目標:撤収

庭にハニワ

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押し切られた、らしい。

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なんとなくどよん、とする話が終わったと思ったら。
周りの空気をざっくりと無視してリッカさんが。

「え、まだ話は終わってないわよね?クリスちゃんとリドラさんが、どーやってラブ♡なカップルになったのか、その辺くわしく!」

…他人様のプライベートに、首どころか全身で突っ込んでいくの、いい加減ヤメよ~や…。

わくわくしているリッカさん。
やっぱ物理的に説教しなきゃ、ダメかー…と、考えてたら。
リドラさんがぽつり、と。

「…俺がクリスに頼んだんだ…。一生クリスの隣りに居ても、誰にもなんにも言われないモノになりたかった。クリスは俺を自分の家族のように…それ以上に良くしてくれたけど、それだけじゃ 足りなかったんだ。だから、俺から──」
「はいそこまで~」

ギルド長が話し続けるリドラさんを抱え込んで止めた。

「その先は、子供に聞かせて良いような話じゃないわよ。ワタシとあなたの2人だけの秘密よ」

そー言って、うふ、と笑うギルド長に、リッカさんは食い付いていく。

「えー!むしろその先が詳しく知りた~い!」

…ちょっと調子に乗ってないか?

食い下がるリッカさんを軽くいなして、ギルド長が。

「ま、そんな大変な目にあってた子だし、1人立ち出来るようになるまでは、きっちりと面倒見ようと思ってね。いろんなところに行ったり、いろんな人に会ったり、いろんなモノを食べたり、いろんな──」

いろいろと経験させたってことですね。わかります。

「無限の選択肢の中から、選んだのがワタシ…って、ねぇ…。初対面の時の刷り込みじゃないか?…とか、いろいろ話したんだけど、ねぇ…。さすがに百年近くずーっと好き好き言われ続けたらねぇ…」

押し切られた、と。

リドラさんが、ギルド長の腕の中から顔を出して。

「がんばった。俺にはクリスしか居なかったし、クリス以外欲しくなかったから」

あ、うん。努力が実ったんだね。
おめでとう。

…他に何をどう言えと?

一途な子供にオトされたギルド長は、ため息つきつつ。

「本当にいろいろ話したのよ?性別が同じで種族が違う、子供を作ることも出来ないのよ?って。でもね~…。俺じゃ、ダメなのか…って。なんだか捨てられた子猫みたいな目で見られちゃって…。ワタシ、最初っからこの子の瞳にはヨワかったのよ…」

ギルド長は腕の中のリドラさんを、大事そうに抱きしめて…。
リドラさんはギルド長にすりすりとほおずりしてて…。

うん。この先はノロケ話以外出てこないな…。
なあ、砂、吐いていいか?

「…砂で足りっかな~…」
「砂糖吐きそーになるんじゃないかな…」
「………」
「や~、いつも通り、仲良しだね~」

野郎共がゲンナリして、銀竜が無言を貫き、ニコニコしているリーランさん、という奇妙な状況の中で、リッカさんは1人満足げにくふくふ笑っていた。
…ホントマジでいつか物理的に説教カマしてやる…。

「ムダなことはするもんじゃあないよ。疲れるだけだからね」
「リッカさんはそーゆーヤマイにオカされてるんだから、ほっとけほっとけ」

肉食系女子よりよっぽどマシだ、とスズとミヤさんは言う。
…そりゃ、そーだけど、さ~…。
何つーかこー…な~…。



リッカさんや。気は済んだか。
そろそろお邪魔した本来の目的を果たそーと思うんだが…。
なー、そこでギルド長に懐きまくっているリドラさん。苦手なモンとか食えないモンとかあるか?
…生臭い魚…油が強いモノ…なるほど。
んじゃ、ここで作った方がいーかな?一応作りたてを異次元倉庫にごっそりぶち込んできたんだけど。出来立てホヤホヤの料理がいつでも食えます、って状態なんだが。
…見てみます?昆布出汁の取り方。
きっちり出汁取れるようになれば、カンタンにお吸い物作れるよ~になる…かな?

「…なんで最後疑問系なのコウ君…」

や。俺の料理は100%自己流で、分からんところは料理本見てナンとかしたクチなモンで。
…後は場数、かな…。

で、どーします?

「…うん。見る。見たい…」

リドラさんはそー言うと、ギルド長の顔を見て。

「行ってきてもいい?」

ちょっと小首を傾げたその様が、ギルド長のナニかを刺激したのか、ぎううぅぅ…と、リドラさんを抱きしめて…。
エンドレスだな。
いい加減、離してやんなさいな。
リドラさん満足そうだから、いいけどさぁ。

…話進まないな。






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