26 / 374
予定は未定?
しおりを挟む
さて。買い出しも終わり、宿でひと息ついたところで。
一般人組が戻って来るまでは、まだまだかかるだろう。
基本的に、女の買い物はムダに長い。
なんで???って理由で長い。
服飾小物類なんて言ったら、特に長引くだろう。
…全然関係ないモノに引っかかってたり、あっちこっちグルグル歩き廻ったり…。
うん。ワガママな姉達に振りまわされ慣れているスズが、適任だったわ。リッカさんのお供。
では、この隙に……。
「銀竜」
「御前に」
胸に右手を当て、頭を下げた銀竜が、音もなく現れた。
…だから、お前はどこの執事だ?
「報告を」
「御意」
ミヤさんは、のん気に茶の支度を始めた。
…なんか楽しそーだな、おい。
王城から送ってくれた御者の人(諜報員)は、まずは王に、次いでやっぱり色ボケ姫にも報告したそうだ。王は頷いたきりで何の指示も出さなかったが、色ボケ姫は。
「…自分が寝トボケてる間に、俺らがさくさく出てったからってさ~…」
それが、そうするのが当然、とばかりに暗殺指令を出したそうだ。もちろん、ミヤさん以外。
ミヤさんは傷付けずに連れて来い、だってさ。
「なんだろう…意地になってるとしか、思えないんだけど」
ミヤさんもうんざりしてる。
状況判断も出来ない王族に、存在意義ってあるのかね?
「王は手出し無用、というスタンスです。王女殿下の行動は、軽く見積もって不敬罪、大ざっぱに言うと反逆罪にあたるのか、と」
銀竜は淡々と報告を続ける。
「襲撃予定は国境の街付近で行われる予定だそうで。よほど自信があるのでしょうか。既に勝利宣言してましたよ、あの王女殿下。自分では何もして無いというのに」
なんとなくシラケた顔で銀竜はのたまった。
…あの色ボケ姫に、さんざんムチャ振りされてたのか諜報機関…。
国の機関を私物化していい訳ないよな?いくら王族だからって、さ?
「王族という立場を良いことに、やりたい放題でしたよ。…そろそろそんなことも、出来なくなるでしょうけれど」
「どーゆーことかな?」
ミヤさんの問いに、銀竜は。
「王女殿下本人も、うすうす気付いているのでしょうが。王太子殿下の為の儀式ーー異世界召喚の儀が終了したので、他国との親睦の為に…」
「政略結婚か」
だからミヤさんGetに必死になってるってことか?
王族のクセに、愛の無い結婚は嫌だ、とかぬかすわけ?
お前自身が相手の気持ちなんか、一切お構いなしのクセに?
……何様?
「お姫サマでしょ?色ボケって付くけど、さ」
ミヤさん的には迷惑以外の何物でもない、らしい。
そりゃそーだ。自分のことしか考えない、考えられない自己中とは付き合ってらんない。
…しかしさぁ…。
「あの色ボケ姫と結婚しようって勇者は、どんなヤツだ?」
ちょっと興味わいたわ。
銀竜、更に淡々と。
「西の大国、イルティアルの王弟殿下です」
なんでも、王弟殿下は40歳。好色で多情な漁色家。手を付けた女の数は星の数……。
よくやらかさなかったな。
1人か2人かそれ以上、子供が出来たーって、騒ぎ立てるヤカラが出てくるハズなのにさ。
「これは公にはされていない事ですが…」
それを知ってるお前はなんだ?
…ぶっちゃけスパイか。
…忍者だったか…?
どっちでも同じか。
で。
王弟殿下は国を割ることの無いよう、今のイルティアル王が王に即位した時に、自分の血を引く子供は作らないと誓約したそうだ。次いで魔法でもって確実に、子供が出来ないカラダにしたんだと。
男性機能はそのまま残して、王家に群がる貴族共のハニートラップを全て一身に受けたんだと。
イルティアル王が即位して26年。王弟殿下に子供が出来た事は、無いそうだ。
女の方がどっかヨソで他の男と子供作っておきながら、厚顔無恥に王弟殿下の子供だ、と言い張る場面も多々あったけど、王弟殿下は。
女が企みを持って自分に近づいて来た時点で、子飼いの密偵共にその女自身、背後関係etc.ありったけ全部、重箱のスミをつつくよーに調べ上げさせるんだと。
「…じゅーばこ…?」
重箱は置いとけ、銀竜。
イルティアル王家には、代々伝わる魔法具…対象者の過去の行動、言動全て読み取り写し出すって鏡があって。どーしよーもないほどに状況が膠着した場合、対象者をその鏡の前に立たせるんだと。
大概のヤツはめっちゃ嫌がるわな。まあその時点でアウト。
思い当たることが何一つないのならば、鏡の前に立ったところで何の問題もないはずだ、と。
…どこの照魔鏡だ…。
「つまり、色ボケ姫はそんな王弟殿下の元に嫁入りする、と?」
今、ミヤさんは優雅にティータイムと洒落込んでらっしゃる。俺と銀竜にも茶が供された。
銀竜は、茶を一口。喉を湿らせてから話を続ける。
「子供が産まれるまで、王女殿下に自由は与えられないそうです」
?へ?
一般人組が戻って来るまでは、まだまだかかるだろう。
基本的に、女の買い物はムダに長い。
なんで???って理由で長い。
服飾小物類なんて言ったら、特に長引くだろう。
…全然関係ないモノに引っかかってたり、あっちこっちグルグル歩き廻ったり…。
うん。ワガママな姉達に振りまわされ慣れているスズが、適任だったわ。リッカさんのお供。
では、この隙に……。
「銀竜」
「御前に」
胸に右手を当て、頭を下げた銀竜が、音もなく現れた。
…だから、お前はどこの執事だ?
「報告を」
「御意」
ミヤさんは、のん気に茶の支度を始めた。
…なんか楽しそーだな、おい。
王城から送ってくれた御者の人(諜報員)は、まずは王に、次いでやっぱり色ボケ姫にも報告したそうだ。王は頷いたきりで何の指示も出さなかったが、色ボケ姫は。
「…自分が寝トボケてる間に、俺らがさくさく出てったからってさ~…」
それが、そうするのが当然、とばかりに暗殺指令を出したそうだ。もちろん、ミヤさん以外。
ミヤさんは傷付けずに連れて来い、だってさ。
「なんだろう…意地になってるとしか、思えないんだけど」
ミヤさんもうんざりしてる。
状況判断も出来ない王族に、存在意義ってあるのかね?
「王は手出し無用、というスタンスです。王女殿下の行動は、軽く見積もって不敬罪、大ざっぱに言うと反逆罪にあたるのか、と」
銀竜は淡々と報告を続ける。
「襲撃予定は国境の街付近で行われる予定だそうで。よほど自信があるのでしょうか。既に勝利宣言してましたよ、あの王女殿下。自分では何もして無いというのに」
なんとなくシラケた顔で銀竜はのたまった。
…あの色ボケ姫に、さんざんムチャ振りされてたのか諜報機関…。
国の機関を私物化していい訳ないよな?いくら王族だからって、さ?
「王族という立場を良いことに、やりたい放題でしたよ。…そろそろそんなことも、出来なくなるでしょうけれど」
「どーゆーことかな?」
ミヤさんの問いに、銀竜は。
「王女殿下本人も、うすうす気付いているのでしょうが。王太子殿下の為の儀式ーー異世界召喚の儀が終了したので、他国との親睦の為に…」
「政略結婚か」
だからミヤさんGetに必死になってるってことか?
王族のクセに、愛の無い結婚は嫌だ、とかぬかすわけ?
お前自身が相手の気持ちなんか、一切お構いなしのクセに?
……何様?
「お姫サマでしょ?色ボケって付くけど、さ」
ミヤさん的には迷惑以外の何物でもない、らしい。
そりゃそーだ。自分のことしか考えない、考えられない自己中とは付き合ってらんない。
…しかしさぁ…。
「あの色ボケ姫と結婚しようって勇者は、どんなヤツだ?」
ちょっと興味わいたわ。
銀竜、更に淡々と。
「西の大国、イルティアルの王弟殿下です」
なんでも、王弟殿下は40歳。好色で多情な漁色家。手を付けた女の数は星の数……。
よくやらかさなかったな。
1人か2人かそれ以上、子供が出来たーって、騒ぎ立てるヤカラが出てくるハズなのにさ。
「これは公にはされていない事ですが…」
それを知ってるお前はなんだ?
…ぶっちゃけスパイか。
…忍者だったか…?
どっちでも同じか。
で。
王弟殿下は国を割ることの無いよう、今のイルティアル王が王に即位した時に、自分の血を引く子供は作らないと誓約したそうだ。次いで魔法でもって確実に、子供が出来ないカラダにしたんだと。
男性機能はそのまま残して、王家に群がる貴族共のハニートラップを全て一身に受けたんだと。
イルティアル王が即位して26年。王弟殿下に子供が出来た事は、無いそうだ。
女の方がどっかヨソで他の男と子供作っておきながら、厚顔無恥に王弟殿下の子供だ、と言い張る場面も多々あったけど、王弟殿下は。
女が企みを持って自分に近づいて来た時点で、子飼いの密偵共にその女自身、背後関係etc.ありったけ全部、重箱のスミをつつくよーに調べ上げさせるんだと。
「…じゅーばこ…?」
重箱は置いとけ、銀竜。
イルティアル王家には、代々伝わる魔法具…対象者の過去の行動、言動全て読み取り写し出すって鏡があって。どーしよーもないほどに状況が膠着した場合、対象者をその鏡の前に立たせるんだと。
大概のヤツはめっちゃ嫌がるわな。まあその時点でアウト。
思い当たることが何一つないのならば、鏡の前に立ったところで何の問題もないはずだ、と。
…どこの照魔鏡だ…。
「つまり、色ボケ姫はそんな王弟殿下の元に嫁入りする、と?」
今、ミヤさんは優雅にティータイムと洒落込んでらっしゃる。俺と銀竜にも茶が供された。
銀竜は、茶を一口。喉を湿らせてから話を続ける。
「子供が産まれるまで、王女殿下に自由は与えられないそうです」
?へ?
24
あなたにおすすめの小説
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
貴方のために
豆狸
ファンタジー
悔やんでいても仕方がありません。新米商人に失敗はつきものです。
後はどれだけ損をせずに、不良債権を切り捨てられるかなのです。
※子どもに関するセンシティブな内容があります。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
義妹がピンク色の髪をしています
ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
妹が聖女の再来と呼ばれているようです
田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。
「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」
どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。
それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。
戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。
更新は不定期です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる