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帰るためには。
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さて。
俺らが家に帰るためには。
世界間移動に必要なエネルギー…魔素ってヤツな。魔法にも使っている、それを溜め込まなきゃなんない。
その、溜め込む魔法具は俺が持ってる。
そう、ヘビ様に貰ったんだよ。
どうやらヘビ様的には、禁止図書室の本の山とか魔法具とか魔法具の素材とか…ものすごく邪魔だったらしい。
まあ、意志を持ってて、日ごと夜毎に話しかけてくる本、それも一冊、二冊の話じゃないとか。うるさくて、たまったモンじゃないよな。
で、丁度良く異世界人が紛れ込んできたから、全部押し付けてしまえ、と。
代わりに色々教えてやろう、とな。
こっちとしては、ヘビ様ありがとう!以外ない訳なんだが、な。
で、魔素を溜めるにはーー魔物を殺す必要がある。
魔物ってのは、まあ色々あるけど、一番分かりやすい所で目が濁ってて光を失っており、黒いケムリみたいなモノを全身に纏わりつかせた動物、て事だな。こーゆー動物は基本的に殺って良し、だそうだ。
俺が狩ってきた鳥やウサギなんかにも、そんな状態のヤツが居るそうだ。…街道沿いには滅多に居ないらしいが。
狩ったエモノなんかはギルドで換金出来るーー狩猟・生産・魔法・傭兵など纏めた組合だそうだ。…商業ギルドはまた別らしいが、俺らそっち方面は関係ないだろ、多分。
魔物化した動物は種類によるが、美味さ倍増になるらしい。…なんでかは知らん。だからギルドで高額買取になるらしいぞ。…稼げるな。俺らが必要なのは、魔素だからな。
で、俺が貰ってきたこの魔法具は、この魔物化した動物とかを殺った時に、溜まってた魔素が拡散して消滅する前に、回収?吸収する物らしくて。
これ、とペンダントを引っ張り出して、3人に見せた。
これが真っ黒になるまで魔素を溜め込むように、だって。まだ魔物狩りなんかやってないから、キレイなモンだけどな。
「…黒く染まるまで魔物狩りしたら、オレら帰れんのか…」
「帰り方もちゃんと教わったぞ」
和樹のつぶやきに答えた。
会長がそうするのが当然、と言わんばかりに。
「僕はこんな世界に永住する気は無いよ。だからギルドに所属して、効率良く魔物狩りをしていこう、と思っているよ」
「…今の私たちなら…」
副会長は、やっぱりどこか危うい。
何の根拠も無く、自分は強者だと思い込んでいる。
思い込もうとしてる。
「とにかく」
妙にやる気になってる所に、敢えて水を差すように言った。
「ギルド登録決定、って言うんなら、それ用の名前考えなきゃなんないぞ。この世界、どうやら本名を知られるとヤバいらしい。元の名前じゃなけりゃ何でもいいから、あだ名っつか仮名っつか…そーゆーのでギルド登録した方が無難だわ。ついでに呼び方も、そっちに変えよう。外見…せめて髪と目の色も変えた方が良い」
名前と言っても、音…読み上げたモノじゃなく、文字として認識する事が大事らしい。
俺、銀竜に名前付けた時、つい漢字で考えちゃったんだけど…この世界の文字じゃないから、アイツも何かに縛られるってことはなくなったのか?
…よー分からん。
それはさておき。
さー、名付けだ名付け。どーすっかねー…。
「あ、じゃあ私リッカで」
副会長、早いな。
苗字の音読みか。
その法則に乗っかると…。
「んじゃ俺はコウリン?…どこの中国人だ…」
「江戸時代の絵師に、そんな名前のヤツいたよなー。…オレどーしよ……シン?ススム?…フジ?…フジは無いわー…」
和樹と2人、微妙だなー…と話してたらば、副会長がざっくりと。
「コウ君とスズ君でいいんじゃない?」
あー。
んじゃそれで。
「…君達はいいよね…僕、どうしよう…」
会長…。
みくりや、って…イジりようが無い…。
会長は会長でいーんじゃね?
「それはそれで何かイヤだ」
…ワガママ者め。
副会長、お願いします。
「えー…そうねー…ミクだと何処かのボーカロイドになっちゃうし…」
副会長、ウンウン唸った後でポツリと。
「…最初と最後を取って、ミヤ、で良いんじゃないかしら?」
面倒になったな。
「猫の鳴き声…って言うか、女の子みたいじゃないかな?」
や、あんた見て、女と見間違うヤツは居ないです。
ムダに色気のあるオトコマエ、としか思われないわ。
「…間違われるとしたら、むしろオレらじゃね?」
和樹…うすうす感じてたことを、改めて口にするんじゃない。ただでさえ俺ら子供扱いなんだぞ?
…あー、むしろ子供扱いの方が良いのかもなー…。色んな意味で。
15のガキでもあんなコトになってた聖女サマ(笑)って実例があるしな。
会長がなんかゴチャゴチャ言ってるけど、もう面倒だ。
「俺がコウで和樹がスズ、会長がミヤで副会長がリッカ。これで決定ってことで」
意義は認めぬ。
決定事項だ。
俺らが家に帰るためには。
世界間移動に必要なエネルギー…魔素ってヤツな。魔法にも使っている、それを溜め込まなきゃなんない。
その、溜め込む魔法具は俺が持ってる。
そう、ヘビ様に貰ったんだよ。
どうやらヘビ様的には、禁止図書室の本の山とか魔法具とか魔法具の素材とか…ものすごく邪魔だったらしい。
まあ、意志を持ってて、日ごと夜毎に話しかけてくる本、それも一冊、二冊の話じゃないとか。うるさくて、たまったモンじゃないよな。
で、丁度良く異世界人が紛れ込んできたから、全部押し付けてしまえ、と。
代わりに色々教えてやろう、とな。
こっちとしては、ヘビ様ありがとう!以外ない訳なんだが、な。
で、魔素を溜めるにはーー魔物を殺す必要がある。
魔物ってのは、まあ色々あるけど、一番分かりやすい所で目が濁ってて光を失っており、黒いケムリみたいなモノを全身に纏わりつかせた動物、て事だな。こーゆー動物は基本的に殺って良し、だそうだ。
俺が狩ってきた鳥やウサギなんかにも、そんな状態のヤツが居るそうだ。…街道沿いには滅多に居ないらしいが。
狩ったエモノなんかはギルドで換金出来るーー狩猟・生産・魔法・傭兵など纏めた組合だそうだ。…商業ギルドはまた別らしいが、俺らそっち方面は関係ないだろ、多分。
魔物化した動物は種類によるが、美味さ倍増になるらしい。…なんでかは知らん。だからギルドで高額買取になるらしいぞ。…稼げるな。俺らが必要なのは、魔素だからな。
で、俺が貰ってきたこの魔法具は、この魔物化した動物とかを殺った時に、溜まってた魔素が拡散して消滅する前に、回収?吸収する物らしくて。
これ、とペンダントを引っ張り出して、3人に見せた。
これが真っ黒になるまで魔素を溜め込むように、だって。まだ魔物狩りなんかやってないから、キレイなモンだけどな。
「…黒く染まるまで魔物狩りしたら、オレら帰れんのか…」
「帰り方もちゃんと教わったぞ」
和樹のつぶやきに答えた。
会長がそうするのが当然、と言わんばかりに。
「僕はこんな世界に永住する気は無いよ。だからギルドに所属して、効率良く魔物狩りをしていこう、と思っているよ」
「…今の私たちなら…」
副会長は、やっぱりどこか危うい。
何の根拠も無く、自分は強者だと思い込んでいる。
思い込もうとしてる。
「とにかく」
妙にやる気になってる所に、敢えて水を差すように言った。
「ギルド登録決定、って言うんなら、それ用の名前考えなきゃなんないぞ。この世界、どうやら本名を知られるとヤバいらしい。元の名前じゃなけりゃ何でもいいから、あだ名っつか仮名っつか…そーゆーのでギルド登録した方が無難だわ。ついでに呼び方も、そっちに変えよう。外見…せめて髪と目の色も変えた方が良い」
名前と言っても、音…読み上げたモノじゃなく、文字として認識する事が大事らしい。
俺、銀竜に名前付けた時、つい漢字で考えちゃったんだけど…この世界の文字じゃないから、アイツも何かに縛られるってことはなくなったのか?
…よー分からん。
それはさておき。
さー、名付けだ名付け。どーすっかねー…。
「あ、じゃあ私リッカで」
副会長、早いな。
苗字の音読みか。
その法則に乗っかると…。
「んじゃ俺はコウリン?…どこの中国人だ…」
「江戸時代の絵師に、そんな名前のヤツいたよなー。…オレどーしよ……シン?ススム?…フジ?…フジは無いわー…」
和樹と2人、微妙だなー…と話してたらば、副会長がざっくりと。
「コウ君とスズ君でいいんじゃない?」
あー。
んじゃそれで。
「…君達はいいよね…僕、どうしよう…」
会長…。
みくりや、って…イジりようが無い…。
会長は会長でいーんじゃね?
「それはそれで何かイヤだ」
…ワガママ者め。
副会長、お願いします。
「えー…そうねー…ミクだと何処かのボーカロイドになっちゃうし…」
副会長、ウンウン唸った後でポツリと。
「…最初と最後を取って、ミヤ、で良いんじゃないかしら?」
面倒になったな。
「猫の鳴き声…って言うか、女の子みたいじゃないかな?」
や、あんた見て、女と見間違うヤツは居ないです。
ムダに色気のあるオトコマエ、としか思われないわ。
「…間違われるとしたら、むしろオレらじゃね?」
和樹…うすうす感じてたことを、改めて口にするんじゃない。ただでさえ俺ら子供扱いなんだぞ?
…あー、むしろ子供扱いの方が良いのかもなー…。色んな意味で。
15のガキでもあんなコトになってた聖女サマ(笑)って実例があるしな。
会長がなんかゴチャゴチャ言ってるけど、もう面倒だ。
「俺がコウで和樹がスズ、会長がミヤで副会長がリッカ。これで決定ってことで」
意義は認めぬ。
決定事項だ。
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