目標:撤収

庭にハニワ

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実行犯は、4人。

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トゲトゲしい空気を発してる俺ら。
他のギルド員達から遠巻きにされているけど、まあしょーがねーよな。
我ながらすっげートゲ生えてる。
ハリネズミとかヤマアラシとか、そんな感じ。

そんな俺らをおいといて。
銀竜は治療を終えた女の子に話を聞いている。

うん、今の俺らじゃ怯えさせるだけだもんな。近づかないのが無難かな。



さっき出てったギルド員が、衛兵と屋台のお姉さんを連れて戻ってきた。
銀竜が立ち上がってこっちに来ようと……なんか、ゴチャゴチャやってるが、なんだ?
また泣き出した女の子の所に、お姉さんが走っていって……。

「エイミ!」
「おねーちゃーん!」

姉妹2人、抱き合ってわんわん泣き出した。
感動の再会か?
もらい泣きしてるギルド員もいる。

そんな中、銀竜はあっさりと姉妹に背を向けて、俺らのところに戻ってきた。
なんかゴチャゴチャしてたけど……どーした?

「あぁ……」

銀竜は、別に何も……と、言わんばかりに。

「子供から話を聞き終えたところで戻って来ようとしたのですが、あの子供にすがり付かれて “ずっと一緒にいて” と言われたので。振り払って断ったら泣き出しただけです」

あ、うん。
話を聞き出したら後はもう用はない、というコトか。
何気にひでーな。
……でもぶっちゃけ俺的には見ず知らずの子供より、リッカさんの方が大事だし。
子供の保護者も来たよーだし……まあ、いーか?
で、あの子供は何を見ていた?



銀竜の聞き出した、子供の話によると。

……ウサギのおねーさんがいた、だと。

普通にそこら辺歩いてる、二足歩行のウサギの獣人じゃなくて。
フツーのおねーさんにウサギの耳が生えてて、触らせてくれるって言うからついて行ったら、知らないおじさんに捕まった。
よく屋台に来てくれる金髪のおねーさんと一緒に馬車に押し込められて、おじさん2人とウサギのおねーさんにいっぱい叩かれた。
金髪のおねーさんが庇ってくれたけど、おじさんに殴られて、倒れて動かなくなって。
怖くて泣いてたら、ウサギのおねーさんに。

「うるさい! そんな子供、さっさとどっかやっちゃって!」

って、馬車から落っことされて。
痛くて怖くて泣いてたら、お兄さんが助けてくれた。

だ、そーだ。

あ~……。
この辺にいるハズの無い、ウサギのおねーさんねぇ……。
思い当たるのが1人……いや、一匹いるんだが……。

ギルド長?
お友達の蛇のライカンの──ガランの街に居る女王様に、聞いてもらえませんかね?
そちら預かりになったハズのヒトウサギ、今どーしてますか? って。
野良でフラフラしてるヒトウサギなんか、ヤツくらいのモンだろ?

ギルド長は1つ頷くと、自分の部屋へと向かった。



さて……と。
殺るべき相手が1人増えて4人になったワケだが……ミヤさん?

ミヤさんの顔がヤバいことになってた。
機嫌良く微笑んでるよーに見えて、目の奥がまったく笑って無い。
ひたひたと殺気があたりに満ち始め、なんとなく寒気が……。

まあ、ギルド長がキレた時より全然コワくないんだけどな、俺は。

でもここにいるギルド員達の顔色は悪くなっていて。
意味も分からずに姉妹が怯えて。
衛兵が不安げにキョロキョロして。
……兵士だろお前。
17・8の小僧の威圧に呑まれんなよ。

スズはリーランさんの腹毛に顔を埋めて。

「もふ~……」

とか言ってる。
かなり落ち着いたよーだな。
リーランさんありがとう。
良い癒しです。



ミヤさん、とりあえず一旦落ち着こう。
殺る気になってんのは、あんただけじゃないんだ。

「あぁ……そうだね……」

ミヤさんは、うっそりと笑って……。
肉食獣の笑いって、こんなカンジ?
一般ギルド員がフラついてる。
魅入られて近づきたいけど、本能が近づくことを拒否してるってカンジか?

うん、こっち来んな。
その辺で倒れられてもメンドー……っつか、ジャマなだけだからな。








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