目標:撤収

庭にハニワ

文字の大きさ
83 / 374

誰かの名言…むしろ迷言かも?

しおりを挟む
24時間強制睡眠からよーやく目覚めた銀竜。

珍しく、ちょっとボーッとしている。
…なあ、スズ…24時間爆睡って…ちょいやり過ぎだったんじゃね?
まあ、もう済んだことだけどさ。

銀竜?起きてるか?

「……っ…主様」

我に返った銀竜。上体を起こして、こちらに向き直る。
どーやら身体の方は、問題ないようだな。

「お手数をお掛けしまして…」

目を伏せて、頭を下げる銀竜。
うん、まあ良いんだけど…。

良かった~…とニコニコしているスズや、微笑んでいるミヤさんはまあ…良しとして。
…リッカさん…。

「……くふ?」

何なのそのニヤけきった顔は。
どーせまた要らんコト考えてたんでしょ。
…微妙に残念な人だなホントに…。

とにかく。
24時間以上、何も食って無いんだろ~し。
何か食わなきゃ身が持たん…ってことで。
こないだのカニパーティーでやった、カニ鍋のシメのうどん。アレと同じ、とは言わないが、カニと鶏肉で出汁を取って、くったくたになるまで柔らか~く煮込んだうどんを銀竜に…。
…って、3人とも?
何を期待した目で俺を見るかな?
これは、銀竜の分。
見ろ。
ドンブリ片手に戸惑っているじゃないか。
お前はとにかく食え。
ちゃんとスプーンで掬いやすいように、うどん細かく刻んであるし。
そこの3人は、人のモノを欲しがるな。

「えー…」
「や、でもこの匂いは、ね~…」
「おなかすいたわ、お母さん」

だから、誰がお母さんか。

こんな夜中に何か食ったら、もれなく太るぞリッカさん。
こんな時間の食事とか、罪悪感ハンパ無いんじゃないのか?

「罪悪感も込みで旨味だって、どこかの誰かが言ってたわ!」

…そんなに力強く言わなくても…。

いいけど別に。
予想通りだし。
余分に用意してあるし。

さて、問題が一つ。
…この部屋、椅子と机が一人分しか無いんだが。

「あ、大丈夫大丈夫」

一つしかない机を、スズが錬金術でテーブル──て言うか、ちゃぶ台だな、これ──に、変えた。
どっかの錬金術師兄弟みたいなやり方で。

「いや~、想像力って、大事な~♪」

と、当人はゴキゲンだが。

銀竜が、ゑ、て顔している。
こっちの世界でこんなやり方で、錬金術やるヤツはいないらしい。

…外野は気にせず、お前はとにかくメシを食え。

リッカさんが自分の異次元倉庫から引っ張り出した敷物──アラビア絨毯チックな、なんとなくお高いカンジの──をおもむろに床に敷いて、ちゃぶ台をセッティング。
和室と言うには微妙だが、そこだけ茶の間っぽくなった。

…で、3人分、気持ち少な目にお椀によそってちゃぶ台に並べた。箸付けて。
さあ、どうぞ。
あ、銀竜、おかわりあるから食えるようなら、言えよ?

夜食タイムが始まった。



夜食タイム、終~了~。

結局、一番食ったのはリッカさんだった。
…あんた…太るぞ…。

「後悔は…ちょっとだけしてるわ…。でもでも、美味しいのが悪いのよ!」

軽い逆ギレ入りました~。
そんな理由でキレられても…。

「んじゃ明日…っつか、今日からリッカさんだけ自炊と言うことで」
「ごめんなさいお母さん」
「早っ!折れんの早っ!」
「胃袋しっかり掴まれちゃってるから、僕らコウには弱いよね。基本的にさ」

そんなおフザケは置いといて。
銀竜よ。

「はい」

何がどーなったのか、具体的に話せるか。ある程度でいい。
…ああ、さすがに24時間…丸1日寝た後で、もう一度寝ろ、とは言わない。
でも今はムリだと言うのなら、日が昇ってからでも良い。

「いえ」

銀竜は、言った。

「多少の時限を頂いてしまいますが…構わないでしょうか」

俺ら全員、頷いた。

「わかりました。それでは──」

銀竜の昔話が始まった。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

神は激怒した

まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。 めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。 ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m 世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

貴方のために

豆狸
ファンタジー
悔やんでいても仕方がありません。新米商人に失敗はつきものです。 後はどれだけ損をせずに、不良債権を切り捨てられるかなのです。 ※子どもに関するセンシティブな内容があります。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

【完結】ゲーム開始は自由の時! 乙女ゲーム? いいえ。ここは農業系ゲームの世界ですよ?

キーノ
ファンタジー
 私はゲームの世界に転生したようです。主人公なのですが、前世の記憶が戻ったら、なんという不遇な状況。これもゲームで語られなかった裏設定でしょうか。  ある日、我が家に勝手に住み着いた平民の少女が私に罵声を浴びせて来ました。乙女ゲーム? ヒロイン? 訳が解りません。ここはファーミングゲームの世界ですよ?  自称妹の事は無視していたら、今度は食事に毒を盛られる始末。これもゲームで語られなかった裏設定でしょうか?  私はどんな辛いことも頑張って乗り越えて、ゲーム開始を楽しみにいたしますわ! ※紹介文と本編は微妙に違います。 完結いたしました。 感想うけつけています。 4月4日、誤字修正しました。

魅了の対価

しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。 彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。 ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。 アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。 淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

義妹がピンク色の髪をしています

ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。

処理中です...