑、にしては随分な扱いだな」
槍や剣を突きつけてくるダークエルフたちに、俺は怒りをあらわにする。
会場のあちこちに、矢をつがえた伏兵の姿も確認済みだ。
これでは、はじめから俺を殺す気満々だと言っているようなものではないか。
「俺に用があるなら、この者たちは関係ないだろ」
「共謀罪が適応される!」
「……ッ、だとしても彼女は! アマンダは関係ないだろうがッ!」
恐怖で顔を蒼くしたアマンダが、俺の腕をギュッと掴んでくる。
「……ウゥル」
判断に困り果てたダークエルフたちは、特別席にそっと視線を移した。
判断を夜の妖精王に仰ごうとしているのだ――だが、肝心の彼女は微動だにしない。無言の圧にダークエルフたちは喉を鳴らした。
「ど、同罪だ……」
「同罪って……。彼女はお前たちが雇った司会者だろ! 同罪とはどういう意味だ!」
「か、彼女には、その……」
口ごもる男に、別の男が助け船を出す形で耳打ちする。
「娼館『オナホル』にて貴様との密会が確認済みだ!」
「そんなもん、娼館に遊びに行ったんだから当然だろ」
「その際、彼女には重要な国家機密を貴様に漏洩した容疑がかけられている!」
「どこの世界に娼婦が重要な国家機密を握っていると言うのだ!」
「う、うるさいっ! とにかくそういう理由にすれば問題ないだろ!」
開き直りやがったな、この野郎ッ!
そっちがその気なら、こっちだってもう我慢しないからな。
「ロキ、悪いけど巻き込むぞ」
「ふざけんじゃないわよッ!」
血走った眼で掴みかかってくるロキだが、俺もここまで言われて引き下がるつもりはない。
「あんたねっ!」
「仕方ないだろ! それとも何か? お前はまた牢獄に戻りたいのか? 言っておくが、次は助けはこんぞ!」
「……ッ、貸しよ。いい! これは貸しだってこと忘れんじゃないわよ!」
「知らん」
「あんたねぇッ!」
「邪魔だァ―――!!」
不気味なロキの顔を手で押しのけ、俺は仲間たちに指示を飛ばす。
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