私ですか？

やらかしたよ。

スッカスカの頭。

だいたい、ちょっと考えて──考えなくても分かる事だと思うんだけど。
王の生誕祭の晩餐会で、公爵令息が男爵令嬢を伴って婚約者の侯爵令嬢に婚約破棄だ～！　なんて、ね？

他国の方々もいらっさるってのに、公衆の面前で、ナニやらかしてんじゃこのボケぇ！……ってもんだよ。
しかも、身分詐称もありだ。

はい、有罪決定。

花畑の住人どもは、王家に対する反逆だの身分詐称だの場をわきまえない騒乱罪だのもろもろ山とつまれた上で、王家からナンとかされるだろうよ。

とばっちり受けた本体様は──とりあえず、婚約破棄だ～って叫ばれた瞬間、気を失った振りしてさっさと退場したから、その後詳しくはわからんけど──多分、表舞台からは姿を消すだろう。
そして、領地あたりに一旦引きこもり。
ほとぼりがさめた頃に、手頃なお相手と婚約してひっそり結婚するんだろーな。

……ん、私？
私はホラ。
本体様の行く末が決まるまでは屋敷内に引きこもり、本体様は王都を出てませんよ～とカモフラージュして。
決定後は領地にある朧月の養成所──表向きは修道院付きの孤児院で、次の朧月の育成に関わる事になるんだろうな。

ま、領地から出る事は無いだろう。

お役目が終わった道具をあっさり処分しないだけ、ありがたい事だと理解している。

影武者なんて、余計な秘密を知ってる輩ヤカラって、人知れず処分されてもまぁ……仕方ないよね？
だって、しょせん道具だもの私達。