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既に番外編じゃあない。47
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悟が過去見して見えた、銀色のメダルについての話は、なかなかの長尺になりそうだった。
さわりの部分だけでも、昼ドラ1クールイケるんじゃね? ってくらいのドロドロさ加減が想像できる。
「……まぁ、わりと良くある話だよな、多分。江戸時代の大奥とかさ。昼ドラとかさ。人のやってるコトなんか、何時の時代も、どこの国でも変わらないってコトだろ。例え世界を違えても、さ」
真言がサラッと言った。
どーゆーコトか、なんとなくうっすらと理解した勇者達。
それでも、敢えて悟の話を聞きたがった。
主に、女子達が。
……まぁ、今イチ理解出来てないヤツも、若干名居たりするが。
悟は、釈然としない顔で何やら言いかけたが、それを呑み込んで話を続けた。
「……まぁ、うん。じゃ、続けるか。……王になった王妃の子と、王弟の側妃の子は、表面上は仲良くやってたんだわ。でも王は、母親から微妙に歪んだ価値観を性根に刻み込まれていてな。自分よりも人当たりが良くて人気があった、王弟に対する恨みツラミ妬みソネミがハンパなくてな。……まぁ、王の勝手な思い込み、だったりするんだけど。ぶっちゃけただの逆恨み? 些細な事の積み重ね、かな。で、決定打になったのが、王弟の嫁になった侯爵令嬢に、王が横恋慕したってヤツ。自分は他国の王女と政略結婚して可もなく不可もなく、ってカンジなのに、王弟は自分が目をつけた令嬢と、政略とはいえ仲睦まじい。なんかムカつく。そう言えば、アイツ前から良いトコ全部持ってってたな……。なんて心のセマいコトをだな……。まぁ、先王や王妃が生きてる間は上っ面を取り繕ってたんだけど。あ、側妃は後宮に引きこもってたんだけど、流行り病でお亡くなりになった。……ってコトになってる。まぁ……色々と察しろ。遥か昔の話だから、全力でスルーしとけ。今更だ。……で、だ」
悟は一息ついた。
話してる間に、真言が何処からか取り出したお茶セットで入れた紅茶を──話してるうちに、いい感じに冷めた──一気に飲み干して、続きを話しだした。
「王に世継ぎが、王弟に娘が産まれて国を上げての祝賀ムード──おめでたい気分が満載、な時。まず、王妃が興奮し過ぎてぶっ倒れた。その何年か後、先王と王妃は離宮で暮らしてたんだけど、その離宮が火事になった。先王も王妃も、離宮に勤務していた者達もろともに焼死した。……証拠隠滅って、都合の良い言葉だよな? 火事で一切合切焼失しました、なんてさ。これ、犯人は、王と先王だから。王妃に一服盛って、半身不随にしたのは王。自分の母親にナニしてんだ? とかの突っ込みは無しで、な。で、事あるごとに喚き散らす王妃につくづく嫌気が差した先王が、キレてつい殺っちゃったのを誤魔化す為に放火。
そこまでは良かったんだけど──いや、良くはないんだけど──逃げ遅れた先王も、こんがり焼けちゃって。心中した、みたいな形になった。で、王は王弟に、事実は隠蔽して当たり障りのない方向に持っていけ、と命令してさ。王弟がその作業に忙殺されてる隙に、王は王弟の嫁にチョッカイ出そうとして、手酷く拒否られた。心理的ストッパーだった先王が居なくなった為に、王の暴挙を止められる者はもう居ない。故に、王は以前から胸の奥底でふつふつと煮え滾っていた案件を、実行する事にした。当時の暗部の長に、王弟を『嘆きの森』に連れて行き、殺した後、証拠として首を持ってこい、と命令した。暗部の長は、命令通りにやり遂げた。王弟の身体は『嘆きの森』で朽ち果てるままにして、いろいろ面倒だから、王弟の馬は森に繋ぎっぱなしにして放置。切り落とした首を、王の元へと届けた。王はその首を持って王弟の宮に行き、その首を王弟の嫁に突き付けて、お前もこうなりたくなければ自分の言いなりになれ、とやった。……どーやら、しつこく惚れていたらしい。でも、王の望みは叶わなかった。王弟の嫁は、その場で娘共々自害して果てた。王は激怒し、王弟の首と嫁と娘を、証拠隠滅、とばかりに王家の霊廟に放り込んだ。王弟一家は行方不明として処理された。……『嘆きの森』に首無し騎士が現れるようになったのは、この直後だな」
悟は、やりきった感を醸し出しながら、冷めた紅茶を飲んだ。
結局、長かったな。
お疲れ。
さわりの部分だけでも、昼ドラ1クールイケるんじゃね? ってくらいのドロドロさ加減が想像できる。
「……まぁ、わりと良くある話だよな、多分。江戸時代の大奥とかさ。昼ドラとかさ。人のやってるコトなんか、何時の時代も、どこの国でも変わらないってコトだろ。例え世界を違えても、さ」
真言がサラッと言った。
どーゆーコトか、なんとなくうっすらと理解した勇者達。
それでも、敢えて悟の話を聞きたがった。
主に、女子達が。
……まぁ、今イチ理解出来てないヤツも、若干名居たりするが。
悟は、釈然としない顔で何やら言いかけたが、それを呑み込んで話を続けた。
「……まぁ、うん。じゃ、続けるか。……王になった王妃の子と、王弟の側妃の子は、表面上は仲良くやってたんだわ。でも王は、母親から微妙に歪んだ価値観を性根に刻み込まれていてな。自分よりも人当たりが良くて人気があった、王弟に対する恨みツラミ妬みソネミがハンパなくてな。……まぁ、王の勝手な思い込み、だったりするんだけど。ぶっちゃけただの逆恨み? 些細な事の積み重ね、かな。で、決定打になったのが、王弟の嫁になった侯爵令嬢に、王が横恋慕したってヤツ。自分は他国の王女と政略結婚して可もなく不可もなく、ってカンジなのに、王弟は自分が目をつけた令嬢と、政略とはいえ仲睦まじい。なんかムカつく。そう言えば、アイツ前から良いトコ全部持ってってたな……。なんて心のセマいコトをだな……。まぁ、先王や王妃が生きてる間は上っ面を取り繕ってたんだけど。あ、側妃は後宮に引きこもってたんだけど、流行り病でお亡くなりになった。……ってコトになってる。まぁ……色々と察しろ。遥か昔の話だから、全力でスルーしとけ。今更だ。……で、だ」
悟は一息ついた。
話してる間に、真言が何処からか取り出したお茶セットで入れた紅茶を──話してるうちに、いい感じに冷めた──一気に飲み干して、続きを話しだした。
「王に世継ぎが、王弟に娘が産まれて国を上げての祝賀ムード──おめでたい気分が満載、な時。まず、王妃が興奮し過ぎてぶっ倒れた。その何年か後、先王と王妃は離宮で暮らしてたんだけど、その離宮が火事になった。先王も王妃も、離宮に勤務していた者達もろともに焼死した。……証拠隠滅って、都合の良い言葉だよな? 火事で一切合切焼失しました、なんてさ。これ、犯人は、王と先王だから。王妃に一服盛って、半身不随にしたのは王。自分の母親にナニしてんだ? とかの突っ込みは無しで、な。で、事あるごとに喚き散らす王妃につくづく嫌気が差した先王が、キレてつい殺っちゃったのを誤魔化す為に放火。
そこまでは良かったんだけど──いや、良くはないんだけど──逃げ遅れた先王も、こんがり焼けちゃって。心中した、みたいな形になった。で、王は王弟に、事実は隠蔽して当たり障りのない方向に持っていけ、と命令してさ。王弟がその作業に忙殺されてる隙に、王は王弟の嫁にチョッカイ出そうとして、手酷く拒否られた。心理的ストッパーだった先王が居なくなった為に、王の暴挙を止められる者はもう居ない。故に、王は以前から胸の奥底でふつふつと煮え滾っていた案件を、実行する事にした。当時の暗部の長に、王弟を『嘆きの森』に連れて行き、殺した後、証拠として首を持ってこい、と命令した。暗部の長は、命令通りにやり遂げた。王弟の身体は『嘆きの森』で朽ち果てるままにして、いろいろ面倒だから、王弟の馬は森に繋ぎっぱなしにして放置。切り落とした首を、王の元へと届けた。王はその首を持って王弟の宮に行き、その首を王弟の嫁に突き付けて、お前もこうなりたくなければ自分の言いなりになれ、とやった。……どーやら、しつこく惚れていたらしい。でも、王の望みは叶わなかった。王弟の嫁は、その場で娘共々自害して果てた。王は激怒し、王弟の首と嫁と娘を、証拠隠滅、とばかりに王家の霊廟に放り込んだ。王弟一家は行方不明として処理された。……『嘆きの森』に首無し騎士が現れるようになったのは、この直後だな」
悟は、やりきった感を醸し出しながら、冷めた紅茶を飲んだ。
結局、長かったな。
お疲れ。
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