執着騎士団長と、筋肉中毒の治癒師

マンスーン

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32話

​第32話 

ガドリエル視点

​(――壊してしまいそうだ)
​ それが、俺の中に渦巻く唯一の恐怖だった。
 腕の中にいる、白く華奢な体。
 俺の伴侶となったレオは、度重なる快感と疲労に耐えきれず、ついに意識を手放していた。

​「レオ……?」

​ 俺は動きを止め、彼の頬に触れた。
 熱い。吐息は荒く、閉じた目尻には涙が光っている。
 気絶している。本来ならば、ここで行為を止めて休ませるのが、夫としての、そして人間としての正しい理性だ。
​ だが。

​「……っ、ぐぅッ!」

​ 俺は奥歯を強く噛み締めた。
 止まれない。
 俺のものは、未だに彼の最奥深くに突き刺さったままだ。
 そして何より――俺の理性を焼き尽くしているのは、気絶しているはずの彼の「反応」だった。

​『ん、ぁ……だん、ちょ……』
​ 無意識の、甘い微熱のような声。
 意識がないというのに、俺が少し腰を引くだけで、彼の中の柔らかな肉が「行かないで」とばかりに俺の楔に吸い付いてくるのだ。
​ キュウッ、と。
 愛らしいほどの力で、俺を締め付けてくる。 
 彼自身の治癒魔法が働いているせいだろう。内部の粘膜が異常なほどの熱と弾力を持ち、俺のものを溶かさんばかりに脈打っている。

​「お前は……どこまで俺を狂わせる気だ」

​ 気絶してなお、俺を求めて震える体。
 俺に抱かれるために生まれてきたような、そんな愛おしい反応。
 
 ドクンッ!!
​ 俺の全身の筋肉――大胸筋から広背筋、そして大腿四頭筋に至るまでが、爆発的な歓喜の声を上げた。

 愛おしい。
 愛おしくて、狂いそうだ。
 俺という規格外の質量を受け入れ、気を失ってもなお俺を離そうとしないこの小悪魔を、どうして愛さずにいられるだろうか。

​「すまない、レオ……俺は、最低の獣だ」

​ 謝罪の言葉とは裏腹に、俺の腰は再び重い一撃を彼の中に叩き込んでいた。

​『ひぁッ……! あ、んんッ……!』

​ 気絶している彼の体が弓なりに反り、無意識に俺の背中に腕を回してくる。
 彼の細い指が、俺の汗ばんだ広背筋を掻き毟る。
 その爪を立てる感触が、導火線に火をつけた。

​「あ、ああッ……! レオ、愛している……!」

​ 俺は彼の首筋に顔を埋め、獣のように腰を打ち付けた。
 彼の甘い匂い、柔らかな肌、俺を締め付ける熱のうねり。
 そのすべてが致死量の劇薬となって、俺の脳を痺れさせた。
​ ズチュンッ! ドプッ!
​「くッ、あッ!!」

​ 俺は視界が白く飛ぶほどの絶頂を迎えた。
 彼の一番深い場所に、俺の熱い衝動のすべてを、一滴残らず叩き込む。
 長い、長すぎる射精だった。
 俺の魂そのものを、彼の中に注ぎ込んでいるような錯覚さえ覚えた。
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