目標:撤収

庭にハニワ

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うめぼし。

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自国では滅多に、どころか絶対に見掛けない大熊猫の獣人を見た。
それどころか親しく言葉を交わして、なんとなくゴキゲンなアレックスさんは、暗黒魔法の術式と各種焼き菓子のレシピを手に、ほくほく顔で魔国へと帰って行った。
……暗黒魔法の術式を見ながら。

「なるほど……ここの、この言葉を変更すれば……。あの小娘にも……」

などと、そこはかとなく黒いコトを言っていたが。
……人様の、他人の精神を作り変えるのって、実はめちゃくちゃ魔素を必要とするんだよな。
1度やってみれば一発で解ると思うけど、暗黒魔法って、基本的にゴソッと魔素持ってかれるよーな術式ばかりなんだよな。
……俺の場合は、“秘色”が大半を肩代わりしてくれるけど、そのあたりはナイショだな。

しかしなー……。

「一口パンケーキとか、レシピ必要か? めっちゃカンタンだろーが」

思わずボヤいた俺に、ミヤさんが。

「……それは料理出来る人の意見だね。中にはゆで玉子を失敗するっていう、別の意味で器用な人もいるんだよ……」

うで玉子?
……どーやって失敗するんだよ?
茹でるだけだろーが。

「……僕らには直接関係ない人の話だから、別にどうでもいいんじゃないかな」

そう言ったミヤさんの目は、どこかウツロだった……。

……それもそーですね、うん。



アレックスさんのご機嫌取りに出してた菓子の残りは、めっちゃ興味を示したパンダにすべて進呈した。
結界内で、きゃっきゃしていたスズ達に、魔人との対話終了~……を、知らせて。

……随分と楽しそーだったじゃねーの。
こっちは地味~に神経使ってたのによ?

「あ、コウ」

笑顔で結界解除したスズの第1声は。

「フライドポテトとポテチ作って♪」

……だった。

何つーか、こー……。
釈然としないモヤモヤを物理に替えて、スズにぶつけた俺は悪くない、と思う。
具体的に何をしたかと言えば、ゲンコツでスズの頭を両サイドから挟み込む形でぐりぐりぐり……と。
いわゆるウメボシってヤツです。
ぎにゃーっ! て猫みたいな悲鳴上げてたけど、ちょっとスッキリした。



さて。
そろそろ他の、依頼果たしたギルド員達が戻ってきて、これから忙しくなるであろう時間帯に突入する頃合いなんだが。
一体何がどーしたのか、ギルド長には話しとかなきゃ……だよな。

と、ゆー訳で、主要メンバー……っつーか、俺ら4人とギルド長にリドラさん。
あと、巻き込まれたリーランさんの7人で、毎度お馴染みギルド長の部屋へと移動した。







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