108 / 374
押し切られた、らしい。
しおりを挟む
なんとなくどよん、とする話が終わったと思ったら。
周りの空気をざっくりと無視してリッカさんが。
「え、まだ話は終わってないわよね?クリスちゃんとリドラさんが、どーやってラブ♡なカップルになったのか、その辺くわしく!」
…他人様のプライベートに、首どころか全身で突っ込んでいくの、いい加減ヤメよ~や…。
わくわくしているリッカさん。
やっぱ物理的に説教しなきゃ、ダメかー…と、考えてたら。
リドラさんがぽつり、と。
「…俺がクリスに頼んだんだ…。一生クリスの隣りに居ても、誰にもなんにも言われないモノになりたかった。クリスは俺を自分の家族のように…それ以上に良くしてくれたけど、それだけじゃ 足りなかったんだ。だから、俺から──」
「はいそこまで~」
ギルド長が話し続けるリドラさんを抱え込んで止めた。
「その先は、子供に聞かせて良いような話じゃないわよ。ワタシとあなたの2人だけの秘密よ」
そー言って、うふ、と笑うギルド長に、リッカさんは食い付いていく。
「えー!むしろその先が詳しく知りた~い!」
…ちょっと調子に乗ってないか?
食い下がるリッカさんを軽くいなして、ギルド長が。
「ま、そんな大変な目にあってた子だし、1人立ち出来るようになるまでは、きっちりと面倒見ようと思ってね。いろんなところに行ったり、いろんな人に会ったり、いろんなモノを食べたり、いろんな──」
いろいろと経験させたってことですね。わかります。
「無限の選択肢の中から、選んだのがワタシ…って、ねぇ…。初対面の時の刷り込みじゃないか?…とか、いろいろ話したんだけど、ねぇ…。さすがに百年近くずーっと好き好き言われ続けたらねぇ…」
押し切られた、と。
リドラさんが、ギルド長の腕の中から顔を出して。
「がんばった。俺にはクリスしか居なかったし、クリス以外欲しくなかったから」
あ、うん。努力が実ったんだね。
おめでとう。
…他に何をどう言えと?
一途な子供にオトされたギルド長は、ため息つきつつ。
「本当にいろいろ話したのよ?性別が同じで種族が違う、子供を作ることも出来ないのよ?って。でもね~…。俺じゃ、ダメなのか…って。なんだか捨てられた子猫みたいな目で見られちゃって…。ワタシ、最初っからこの子の瞳にはヨワかったのよ…」
ギルド長は腕の中のリドラさんを、大事そうに抱きしめて…。
リドラさんはギルド長にすりすりとほおずりしてて…。
うん。この先はノロケ話以外出てこないな…。
なあ、砂、吐いていいか?
「…砂で足りっかな~…」
「砂糖吐きそーになるんじゃないかな…」
「………」
「や~、いつも通り、仲良しだね~」
野郎共がゲンナリして、銀竜が無言を貫き、ニコニコしているリーランさん、という奇妙な状況の中で、リッカさんは1人満足げにくふくふ笑っていた。
…ホントマジでいつか物理的に説教カマしてやる…。
「ムダなことはするもんじゃあないよ。疲れるだけだからね」
「リッカさんはそーゆーヤマイにオカされてるんだから、ほっとけほっとけ」
肉食系女子よりよっぽどマシだ、とスズとミヤさんは言う。
…そりゃ、そーだけど、さ~…。
何つーかこー…な~…。
リッカさんや。気は済んだか。
そろそろお邪魔した本来の目的を果たそーと思うんだが…。
なー、そこでギルド長に懐きまくっているリドラさん。苦手なモンとか食えないモンとかあるか?
…生臭い魚…油が強いモノ…なるほど。
んじゃ、ここで作った方がいーかな?一応作りたてを異次元倉庫にごっそりぶち込んできたんだけど。出来立てホヤホヤの料理がいつでも食えます、って状態なんだが。
…見てみます?昆布出汁の取り方。
きっちり出汁取れるようになれば、カンタンにお吸い物作れるよ~になる…かな?
「…なんで最後疑問系なのコウ君…」
や。俺の料理は100%自己流で、分からんところは料理本見てナンとかしたクチなモンで。
…後は場数、かな…。
で、どーします?
「…うん。見る。見たい…」
リドラさんはそー言うと、ギルド長の顔を見て。
「行ってきてもいい?」
ちょっと小首を傾げたその様が、ギルド長のナニかを刺激したのか、ぎううぅぅ…と、リドラさんを抱きしめて…。
エンドレスだな。
いい加減、離してやんなさいな。
リドラさん満足そうだから、いいけどさぁ。
…話進まないな。
周りの空気をざっくりと無視してリッカさんが。
「え、まだ話は終わってないわよね?クリスちゃんとリドラさんが、どーやってラブ♡なカップルになったのか、その辺くわしく!」
…他人様のプライベートに、首どころか全身で突っ込んでいくの、いい加減ヤメよ~や…。
わくわくしているリッカさん。
やっぱ物理的に説教しなきゃ、ダメかー…と、考えてたら。
リドラさんがぽつり、と。
「…俺がクリスに頼んだんだ…。一生クリスの隣りに居ても、誰にもなんにも言われないモノになりたかった。クリスは俺を自分の家族のように…それ以上に良くしてくれたけど、それだけじゃ 足りなかったんだ。だから、俺から──」
「はいそこまで~」
ギルド長が話し続けるリドラさんを抱え込んで止めた。
「その先は、子供に聞かせて良いような話じゃないわよ。ワタシとあなたの2人だけの秘密よ」
そー言って、うふ、と笑うギルド長に、リッカさんは食い付いていく。
「えー!むしろその先が詳しく知りた~い!」
…ちょっと調子に乗ってないか?
食い下がるリッカさんを軽くいなして、ギルド長が。
「ま、そんな大変な目にあってた子だし、1人立ち出来るようになるまでは、きっちりと面倒見ようと思ってね。いろんなところに行ったり、いろんな人に会ったり、いろんなモノを食べたり、いろんな──」
いろいろと経験させたってことですね。わかります。
「無限の選択肢の中から、選んだのがワタシ…って、ねぇ…。初対面の時の刷り込みじゃないか?…とか、いろいろ話したんだけど、ねぇ…。さすがに百年近くずーっと好き好き言われ続けたらねぇ…」
押し切られた、と。
リドラさんが、ギルド長の腕の中から顔を出して。
「がんばった。俺にはクリスしか居なかったし、クリス以外欲しくなかったから」
あ、うん。努力が実ったんだね。
おめでとう。
…他に何をどう言えと?
一途な子供にオトされたギルド長は、ため息つきつつ。
「本当にいろいろ話したのよ?性別が同じで種族が違う、子供を作ることも出来ないのよ?って。でもね~…。俺じゃ、ダメなのか…って。なんだか捨てられた子猫みたいな目で見られちゃって…。ワタシ、最初っからこの子の瞳にはヨワかったのよ…」
ギルド長は腕の中のリドラさんを、大事そうに抱きしめて…。
リドラさんはギルド長にすりすりとほおずりしてて…。
うん。この先はノロケ話以外出てこないな…。
なあ、砂、吐いていいか?
「…砂で足りっかな~…」
「砂糖吐きそーになるんじゃないかな…」
「………」
「や~、いつも通り、仲良しだね~」
野郎共がゲンナリして、銀竜が無言を貫き、ニコニコしているリーランさん、という奇妙な状況の中で、リッカさんは1人満足げにくふくふ笑っていた。
…ホントマジでいつか物理的に説教カマしてやる…。
「ムダなことはするもんじゃあないよ。疲れるだけだからね」
「リッカさんはそーゆーヤマイにオカされてるんだから、ほっとけほっとけ」
肉食系女子よりよっぽどマシだ、とスズとミヤさんは言う。
…そりゃ、そーだけど、さ~…。
何つーかこー…な~…。
リッカさんや。気は済んだか。
そろそろお邪魔した本来の目的を果たそーと思うんだが…。
なー、そこでギルド長に懐きまくっているリドラさん。苦手なモンとか食えないモンとかあるか?
…生臭い魚…油が強いモノ…なるほど。
んじゃ、ここで作った方がいーかな?一応作りたてを異次元倉庫にごっそりぶち込んできたんだけど。出来立てホヤホヤの料理がいつでも食えます、って状態なんだが。
…見てみます?昆布出汁の取り方。
きっちり出汁取れるようになれば、カンタンにお吸い物作れるよ~になる…かな?
「…なんで最後疑問系なのコウ君…」
や。俺の料理は100%自己流で、分からんところは料理本見てナンとかしたクチなモンで。
…後は場数、かな…。
で、どーします?
「…うん。見る。見たい…」
リドラさんはそー言うと、ギルド長の顔を見て。
「行ってきてもいい?」
ちょっと小首を傾げたその様が、ギルド長のナニかを刺激したのか、ぎううぅぅ…と、リドラさんを抱きしめて…。
エンドレスだな。
いい加減、離してやんなさいな。
リドラさん満足そうだから、いいけどさぁ。
…話進まないな。
31
あなたにおすすめの小説
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
貴方のために
豆狸
ファンタジー
悔やんでいても仕方がありません。新米商人に失敗はつきものです。
後はどれだけ損をせずに、不良債権を切り捨てられるかなのです。
※子どもに関するセンシティブな内容があります。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
義妹がピンク色の髪をしています
ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。
【完結】ゲーム開始は自由の時! 乙女ゲーム? いいえ。ここは農業系ゲームの世界ですよ?
キーノ
ファンタジー
私はゲームの世界に転生したようです。主人公なのですが、前世の記憶が戻ったら、なんという不遇な状況。これもゲームで語られなかった裏設定でしょうか。
ある日、我が家に勝手に住み着いた平民の少女が私に罵声を浴びせて来ました。乙女ゲーム? ヒロイン? 訳が解りません。ここはファーミングゲームの世界ですよ?
自称妹の事は無視していたら、今度は食事に毒を盛られる始末。これもゲームで語られなかった裏設定でしょうか?
私はどんな辛いことも頑張って乗り越えて、ゲーム開始を楽しみにいたしますわ!
※紹介文と本編は微妙に違います。
完結いたしました。
感想うけつけています。
4月4日、誤字修正しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる