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一瞬行方不明って……(笑)。
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その日の夕方遅く。
浜辺で意識も無く行き倒れている2人の人族が発見された。
17・8の娘と子供の2人連れ。
どちらも女性だったことからいろんな憶測が考えられたが、朝から姿の見えなかった、市場で屋台を引いてる姉妹だ、と判明。
とりあえず、衛兵隊の詰所で起きるまで様子を見ることになった。
ざっと診たところ、ただ眠っているだけだと診断された為である。
姉妹に何があったのか。
当人達以外に、知る者は居ないのだから。
一夜明けて。
スズとリッカさんは、本日も自主休業。
なんか、山積み本の中に。
「オレ的に当たりのシリーズがあった!」
「……私もこのシリーズ読破しないと、気が済まないわ……」
と、いうことらしいので。
今日は読書三昧の日にするらしい。
そーいやスズは、ラノベ好き=ただの本好きだし。
リッカさんは……まあ、趣味が趣味だし。
うん。
思う存分知識欲を満たしてくれ。
「知識欲ねえ……そんなに御大層なモノかな? 特にリッカ君の場合……」
そこら辺はスルーでお願いします。
むしろ追求しない方向で。
スズが読んでるシリーズ物にはちょっと興味があるが、リッカさんのは、なぁ……。
あの表情からして、俺的にはあまり関わりたくない分類の本と見た。
……っつーか、こっちの世界にもあるんだな。
中身がもれなく腐った本って……。
まあ腐海の住人がわらわら居る時点で、なぁ。
リッカさん的には、お仲間がいて嬉しい限りだったよーだけどな。
ギルドにて。
今日は依頼受けるか~……とミヤさんと話しながら、依頼板を眺める。
すると、一昨日の肉食系姉妹来襲の時に居合わせたチーム──異種族混成──が話しているのを小耳に挟んだ。
「……あのハタ迷惑な姉妹、見つかったってよ」
「は~……どこでナニやってたんだい? あたしらの視線に耐えらずに逃げてったクセにさ~」
「適当なところでアイツらのこと、待ち伏せてたりしてな~」
「そんで追いかけてって~……?」
「……いや、アイツら無関係らしいぞ?」
「そういや昨日もギルド来てたな」
さわさわさわさわさわ。
ギルド中、そんな話で持ちきりだった。
チラチラと、俺らの様子を伺う視線がうっとーしい。
と、本日の受付担当──おキツネ様じゃなかった──に。
「ギルド長がお呼びですよー」
……あー、はい。
行きますよ。
行きゃあいいんでしょ、行きゃあ。
ちょっとやさぐれた感じで──まあ、見せかけっつーか、単なるポーズだけど──ギルド長のところへ行った。
普通さ、単なる一般ギルド員が、こうも度々ギルド長の部屋に呼ばれるなんてコトは無いんじゃないのか……と、ちょっと遠い目になりながら。
さて。
机に向かって、なにやら書類整理に追われていたギルド長。
俺らが来たのを見て、その手を止めて。
「悪いわね~。ちょっと確認しておきたい事があるのよ」
いつもとは違い、ギルド長の机の前に並列して立つ俺とミヤさん。
まあ多分、聞きたいコトってぇのは、あの肉食系姉妹のことだろ、うん。
「一昨日ウチで騒ぎを起こした姉妹が、一瞬行方不明になったってことは聞いてるわよね?」
知らないとは言わせない、とばかりに圧がかけられるが。
そんな必要は無いですよー。
どーやらリーランさんは席を外しているよーだし。
ギルド長には実際にナニが起きたのか……話してもいいですかね、ミヤさん?
まあ、予測に過ぎないですけど。
ミヤさんは平然とした顔で、軽く頷いた。
……しかし、まー……。
「一瞬行方不明って……」
なんか妙にオカシい。
思わず失笑。
「……ちょっと。ワタシが言い出したんじゃないわよ。市場の責任者……って言うか、あの姉の方を嫁にしたいって狙っているヤカラが、姿が見えない! って大騒ぎした上で、言い出したのよ」
ギルド長はどことなくウンザリした様子で。
「ああいうの、なんて言うのかしらねぇ……。交替で見張ってたりするのかしら?」
小首をかしげるギルド長。
「ちょっとオカシイ人もいるみたいだし……。姉を手に入れれば、もれなく妹もついてくる、とかナンとか……」
おい。
大変なヘンタイが紛れ込んでないか?
「……そのオカシイ人に、姉妹まとめて引き取ってもらえば良いんじゃないかな……。面倒事が一度に片付くし」
ミヤさんは、かなり投げやりになってオラレル。
まあ気持ちは分かる。
イヤってほどな。
浜辺で意識も無く行き倒れている2人の人族が発見された。
17・8の娘と子供の2人連れ。
どちらも女性だったことからいろんな憶測が考えられたが、朝から姿の見えなかった、市場で屋台を引いてる姉妹だ、と判明。
とりあえず、衛兵隊の詰所で起きるまで様子を見ることになった。
ざっと診たところ、ただ眠っているだけだと診断された為である。
姉妹に何があったのか。
当人達以外に、知る者は居ないのだから。
一夜明けて。
スズとリッカさんは、本日も自主休業。
なんか、山積み本の中に。
「オレ的に当たりのシリーズがあった!」
「……私もこのシリーズ読破しないと、気が済まないわ……」
と、いうことらしいので。
今日は読書三昧の日にするらしい。
そーいやスズは、ラノベ好き=ただの本好きだし。
リッカさんは……まあ、趣味が趣味だし。
うん。
思う存分知識欲を満たしてくれ。
「知識欲ねえ……そんなに御大層なモノかな? 特にリッカ君の場合……」
そこら辺はスルーでお願いします。
むしろ追求しない方向で。
スズが読んでるシリーズ物にはちょっと興味があるが、リッカさんのは、なぁ……。
あの表情からして、俺的にはあまり関わりたくない分類の本と見た。
……っつーか、こっちの世界にもあるんだな。
中身がもれなく腐った本って……。
まあ腐海の住人がわらわら居る時点で、なぁ。
リッカさん的には、お仲間がいて嬉しい限りだったよーだけどな。
ギルドにて。
今日は依頼受けるか~……とミヤさんと話しながら、依頼板を眺める。
すると、一昨日の肉食系姉妹来襲の時に居合わせたチーム──異種族混成──が話しているのを小耳に挟んだ。
「……あのハタ迷惑な姉妹、見つかったってよ」
「は~……どこでナニやってたんだい? あたしらの視線に耐えらずに逃げてったクセにさ~」
「適当なところでアイツらのこと、待ち伏せてたりしてな~」
「そんで追いかけてって~……?」
「……いや、アイツら無関係らしいぞ?」
「そういや昨日もギルド来てたな」
さわさわさわさわさわ。
ギルド中、そんな話で持ちきりだった。
チラチラと、俺らの様子を伺う視線がうっとーしい。
と、本日の受付担当──おキツネ様じゃなかった──に。
「ギルド長がお呼びですよー」
……あー、はい。
行きますよ。
行きゃあいいんでしょ、行きゃあ。
ちょっとやさぐれた感じで──まあ、見せかけっつーか、単なるポーズだけど──ギルド長のところへ行った。
普通さ、単なる一般ギルド員が、こうも度々ギルド長の部屋に呼ばれるなんてコトは無いんじゃないのか……と、ちょっと遠い目になりながら。
さて。
机に向かって、なにやら書類整理に追われていたギルド長。
俺らが来たのを見て、その手を止めて。
「悪いわね~。ちょっと確認しておきたい事があるのよ」
いつもとは違い、ギルド長の机の前に並列して立つ俺とミヤさん。
まあ多分、聞きたいコトってぇのは、あの肉食系姉妹のことだろ、うん。
「一昨日ウチで騒ぎを起こした姉妹が、一瞬行方不明になったってことは聞いてるわよね?」
知らないとは言わせない、とばかりに圧がかけられるが。
そんな必要は無いですよー。
どーやらリーランさんは席を外しているよーだし。
ギルド長には実際にナニが起きたのか……話してもいいですかね、ミヤさん?
まあ、予測に過ぎないですけど。
ミヤさんは平然とした顔で、軽く頷いた。
……しかし、まー……。
「一瞬行方不明って……」
なんか妙にオカシい。
思わず失笑。
「……ちょっと。ワタシが言い出したんじゃないわよ。市場の責任者……って言うか、あの姉の方を嫁にしたいって狙っているヤカラが、姿が見えない! って大騒ぎした上で、言い出したのよ」
ギルド長はどことなくウンザリした様子で。
「ああいうの、なんて言うのかしらねぇ……。交替で見張ってたりするのかしら?」
小首をかしげるギルド長。
「ちょっとオカシイ人もいるみたいだし……。姉を手に入れれば、もれなく妹もついてくる、とかナンとか……」
おい。
大変なヘンタイが紛れ込んでないか?
「……そのオカシイ人に、姉妹まとめて引き取ってもらえば良いんじゃないかな……。面倒事が一度に片付くし」
ミヤさんは、かなり投げやりになってオラレル。
まあ気持ちは分かる。
イヤってほどな。
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