目標:撤収

庭にハニワ

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なんかスマン。

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それから小一時間、ギルド長からのお説教。
と、いうかお小言が続いた。
暗黒魔法について、と魔人族の魔法知識を教わったことについて。

「確かにギルドに登録してる魔人族の人達は居るわよ。でも魔人族特有の術式についてとか、魔法具についてとか……。そんな簡単には教えてくれないはずよ。……それをあなた達は……」

や、ギブ&テイク?
アレックスさんはマジでお怒りだったし。
俺もちょ~っと……かなりムカついたし。
利害の一致ってヤツ?

「……人格改変術と引き換えって……」

ギルド長は、とうとう頭を抱え込んだ。



しばらくして。
ギルド長は深く息を吐いて言った。

「……いいわ。あなた達が根本的に規格外だって、イヤってほど理解したわ……。実際に人をチリにして消し飛ばしたりは……して、いないのよね?」

俺、魔素のムダ遣いする気無いですよ。

軽く嘯いた俺をナナメに見ながら、ミヤさんも言った。

「僕達の目的はご存じでしょう? あの肉食系姉妹の人格、なんとかならないか? って聞いた僕に対しても、この子は魔素のムダ遣いする気は無いって言ったんですよ。そんなホイホイお気軽に暗黒魔法を使ったりはしないでしょう。……僕も、ですけど」

一言、余計だ。

が、ギルド長は華麗にスルーした。
もう面倒になったらしい。

なんかスマン。

「……あなたの仕掛けた結界、使い方次第ではギルドの役に立つのかも? と思ったんだけど……。いろいろと面倒なことになりそうだから、もういいわ……」

あ~……ギルド長?
暗黒魔法の魔導書、一冊持ってきましょーか?
カンタンな……つか、ヤバくないヤツ。
何らかの目眩ましにはなるんじゃないですか?
失なわれた魔法らしいし、現物があれば……どうとでも誤魔化しはきくでしょ。

……一番ヤバい“秘色”は、既に俺のモノだが、な。

ギルド長は、更にぐったりした。

「簡単に言ってくれるわ……」

ギルド長は冷めた茶を一口飲んで、続けた。

「ええ、そうね。ギルドの買い取りって形にしてくれるかしら? 失なわれた魔導書……出所聞かれたりしたら、どうしましょうねぇ……」

ギルド長の目がウツロになっている。

そこら辺は、ゆっくり悩んで下さい。
んじゃ、明日持ってきますわ。
そんなにヤバくないヤツを。

あ。

「今度は、何……」

ギルド長、ツッコむ気力も薄れたらしい。

ちなみにですけど、ウチの周辺の結界は、暗黒魔法と影魔法の併用っつーか、混合っつーか……。
そんなカンジのモノですよ。

「……本当に、ナニやらかしてくれてるのよ……」

えー。
とりあえず、心をバッキリ折るタイプのイタズラですけど。
身体の方には一切キズ一つ無くお帰りいただくってシロモノですが何か。

「……うん、君やっぱり祈りさんの子供だよ……」

ミヤさんに半笑いで言われた。

……あんたも類友だってこと、忘れないで下さい。
うっとーしいヤカラの人格改変、望んどいてしれっとしてんじゃないっての。



なんとなくお疲れ、のギルド長に挨拶して部屋を後にする。
とりあえず、依頼の掲示板をチェックしに行く。
なんか申し訳ないから、メンドーそうな依頼でも受けておくか。

討伐系は無かった。
なんか残念だ。

「またカニ狩りでもするかい?」

ミヤさんが、掲示板を上から順番にチェックしながら言った。
カニか~……。
この間、乱獲一歩手前まで狩りまくったでしょーが。
異次元倉庫にわさっと入ってますよ。

「そう言えば……って、あれ?」

何か見つけた?
ミヤさんは一つの依頼を見ながら、首をかしげている。

「“酒の実、清酒の実希望。3個以上”って……」

なんだろう……。
俺ら、酒の実も山盛り持ってますよね。
……妙にピンポイントなんだけど……。

ミヤさんは受注日を見て。

「僕らがマドゥーニーに来る前から出しっぱなしになってる依頼だね。……たいして難しい依頼じゃないだろうに」

まあいいか。
カニと酒の実の依頼を受注。
異次元倉庫から出すだけなので、速攻終了。

ほんの少しだけ、異次元倉庫に空きが出来た。
……まあ、すぐにナニかで埋まるんだけどな。

さて、と。
《壺中天(笑)》に戻るか~。
無難な暗黒魔法の魔導書、物色しなきゃなー。
“秘色”、頼んだ。
俺の中から了承の意が返ってきた。

んじゃ、ミヤさん。
行きますよー。








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