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お上品ではない。
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マドゥーニー支部にて。
エビとカニの討伐依頼を受けることになって。
受け付けに行くと、何故かリーランさんがいた。
「はいは~い、受け付けするよ~。あ、早速依頼受けてくれるんだね~。え~と…討伐系2つ、ね。大丈夫?カニ、固いよ~?」
あ、前にもやったことあるんで。大丈夫です。
「え?ガランには、海無かったよね?」
リーランさん、小首傾げて???ってなってる。
かわいい。
腐女子がただの女子に戻って悶えるくらいには、かわいい。
…カニの件は済んだことなので、お気になさらず。
「? まあいいけど。時間あるなら軽くレクチャーしてあげるけど、どーする?」
よろしくお願いします。
…下調べする手間が省けた。ラッキー。
もうじき混んでくるだろうから、と場所移動して。
資料室にて、リーランさんからのカニとエビについてのレクチャーを受ける。
カニ──イガグリガニは、体長約50cm以上、大きくても1mにとどくかどうか。岩場と言うか、磯に潜んでいて磯遊びする子供たちに被害が出ることもあるので、こまめに駆除している。名前の通り、栗のイガのようにトゲトゲした甲殻を持ち、しかも固い、とな。
固いっつってもまあ…50cmくらいなら、5m級のカニよりはヤワいだろ、多分。
討伐証明としてカニ爪一組提出。本体の買い取りもする、とな。
本体のカラも身もすり潰して、肥料か漁師が使う撒き餌に加工するそーな。
水晶海老はその名の通り、水晶のように透き通った30cm以上のエビで、主に浅瀬に生息している。砂浜で遊ぶ子供たちに危険が及ばないように、駆除対象となっている。
これもまた撒き餌や肥料にするから、まるっとそのままの形で持ち込んで良し。とのこと。
…食わねえの? てぇか、食えるの?
そう聞くと、リーランさんは。
「え?食べるの?」
本気でびっくりしてた。
「あんなに固いのに、あんな見た目で気持ち悪いのに、食べる気になるの?どーやって食べるの?え?ホントに?」
えぇ~…と、リーランさんにドン引きされてしまった…。
…まあ、引いてる様もかわいかったので、良し。
ただ、かわいいモノに引かれたってことに、地味にヘコんでいるスズとリッカさんがいた。
大人組は平常運転。良くあることです、とばかりに平然としている。
…リーランさん。そんなに引くなら、まずは実際に食してみようか。
取り出しました揚げたて熱々カニクリームコロッケ(カニ肉倍増)。カニパーティーの時に山盛り作った一部を、ぶっ壊れ機能の異次元倉庫で地味~に増やしたヤツな。5人分の食事一回分くらいに増えた。いざという時の手抜きゴハン用です。
リーランさんや。1個食べてみ?
「…えぇ~…何これ…。食べ物なの?見たことないんだけど~…」
…正直作ってる途中でメンドくさくなったので、一口サイズのコジャレたヤツじゃなくて、普通こんなにデカく作んねーだろってサイズ…まあゲンコツサイズだが。某コンビニのメンチカツより軽く一回りデカい、ゲンコツサイズのクリームコロッケを前に、リーランさんは戸惑っていた。
…うん。戸惑ってる様がまたかわいい。
そんなリーランさんを愛でていた俺の後ろから、手が伸びてきて…。
「ねぇ」
肩をガシッと掴まれた。
次の瞬間。
「いだだだだだだ」
「僕がクリームコロッケ好きだって知ってて、今まで隠してたわけ?どーゆーつもりなのかな? ん?」
ミヤさんに、肩の筋をわしっと掴まれた。
握力任せにぐい~っと。
「え? 何事?」
パニクるリーランさん。
いつものこと、と眺めているスズ。
なんだか萌えているリッカさん。
銀竜、助けろ。
「お二方とも、本気ではありませんよね」
見守る体勢に入るんじゃ、なーい!
ある程度俺で遊んで気が済んだミヤさんに、クリームコロッケ1つ手渡し…。スズ、リッカさん…。物欲しそうな顔をするんじゃない。
…ったく、しょ~がねぇな。
2人にも手渡した。
「おー、サンキュ!コウ。これでっかくて食いでがあっていーよな~」
「…これ食べてたら、一口サイズのお上品なヤツは、物足りなくなるわね~」
3人とも、嬉しそ~にかじりついていた。
…銀竜。リーランさんも。
これこの通り、マズいモノやヤバいモノは入ってないから、安心してかじりつくがいい。
揚げたてでアッツアツだから、ちょっとだけ気をつけるよ~に。
がっつくと、ほら。
「…あっふぉ……」
スズのようになるからな。
異次元倉庫から果実水とカップを取り出し、スズに渡した。
年長組は落ち着いて、ウマウマ、と食べている。
銀竜は、不思議なモノを見る目で見ていたが、一口かじって気に入ったのか、黙々と食べ進めている。
そんな連中を見て、リーランさんもゲンコツカニクリームコロッケにかじりついた。
ちょうど良いカンジに冷めていたのだろう。
サクサクと食べ進めて…ペロリとクリームコロッケにしちゃデカいヤツを食べ終えた。
「…これ…おいしいね~!何これなんて料理なの?風味がなんとも…」
はい。今食べたモノの中にはカニの肉が入ってました。出汁にカニの甲らも使ってます。
「え?ホントに?…こんなにおいしいのカニって…。あれ?ガランにカニっていないよね?」
あ~、うん。
俺らの認識上と《鑑定》でカニ、と出た森歩き(横)です。
大変美味しくいただきました。
エビとカニの討伐依頼を受けることになって。
受け付けに行くと、何故かリーランさんがいた。
「はいは~い、受け付けするよ~。あ、早速依頼受けてくれるんだね~。え~と…討伐系2つ、ね。大丈夫?カニ、固いよ~?」
あ、前にもやったことあるんで。大丈夫です。
「え?ガランには、海無かったよね?」
リーランさん、小首傾げて???ってなってる。
かわいい。
腐女子がただの女子に戻って悶えるくらいには、かわいい。
…カニの件は済んだことなので、お気になさらず。
「? まあいいけど。時間あるなら軽くレクチャーしてあげるけど、どーする?」
よろしくお願いします。
…下調べする手間が省けた。ラッキー。
もうじき混んでくるだろうから、と場所移動して。
資料室にて、リーランさんからのカニとエビについてのレクチャーを受ける。
カニ──イガグリガニは、体長約50cm以上、大きくても1mにとどくかどうか。岩場と言うか、磯に潜んでいて磯遊びする子供たちに被害が出ることもあるので、こまめに駆除している。名前の通り、栗のイガのようにトゲトゲした甲殻を持ち、しかも固い、とな。
固いっつってもまあ…50cmくらいなら、5m級のカニよりはヤワいだろ、多分。
討伐証明としてカニ爪一組提出。本体の買い取りもする、とな。
本体のカラも身もすり潰して、肥料か漁師が使う撒き餌に加工するそーな。
水晶海老はその名の通り、水晶のように透き通った30cm以上のエビで、主に浅瀬に生息している。砂浜で遊ぶ子供たちに危険が及ばないように、駆除対象となっている。
これもまた撒き餌や肥料にするから、まるっとそのままの形で持ち込んで良し。とのこと。
…食わねえの? てぇか、食えるの?
そう聞くと、リーランさんは。
「え?食べるの?」
本気でびっくりしてた。
「あんなに固いのに、あんな見た目で気持ち悪いのに、食べる気になるの?どーやって食べるの?え?ホントに?」
えぇ~…と、リーランさんにドン引きされてしまった…。
…まあ、引いてる様もかわいかったので、良し。
ただ、かわいいモノに引かれたってことに、地味にヘコんでいるスズとリッカさんがいた。
大人組は平常運転。良くあることです、とばかりに平然としている。
…リーランさん。そんなに引くなら、まずは実際に食してみようか。
取り出しました揚げたて熱々カニクリームコロッケ(カニ肉倍増)。カニパーティーの時に山盛り作った一部を、ぶっ壊れ機能の異次元倉庫で地味~に増やしたヤツな。5人分の食事一回分くらいに増えた。いざという時の手抜きゴハン用です。
リーランさんや。1個食べてみ?
「…えぇ~…何これ…。食べ物なの?見たことないんだけど~…」
…正直作ってる途中でメンドくさくなったので、一口サイズのコジャレたヤツじゃなくて、普通こんなにデカく作んねーだろってサイズ…まあゲンコツサイズだが。某コンビニのメンチカツより軽く一回りデカい、ゲンコツサイズのクリームコロッケを前に、リーランさんは戸惑っていた。
…うん。戸惑ってる様がまたかわいい。
そんなリーランさんを愛でていた俺の後ろから、手が伸びてきて…。
「ねぇ」
肩をガシッと掴まれた。
次の瞬間。
「いだだだだだだ」
「僕がクリームコロッケ好きだって知ってて、今まで隠してたわけ?どーゆーつもりなのかな? ん?」
ミヤさんに、肩の筋をわしっと掴まれた。
握力任せにぐい~っと。
「え? 何事?」
パニクるリーランさん。
いつものこと、と眺めているスズ。
なんだか萌えているリッカさん。
銀竜、助けろ。
「お二方とも、本気ではありませんよね」
見守る体勢に入るんじゃ、なーい!
ある程度俺で遊んで気が済んだミヤさんに、クリームコロッケ1つ手渡し…。スズ、リッカさん…。物欲しそうな顔をするんじゃない。
…ったく、しょ~がねぇな。
2人にも手渡した。
「おー、サンキュ!コウ。これでっかくて食いでがあっていーよな~」
「…これ食べてたら、一口サイズのお上品なヤツは、物足りなくなるわね~」
3人とも、嬉しそ~にかじりついていた。
…銀竜。リーランさんも。
これこの通り、マズいモノやヤバいモノは入ってないから、安心してかじりつくがいい。
揚げたてでアッツアツだから、ちょっとだけ気をつけるよ~に。
がっつくと、ほら。
「…あっふぉ……」
スズのようになるからな。
異次元倉庫から果実水とカップを取り出し、スズに渡した。
年長組は落ち着いて、ウマウマ、と食べている。
銀竜は、不思議なモノを見る目で見ていたが、一口かじって気に入ったのか、黙々と食べ進めている。
そんな連中を見て、リーランさんもゲンコツカニクリームコロッケにかじりついた。
ちょうど良いカンジに冷めていたのだろう。
サクサクと食べ進めて…ペロリとクリームコロッケにしちゃデカいヤツを食べ終えた。
「…これ…おいしいね~!何これなんて料理なの?風味がなんとも…」
はい。今食べたモノの中にはカニの肉が入ってました。出汁にカニの甲らも使ってます。
「え?ホントに?…こんなにおいしいのカニって…。あれ?ガランにカニっていないよね?」
あ~、うん。
俺らの認識上と《鑑定》でカニ、と出た森歩き(横)です。
大変美味しくいただきました。
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