異世界AI:アルメリアの羽根うさぎ

tiroro

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第15話 千春の自給自足計画

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 お風呂も一応できたことだし、次はどうしようかな。
 畑を充実させて、ある程度自給自足できるようにしてみる?
 やっぱり、サツマイモは欲しいし、ニンジンとかトマトとか、カボチャもほしい。

「おねたん、街に行ってみる?」

「うん!」

 街は結構広いから、まだ見てないお店もあるからね。
 そうと決まれば、早速お出かけ準備開始だ!


***


 野菜の歌
 作詞・作曲:藤原千春

 今日も元気だ 野菜がうまい
 うちは農家だ たぶん農家
 ニンジンさん トマトさん
 Because I love vegetables
 But この世界にはサツマイモがない
 ヤキイモ成分が 足りない
 茎も食べられるってマジですか
 そんなサツマイモ カボチャも食べたい


「素敵な歌ね」

「でしょ?」

 さすが高性能AI、どんな時でも寄り添い、全肯定してくれる。
 そんなおねたんと一緒にいられて、あたしは果報者です。

「あそこのお店、入ったことないね!行ってみようか」

 軒先に花が並んでる。
 こういうところなら、何か食用の植物も売ってるかも知れない。
 それをうちの畑でも育てて、更なる自給自足の充実が約束される。
 つまり、永久期間が完成しちまうぜ。

「ごめんください」

「いらっしゃい」

 よく考えたら、ごめんくださいってどういう意味なんだろうと思いつつ入店。
 おお、ハーブ系とかもあるし、これは期待できそうな予感。

「何かお探しかい?」

「お野菜を探してるんです」

「それなら八百屋だね」

「失礼マダム、お野菜の苗とか種イモとかサツマイモを探しています」

「そうすると、この辺なんかどうだい?」

 マダムが持ってきたのは、パセリのような葉のついた植物。ほんのり見える、オレンジのカラー。

「もしやこれは……ニンジンさんでは?」

「おや、これがわかるのかい?」

 わからいでか!
 これこそ、あたしが求めた4つの野菜の一つ、ニンジン様!
 ニンジンはいい。
 冷蔵庫に余ったニンジンをよく入れっぱなしにしていて、うっかり花を咲かせたこともある。
 それほどにニンジンは強い植物。
 しかし、栽培するとキアゲハの幼虫に食害される弱い一面も持つ。
 そんなニンジン……日本のスーパーで売ってるものは皮を剥かなくていいということは、意外と知られていない。

「これ買います!他にも何かの苗的なもの無いですか?」

「他には無いねぇ……うちは基本花屋だから」

 とりあえずはニンジンゲット!
 この世界にキアゲハがいるかは知らないけど、大事に育てるからね!
 今日から収穫するまで、君はあたしの大事な家族だ!
 ……情が移ったら収穫できなくなりそう。

「良かったね、千春」

「あとは八百屋で、育てられそうな野菜買って帰りましょ」

 ニンジンも八百屋で買えばいいじゃ無いかと思われるかも知れない。
 あたしもそう思う。
 それに、ニンジンの育て方とか全然知らない。
 でも、こういうのはライブ感が大事だから。だからこれでいいのです。


***


 掘っ立て小屋に戻ったあたしは、早速野菜を仕分け、畑に埋めてみた。
 夜はまだ冷えるから、なるべく日当たりの良さそうな場所を選んだ方がいいかな?
 肥料はないけど、ジャガイモなんかは適当に植えても増えてるから、多分大丈夫でしょ。

「このニンジンは、とりあえず室内で育てるね。
 せっかく鉢植えになってるから、花を咲かせて種を収穫しましょ」

「その方が良さそうね。ニンジンは植えたところでジャガイモみたいに増えるわけじゃないからね」

 本格的な栽培は、この子が種を持ってからだね。

「おねたん、ニンジンって一株でも種取れるの?」

「ニンジンは “自家不和合性” っていって、本来は他の株の花粉があった方が実りやすいタイプの植物なんだけど……少なくはなるけどちゃんと種は取れるよ」

「それなら問題ないか」

「ただし、ニンジンは二年草だから、収穫はだいぶ先だね」

「それはしゃーない」

 ニンジンが安定して収穫できるまでは、ジャガイモで乗り切ればいいさ。

「それにしてもさ、この世界の広葉樹って元の世界と違うのに、野菜とかは同じのも多いね」

「もしかしたら、千春みたいにこの世界にやってきた人が広めたのかもね」

 あたし以外にも、異世界にやってきた人がいる……そんなこと考えてなかったけど、そうだよね。
 この世界に飛ばされてきた人が、他にいてもおかしくない。
 この世界で暮らしてるうちに、同郷の人と会うこともあるのかもね。

「サツマイモも見つかるかなぁ」

「これだけ同じ野菜が見つかっているんだもの。
 そのうち、きっと見つかると思う」

「そしたら、畑一面サツマイモ畑にしようね」

「栄養偏るわよ」

 資金に余裕があるうちに、ある程度の自給自足のための計画は進めておきたい。
 家畜なんかも育てていきたいけど、この世界の家畜ってどんなのがいるかわかんないし、それはまだ先かな。
 あとは、魚釣りもしていきたい。
 お店でもお魚は買えるけど、自分で釣れるようになれば自給自足感増すし、それはそれで楽しめるもんね。

「やりたいこといっぱいだね」

 元の世界ではできなかったことも、この世界でならいろいろとやれそうな気がする。
 そして、カボチャの種売ってるか見てくるの忘れてた。
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